『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』の売上は、すでにオリジナル超え級。本家超えするリメイク/リマスターたち
近年、過去作品のリメイク/リマスターが好調な売上を見せている。先ごろ発売された『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』はオリジナル版に匹敵する売上を記録。ほかにもオリジナル版に迫るあるいは凌駕する売上を記録する作品は少なくない。本稿では近年のリメイク/リマスター作品の躍進ぶりを追う。
先ごろ任天堂が公開した決算説明資料によれば、7月16日に発売された『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』が全世界で販売本数360万本を突破した。同作は2011年Wii向けに発売された『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』のNintendo Switch向け移植作。グラフィックの向上やJoy-Con向けの操作最適化、遊びやすさの改善が施されたリマスター作品だ。任天堂による発表では、オリジナル版の売上は2012年上旬時点で352万本。オリジナル版も現在ではさらに売上を伸ばしていると見られるものの、リリース後の推移としては互角に近い。つまり、『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』は、オリジナル版の売上に匹敵する好調を見せているのだ。
また、リメイク/リマスターとはいささか趣が異なるものの、Wii Uで2014年に発売された『マリオカート8』のデラックス版である、Nintendo Switch向け作品『マリオカート8 デラックス』の売上も注目に値する。同作は2017年の発売以降、累計販売本数3874万本を記録しており、Wii U版の846万本を大きく塗り替えている。また、3738万本を販売しシリーズ最高本数を記録していた『マリオカートWii』をも超え、Nintendo Switch向けタイトル全体でも首位を誇る快挙だ。
ほか、近年ヒットしたゲーム過去作リメイクとして顕著なのが、『バイオハザード』シリーズのリメイク展開だ。カプコン公式サイトによれば、2019年発売の『バイオハザード RE:2』は2021年9月30日時点で全機種あわせて890万本を売り上げ、歴代ヒット作品のなかでもTOP3に入る記録を誇っている。1998年に発売されたPlayStation向けオリジナル作『バイオハザード2』の売上は496万本であるため、こちらもリマスターがオリジナルを上回ったことになる。
同シリーズのリマスター/リメイク作品ではほかにも『バイオハザード RE:3』『バイオハザード 4』『バイオハザード HDリマスター』『バイオハザード0 HDリマスター』などが、オリジナル版を上回る売り上げを見せている。いずれの作品も、機種が限られる傾向にあったオリジナル版と対照的に、広くマルチプラットフォーム展開されている。対応機種が増えたことで、作品を手に取れるユーザーが増加した点も売り上げ向上の一因と考えられそうだ。
また、ゲーム人口全体の増加傾向もリメイク/リマスター作品の売り上げに寄与していると考えられる。市場調査会社Newzooと角川アスキー総合研究所による2020年のレポートによれば、2015年時点での全世界ゲーマー人口は約20億人。2020年時点では26億8000万人にのぼり、プレイヤー人口も市場規模も右肩上がりだ。また、2020年時点では約25億人がモバイルでゲームを遊び、約13億人はPCを利用、約8億人がコンソール機でゲームを遊んでいるという。複数の機種にまたがってゲームを楽しむプレイヤーも多いようだ。
ゲーム人口全体の増加により、必然的に過去作品のリメイク/リマスターはオリジナル版発売当時より大きな市場にデビューすることとなる。また、オリジナル版の知名度や評判が高ければ、完全新作に比して売上の見通しが立ちやすい面もあるだろう。新作を待つファンとしては複雑な心理もあるが、入手性が低くなりがちな過去の人気作品を、ふたたび現代に蘇らせファンや新規プレイヤーに届ける動きにも価値はある。
前述のレポートによれば、Newzooは2023年には世界ゲーマー人口が30億人を突破する見込みとしている。リメイク/リマスター作品が好調な売上を記録していくなか、さらに過去作再訪の機運は高まっていきそうだ。あなたが今こそ現代機で遊びたい過去の傑作も、新生を待っているかもしれない。
※ The English version of this article is available here