Valveの携帯型PCゲーム機「Steam Deck」開発キット提供へ。開発者からのリクエストの受付を開始
Valveは9月3日、「Steam Deck」の開発キットの出荷準備が整ったとして、ゲーム開発者からのリクエストの受付を開始したと発表した。オンラインフォームを通じて提出されたリクエストを個別に審査し、開発キットをできるだけ早く出荷する予定だとしている。
Steam Deckは、Steamを運営するValveが自ら手がける携帯型PCゲーム機だ。7インチのマルチタッチスクリーン(1280×800)の左右に、アナログスティックや各種ボタンを配置する、Nintendo Switchのようなスタイルの本体を採用。トラックパッドも左右に用意される。サイズは298x117x49mmで、重量は約669グラム。心臓部には、AMDのZen 2 CPU(4コア8スレッド/2.4~3.5GHz)およびRDNA 2 GPU(8CU/1.0~1.6GHz)を搭載し、メモリは16GB LPDDR5。内蔵ストレージは、モデルにより64/256/512GBとなっている。
そしてOSには、Arch LinuxベースのSteamOSを搭載。Steamで配信されているタイトルの大部分を占めるWindows向けゲームは、Valveも開発に携わるProtonと呼ばれる互換レイヤーを使って動作させる仕組みになっている。ただ、Steam Deckは基本的にPCであるため、ユーザーが独自にWindows OSなどをインストールすることも可能だとされている。
Steam Deckは、まずすでに予約を受け付けているアメリカ・カナダ・イギリスおよびEU向けに2021年12月から出荷を開始し、そのほかの地域には2022年に発売される予定。これに先立ってValveは、Steamでゲームを配信する開発者向けに開発キットを提供することとなる。開発キットは、製品版と外観は多少異なるが、機能的には同じものとのこと。また、ソフトウェアはまだ開発が続けられており、開発キット向けには定期的にアップデートが配信されるという。
開発キットを受け取った開発者は、自らのゲームがSteam Deck上で正しく動作するのかを確認したり、そのパフォーマンスを最適化したり、操作系や7インチスクリーンへの適応をおこなったりなどすることになるだろう。特に、SteamOSをサポートしていないタイトルの場合は、Protonとの互換性のテストが重要になりそうだ。Valveは、Protonの改善作業に役立てるため、問題が確認された場合はSteamworksの掲示板などを通じて報告してほしいと呼びかけている。
ちなみにValveとしては、30fps以上をパフォーマンス面でのひとつの指標にしているという(関連記事)。内部テストでは、多くのタイトルで問題がないことを確認しているとも。また同社のPierre-Loup Griffais氏によると、パフォーマンスとバッテリー寿命のバランスを取るため、fpsに上限を設ける機能も用意しているとのことだ。
「Steam Deck」の開発キットを希望する開発者は、専用のハードウェアリクエストフォームから応募可能。開発キットの数量には限りがあるが、発売が近づくにつれて提供可能台数は増えていく予定だそうだ。詳細は公式ブログを確認してほしい。Steamworksの該当ドキュメントも参考になるだろう。