Steam早期アクセスで販売中の『Killing Floor 2』に「箱と鍵」スタイルのマイクロトランザクション導入へ、コミュニティからは批判相次ぐ

Tripwire Interactiveは、現在Steamにて早期アクセス販売中の『Killing Floor 2』にマイクロトランザクション要素「Zed-Conomy」を導入すると発表した。

Tripwire Interactive(以下、Tripwire)は、現在Steamにて早期アクセス販売中の『Killing Floor 2』にマイクロトランザクション要素「Zed-Conomy」を導入すると発表した。これは『Team Fortress 2』や『Counter-Strike: Global Offensive』などで見られる「箱と鍵」スタイルのマイクロトランザクションで、キャラクターや武器の性能には影響を与えないコスメティックアイテム(外見を変化させるアイテム)のみを対象として今後展開されるという。既存のプレイヤーたちに配慮した導入が謳われている一方で、コミュニティからはマイクロトランザクション導入への批判が相次いでいる状況だ。

プレイヤーはマッチ終了後のランダムドロップ、あるいはインゲームストア「Trading Floor」かSteam Marketを通じて、衣装アイテムや武器スキンを購入できるようになる。これに加えてレア衣装アイテムがドロップする可能性があるCrate(箱)と、レア武器スキンがドロップする可能性があるUSBの存在が明らかにされており、それぞれ暗号解読キーを購入してアンロックすることが可能。またこれらのアイテムはSteam Marketを通じてプレイヤー同士で売買することもできる。

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「Zed-Conomy」アップデート。スタート時期は明らかにされていない

Tripwireは早期アクセス中にマイクロトランザクションを導入した理由について、「Trading Floor」が繰り返し実行して試す必要のある機能であるからだと説明している。また『Killing Floor 2』をFree-to-Playゲームにする考えはなく、ゲームバランスに影響を与えるようなアイテムが登場する可能性についても「ユーザーたちの声を聞く」と慎重だ。まだサービスはスタートはしていないものの、先日の『PAYDAY 2』のアップデートのような、ひどいスキンに単なるステータスアップをくっつけたという内容ではないように見える。有料コスチュームは初代『Killing Floor』でも有料DLCとして販売されてきた前例もある。

一方でプレイヤーたちからは批判が相次いでおり、発表へは1000件弱のコメントが寄せられ、フォーラムは荒れに荒れ、またSteam上でもすでに大量の低評価レビューが投稿されている状況だ。これは早期アクセスで販売されて以降、まだまだ『Killing Floor 2』のコンテンツアップデートが進んでいないためである。ローンチ当初からマップや武器、Perkの少なさが指摘されてきたが、発売から半年が経過した今でもプレイヤーが納得するようなコンテンツの拡充は行われていない。実際に『Killing Floor 2』のプレイヤー数は初代『Killing Floor』に肉薄するほど低調であり、9月の大型アップデートでプレイヤー数が一時的に戻ったものの、ここ最近はピーク時でアクティブプレイヤー数が2000人を超えない日々が続いている。

発売以降のコンテンツ数の少なさや、盛り上がりに欠ける空気感が漂っていた中で発表された「Zed-Conomy」へと反感を持ったプレイヤーは多い。ゲームプレイに影響は与えないマイクロトランザクションだと理解を示す声がある一方で、なぜ武器やPerkではなく先にマイクロトランザクションやスキンを導入するのかという指摘が相次ぎ、前述したようにすでにフォーラムやレビューにも影響が出始めている状況だ。Tripwire側はこれに対応して今後の開発ロードマップを公開し、コンテンツの開発にどれだけの時間が必要であるかを訴え、事態の沈静化を図っている。

今回のマイクロトランザクションと『PAYDAY 2』の先日の騒動は内容が異なるが、「開発スタジオとコミュニティ間で良好な関係が築けていなかった」という背景は共通しているといえる。パッケージゲームとして発売した後にマイクロトランザクションを導入する例は少なくなく、ここ最近ではサバイバルゲームの『Rust』やBungieの『Destiny』などが同様の手法を取っているが、今回のような問題にまでは発展していない。マイクロトランザクションが開発リソースを補充するための一つの重要な手段であることは理解できるが、プレイヤーやコミュニティたちから反感を買わないための関係作りや手腕がスタジオには求められている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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