『FF14』ミーム動画ネタが公式へ逆輸入される。デジタルファンフェスティバルのスペシャルライブにて
スクウェア・エニックスは5月16日、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)のデジタルイベント「デジタルファンフェスティバル 2021」内でオフィシャルバンド「THE PRIMALS」によるスペシャルライブを配信した。「漆黒のヴィランズ」で追加された新曲や歴代の楽曲が生で演奏されていく中で、とある楽曲の演出がプレイヤーたちの間で話題となった。
話題になったのは、8時間48分23秒ごろから始まったスペシャルライブにて流れた楽曲「ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~」(以下、ロングフォール)での、ステージに現れた四名のTシャツを着たスタッフたちによるダンスパフォーマンスだ。実はこのダンスという演出は、プレイヤーたちの間では以前より国境を越えたネットミームとして愛されてきた歴史があるのだ。
「ロングフォール」という楽曲は「漆黒のヴィランズ」で実装されたインスタンスダンジョン「異界遺構 シルクス・ツイニング」の道中で流れるBGMである。『FF14』の歴史を辿るかのように歴代BGMが絶妙にアレンジされているのがこの楽曲の特徴だが、はじめてお披露目されたのは「漆黒のヴィランズ」のジョブアクション動画だった。ジョブアクション動画の公開時点ではまだゲームのどこで使用されているBGMなのか不明のままだったが、すでにネット上では「メドレーみたいでかっこいい」「懐かしさとかっこよさでテンションがあがる」「BGMがよすぎて内容が頭に入ってこない」といった絶賛の声が多数あがっていた。
そして「漆黒のヴィランズ」がリリースされたのち、このBGMを実際に耳にしたプレイヤーたちがおもわずBGMにノリノリになっていく様子がTwitterなどで散見されるようになる。当初はさまざまなインターネットミーム動画にBGMを当てただけのものが多かったが、とあるプレイヤーによって投稿された「twinning.mp4」という動画が中心となって本格的なミーム化に発展していった。
2020年8月には別のプレイヤーによって「The Twinning.mp4」という動画も投稿された。こちらはredditでも話題となり、2021年5月現在で160万回も再生されるなど『FF14』プレイヤーたちにネタとして浸透することとなった。これらの動画が人気となり、やがて「シルクス・ツイニング」の検索候補には「おじさん」「ダンス」といったサジェストが表示されるようになっていく。そしてついには「Final Fantasy XIV – twinning.mp4」という項目で「Know Your Meme」へ掲載されるにまで至った。
そんな経緯からプレイヤーたちに長らく愛されてきた「ロングフォール」のミーム動画だったが、このたび公式へと逆輸入されたわけである。しかし公式が反応を示したのは、実はこれが最初ではない。
2021年3月24日に発売されたアレンジアルバム「Scions & Sinners」には「THE PRIMALS」によってアレンジされた「ロングフォール」が収録されており、ここでも公式自らが曲にあわせて踊るMVを投稿している。今回のスペシャルライブでは、それらの演出をさらにパワーアップさせてきたというわけだ。
スペシャルライブではステージ後方にならんだ四名のスタッフが、向かって左から青、緑、赤、赤という配色のTシャツを着ている。この配色は、ゲーム内におけるタンク、ヒーラー、そしてDPSが二名というライトパーティを表現したものだ。タンク(青)を担当しているのはリードアイテムデザイナーの林洋介氏、ヒーラー(緑)はグローバルコミュニティプロデューサーの室内俊夫氏、DPS(赤)はリードコミュニティプランナーの望月一善氏、そしてコミュニティプランナーの武田諒治氏である。
MVにはなかったこの並びはまさしく「twinning.mp4」の動画を彷彿とさせる演出である。スペシャルライブを視聴していたプレイヤーたちからは、このサプライズ演出に歓喜するコメントが続出し、Twitterでは各ロールの頭文字をとった「#THDD」というハッシュタグがトレンド入りする盛況具合をみせた。
演奏後、楽曲製作を担当している祖堅正慶氏は「海外のミーム動画に触発されてMVつくったけど、であればステージはもっといこう。ということで彼らに踊ってもらいました」とコメント。「これが(準備に)一番時間がかかった」という裏話も明かされた。ネットミームが公式に逆輸入されるケースは稀だが、音楽に言葉は不要というのは万国共通であり、それはプレイヤーと公式の間にも同じことがいえるのかもしれない。
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