『マインクラフト』で作られたスチームパンク都市公開中。7か月かけて建造した、約700万ブロックの空中メトロポリス
海外の『マインクラフト』ビルダー集団Aderlyonは5月8日、『マインクラフト』内で作り上げたスチームパンク都市を公開した。都市は面積800 x 800ブロックにわたる広さを誇る。大きいだけではなく、「スチームパンク」というテーマに一貫して沿った作品となっている。
Aderlyonは、ブロックを使った建築やアートを、『マインクラフト』内で制作するチームだ。同チームは『マインクラフト』ゲーム内作品の有償による制作請負もおこなっている。本作品は同チームの実力を示す、ポートフォリオとしての側面もあると思われる。
今回の作品「The Steampunk City」については、オーナーとして同チームの創設者Colin氏と、主要メンバーのAmelia氏がクレジットされている。制作には両氏を含むAderlyonのビルダーが7名参加。制作期間は実に7か月。筆者がツールを用いて確認したところ、使用されているブロック数は約700万個だった。作品自体のクオリティも、制作期間に見合った高いものという印象だ。同チームの腕利きビルダーたちの実力がうかがえる。
筆者も『マインクラフト』内で、実際に「The Steampunk City」を訪れてみた。まず目を引いたのは、街を見下ろす巨大時計だ。歯車が丸見えになっているのが印象的で、街全体の景観のワンポイントになっている。時計の上部からは、ブロックで表現された蒸気があがっている。スチームパンクというコンセプトを象徴するような存在だ。
作り込まれているのは、外観の印象だけではない。一部の建物については、内装まで整えられている。明かりに誘われて、ふらりと入ってみた建物は酒場風だった。ほかにも街灯や、作業場らしきスペースなど“生活感”を感じさせる建築が、随所にほどこされている。街をひとりで見回っていると、誰もいないのが寂しくなるほどだ。
作品内には、列車のような家屋や、気球で宙に浮かぶ家々なども存在している。建築物ひとつひとつが作品の世界観を作り上げているようだ。並み居る建築物は、一部の建物をのぞいて、“空き家”となっているものがほとんどだ。この「The Steampunk City」が人口の多いサーバーなどに導入されれば、空き家にプレイヤーが住み着き、通りを行き交うのではないか。そういった想像をしてしまう魅力のある作品だ。
Aderlyonはほかにも、『マインクラフト』内でクオリティの高い作品を制作してきた。そのなかには、今回の「The Steampunk City」のような大規模の都市もある。また、「クリスマス記念のスノードーム」といった変わり種も制作しているようだ。同チームサイト内のポートフォリオで、そうした作品群を見ることができる。
今回の作品「The Steampunk City」は無料配布されており、誰でも入手可能だ。配布はコミュニティサイトPlanet Minecraft上でJava版『マインクラフト』向けにおこなわれている。しかしながら、配布ファイルはマップではなく、「.schematic」という形式だ。こちらは導入に外部ツールやModを活用する必要がある。『マインクラフト』のModや外部ツールに慣れているプレイヤー以外には、難しい手順となりえるので、注意が必要だ。
プレイヤーの創造性を刺激しつづける『マインクラフト』。もはやゲームの範疇を超え、一種の創作ツールとして定着していると言っても過言ではないだろう。イマジネーションをかたちにする手段として、『マインクラフト』が愛され続けることを願いたい。