『Apex Legends』でジブラルタルはなぜ弱体化されたのか、鉄壁/小柄は廃止されるのか。パッチノートの疑問に開発者が回答

Respawn Entertainmentは3月5日、『Apex Legends』における最新パッチノートを公開した。ユーザーから寄せられたパッチノートの疑問に『Apex Legends』開発者が回答している。

Respawn Entertainmentは3月5日、『Apex Legends』における最新パッチノートを公開した(関連記事)。最新イベント「カオスセオリー」の情報が明かされたほか、コースティックやマスティフの弱体化など、レジェンド・武器の調整情報も盛り沢山。海外掲示板Redditではさっそくさまざまな議論が交わされており、開発者からも多くの反応が寄せられている。 

まず注目が集まったのは、期間限定モードに合わせて常駐アイテム入りする「Heat Shield」の存在だ。リング外で設置することにより一時的なバリアドームを発生させ、リングダメージから身を守ってくれる。さらに内部では回復速度・蘇生速度が上昇する恩恵を受けることができ、ピンチの状況からの逆転も狙える新アイテムだ。Heat Shield追加の意図について問われると、シニアキャラクターデザイナーのDevan McGuire氏が詳細を解説した。 
 

 
開発チームとしては、リング外に出てしまったチームが生き残るための選択肢を増やしたい狙いがあるそうだ。というのも本作では多くの場面で、リング外でダウンした仲間やバナー回収を助けるか見捨てるかの決断を迫られる。現状の環境では「見捨てる」ことが最善の選択とならざるを得ないが、本来『Apex Legends』はチームプレイに焦点を当てたゲーム。可能な限り味方を切り捨てざるを得ない場面を減らしたい思いが運営側にはあるようだ。 

またリング際で待ち伏せしているチームに対し、ゴリ押し突破でしか対抗し得ない現在の状況についても問題視しているという。Heat Shieldを活用することでリング外の戦利品を漁ることができるほか、上記のような窮地に陥ったときも複数の対策を講ずることができるようになる。開発チームは、いずれのプレイヤーの活路も「環境によって」ではなく「公平な戦闘によって」切りひらいてほしい。こうした意図がHeat Shield実装の背後には隠されているようだ。とはいえ、まだまだ新アイテムは実験段階。最終リングでの戦いがHeat Shieldの存在によって“チープ”になってしまわないよう注視しつつ、コミュニティが新たなサバイバルアイテムをどう活用するか期待したいと述べた。 
 

 
ところで今回のレジェンド調整における目玉といえば、パスファインダーの「パッシブ:小柄」が削除されたことだろう。旧シーズンにて猛威を振るいすぎたばかりに、なかばペナルティのように付与されていたパッシブアビリティ。しかもパスファインダーの場合は小柄による打たれ弱さは適用されつつも、ヒットボックスはそれほど小さくないという不憫な性能に仕上がっていた。 

しかし長きにわたるクールタイム調整などを経て、パスファインダーの勝率は健全なレベルにまで収まったことが伝えられている。したがって、長らく足かせとなっていた小柄パッシブがようやく解除されることになったわけだ。この報せはパスファインダー使いを喜ばせたばかりでなく、他の小柄レジェンドユーザーにも期待を抱かせることとなった模様。あるユーザーが「お願い開発者さん、次はワットソンで!」とコメントすると、開発者のひとりが「いいよ!」と軽くコメントを返している。
  

 
反応を寄せたのは、レジェンド周りのバランス調整を務めるゲームデザイナーのDaniel Zenon Klein氏だ。なぜそれほど安請け合いしているのかというと、実は「小柄」「鉄壁」のパッシブアビリティについては複雑な思惑があるようだ。というのも別のレスにて、あるユーザーが「レヴナントに鉄壁をつけるのはどうか」と示唆。ヒットボックスの大きさと機動力の低さをカバーできるのではないかと提案した。これに対してKlein氏は「悪くない方向性」としつつ、同氏としては、可能な限り小柄/鉄壁に頼らない方向で調整したいとの意向を示した。 

ほかのレスにおいてもライフラインの調整について語る際、「全キャラクターの小柄/鉄壁を削除するのが目標」と発言しており、レジェンド調整を担うKlein氏としては安易にパッシブ付与へ頼ることは避けたい姿勢が明らかになっている。もっともライフラインに関しては「まずは彼女をうまく弱体化する方法を探る必要がある」としており、実際に小柄/鉄壁が取り除かれていくのは先の話になりそうな見通しだ。しかし将来的なビジョンとして、体格差パッシブが削除される可能性があるというのは興味深い。 
 

 
ちなみに鉄壁レジェンドの代表格といえば、歩く要塞ジブラルタル。彼に関してはちょっとした議論がもち上がっていた。今回彼が受けた処置は戦術アビリティのプロテクトドーム弱体化。しかし一部ユーザーからは「違う、そうじゃない」との声が上がっている。というのもジブラルタルに関しては、パッシブアビリティ・ガンシールドの性能が以前から取り沙汰になっていたからだ(関連記事)。シールドが壊された際に余剰分のダメージを吸収してしまう、シールドに与えたダメージ値が進化アーマーのポイントに累積されないなど、問題点が複数挙げられてきたガンシールド。今年の1月に議論が注目されたときには「シーズン8にて修正する」と伝えられていたが、結局は今回のパッチでも手が加えられなかったわけだ。 

Klein氏のレスポンスによると、ガンシールドの調整については現在チームが取り組んでいる最中とのこと。ただし弱体化を実装するにあたって障害となるバグが存在しており、現在はその解消に向けて動いているところだという。なお別途プロテクトドームの弱体化が実施された理由については、高レベル帯およびユーザー層全体におけるジブラルタルの傑出した強さがあるようだ。実は彼の勝率は、ホライゾンに僅差で次いで2位に迫ることが明らかにされた。トップ層に君臨すること自体は悪いことではないとしつつ、特異点的な強さを緩和するために戦術アビリティをマイルド化する施策がとられたようだ。 
 

 
次なるコレクションイベント「カオスセオリー」は、3月10日より開催予定。同日にはNintendo Switch版も配信開始となる。 

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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