『Apex Legends』シーズン7バトルパス“改悪”について、運営が「大失敗」と認める。開発中に問題に気づけなかった理由とは

Respawn Entertainmentの開発者が11月6日、『Apex Legends』におけるバトルパス改変について謝罪する一幕があった。『Apex Legends』ディレクター陣などがユーザーの声に答えている。

Respawn Entertainmentの開発者が11月6日、『Apex Legends』におけるバトルパス改変について謝罪する一幕があった。コミュニティ&コミュニケーションディレクターのRyan Rigney氏が海外掲示板Redditにて一連の経緯を説明している。バトルパスは、シーズンを通じてミッションをこなしていくことでさまざまな報酬を獲得できるシステム。「45分以上生存する」「ミラージュで4回プレイする」など多様な課題をこなすことでレベルが上がり、スキンやダイブエモートといった特典を獲得することができる。
 

 
コンテンツとしては『Apex Legends』初期から存在していたバトルパスシステムだが、シーズン7よりその仕様が大幅に変更された。従来はチャレンジクリア後にチャレンジポイント(CP)が付与されることでランクが上がっていったが、今シーズンからはスターが付与されて進行するシステムに改変。ミッション難易度ごとに個数の異なるスターを集めて、10個達成するとレベルがひとつ上がる仕組みだった。当初運営は「より分かりやすく、やりがいも増えたチャレンジ」として本システムを推進していた。実際、進行度が見やすくなったUIには一定の評価の声がある。

ところが新たなバトルパス方式は大きな批判の的となった。スター獲得ミッションのひとつは「経験値を1万XP獲得すること」。すなわちスターをひとつ獲得するためには10万XPが必要で、レベルを6つ上げたいとすれば60万XPもの経験値が必要となるのだ。翻って過去のバトルパスを振り返ってみると、必要経験値は9000→1万8000→2万7000→…と段階的に上がる仕組みだった。レベルを6まで上げるのに要する経験値は、しめて18万9000XPとなる。つまり、現在のシステムに則って経験値だけでスターを獲得しようとすると前システムよりはるかに大量のポイントが必要となるのだ。
 

 
バトルパスには有料コンテンツとなる「プレミアムバトルパス」が存在しており、こちらはチャレンジで獲得できるXPに対して最大50%のブースト効果が付与される仕組み。またさらに高額な課金をすることでレベルを一定まで引き上げることが可能だ。新システムの過酷さと課金システムの存在から、今回のバトルパス改変は課金を進めるための陰謀ではないかとの不信感がユーザーから爆発。Redditなどを中心に運営を非難するスレッドが乱立する自体となった。

こうした中、Respawn Entertainmentは11月6日にバトルパスの条件緩和パッチを適用(関連記事)。スターひとつに必要な経験値を1万XPから5000XPに引き下げたほか、来週からはウィークリーチャレンジの難易度も下げられることが公式Twitterにてアナウンスされた。さらにコミュニケーションディレクターRigney氏は、Redditにてユーザーから直接意見を募集。経験値ミッションのほか、ウィークリーミッションの難易度の高さや週末プレイヤーにとってのハードル、さらにバトルパスを主目的としないプレイヤーにとっての感覚などのフィードバックを広く聞いていた。
 

 
こうしたRigney氏の取り組みに協力的なユーザーがいる一方、バトルパス修正の早すぎる対応や開発者による質疑応答は、Respawn Entertainmentがユーザーを抱き込むための戦略ではないかと懐疑的な層も存在していた。「運営がプレイヤーを懐柔し、物事を正当化しようとする動きは決して受け入れられない」とする厳しい意見が寄せられると、Rigney氏は改めてことの次第を説明。「我々はごまかそうとしているのではなく、ただ単に大失敗したのです」と語った

11月6日には多くの幹部が集った会議が開かれ、実際にディレクターも6時間プレイしてレベルが1しか上がらないことを確認。Redditに集った批判やユーザー間の不満がもっともであることを確認した。問題が早期に発見されなかった理由として、開発の手法に一因があることが話された。ビルドをプレイテストに交換する際、しばしばアカウントをリセットして進行状況を消去してしまうために、シーズンを通じて継続的にバトルパスレベルを上げる際のフラストレーションに気づくことができなかったのだという。
 

 
加えてRigney氏は、自身のキャリア経験にもとづいての所感も語った。同氏はRespawn Entertainmentチームに参加して6週間ながら、これまで『League of Legends』にも携わるなど長らくユーザーコミュニティのマネジメントに関わってきた人物。いわく、開発者が何らかの不評な変更(特に金銭絡みのもの)をおこなった際、多くのユーザーは懐疑的になる。わざとゲームを改悪し、あえてそれを修復することで運営体制を良く見せようというマッチポンプを働いているのではないかとの不信感が湧くのだ。

現状のコミュニティの状況に対し自身の見識を述べつつ、Rigney氏自身はそうした操作をおこなうスタジオでは働きたくないと表明。同時にRespawn Entertainmentチームも同様に感じていると述べた。運営側による陰謀論を、コミュニケーションディレクターとしての経験を踏まえて否定したかたちだ。

Redditではいまだに「単純にバトルパスを以前のかたちに戻してほしい」との声も根強い。しかしこうした意見に対しRigney氏は否定的だ。ライブサービスである以上試行錯誤は必須。仮に開発者が失敗作を実装してしまってもすぐに元通りにするのではなく、まずは原因を深く理解することを優先する。そのうえで微調整を加えながら、影響を観察し、よりよいものに仕上げていくはずだという。Rigney氏はあくまで自身がコミュニケーション管轄の人間に過ぎないとしながらも、失敗を恐れて開発を停滞させる姿勢に対しては首肯しがたいとの姿勢を見せた
 

 
また日本時間で11月7日深夜には、ディレクター陣総出で「AMA(Ask Me Anything/何でも聞いてね)」スレッドが立てられた。シーズン7全体に関する質問が集められたが、やはり最大のトピックはバトルパスについて。開発中に進行度の問題に気づけなかった体制などが厳しく追及され、新レジェンドやマップなどの開発に押されてバトルパスシステムの検証が不十分だったことなどを認めている。

Rigney氏は自身のTwitterでもバトルパスシステムの失敗について言及。「バージョン1では失敗しましたが、今後に向けて改善していきます」と表明している。

https://twitter.com/RKRigney/status/1324516835899760641
Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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