Steamコミュニティで「他ストアのゲームを宣伝すること」は厳禁、Valveが開発者向けガイドにてスタンスを再強調

Steamを運営するValveが、「Steamコミュニティ」に関する開発者向けガイドラインを更新していたことが明らかになった。Steamコミュニティで「他ストアのゲームを宣伝すること」は厳禁のようだ。

Steamを運営するValveが、「Steamコミュニティ」に関する開発者向けガイドラインを更新していたことが明らかになった。Steam以外で販売されているゲームの情報の扱いについて言及する内容となっており、海外ゲーマーの注目を集めているようだ。

Steamコミュニティとは、Steamに用意された掲示板やユーザーレビュー、ワークショップ、スクリーンショット管理、またメーカーが掲載するニュースページなどの総称である。Steamを通じてメーカーとユーザー、あるいはユーザー間で交流できるあらゆる標準機能のことを指す。Valveは、Steamコミュニティの各詳細や設定方法などを開発者向けサイトにて案内しており、その中では「よくある質問」としてFAQも用意。海外フォーラムResetEraのユーザーAshenOne氏は8月18日、このFAQに新たな項目が追加されていると報告した。


上の画像の英語部分が、今回新たに追加された項目だ。まだ日本語に翻訳されていないことから、比較的最近更新されたものであることがうかがえる。内容としては以下のようなものとなっている。

Q:Steam以外で販売している私のゲームのことを消費者に知らせるために、Steamコミュニティを使うことはできますか?

A:Steamを通じて販売しているゲームの中や、Steam上でのコミュニケーションにおいては、あなたはSteam版についてのみ案内することができ、ほかのストアでのリリースについての利用はできません。これは、あなたのゲームの本編および現在配信中のバージョンに変更を加えるコンテンツパッチの、両方の情報について適用されます。

つまり、ほかのストアで販売しているゲームの宣伝を、Steamを使っておこなうことは認められないとしているわけだ。PCゲームストアはSteam以外にもいくつも存在するが、念頭にあるのはおそらくEpic Gamesストアだろう。同ストアではSteamに先んじて配信されるタイトルが多く、同じゲームのストアページが未配信のSteamにも用意されている例がよく見られる。


もともとSteamでの販売を予定していたタイトルが、Epic Gamesストアでの時限独占販売に切り替わることがこれまでにいくつもあり、そのたびにSteamユーザーからは「SteamをEpic Gamesストア版の宣伝に使うな」「Steamのストアページを一旦取り下げるべきだ」といった批判の声がメーカーに寄せられてきた。これをValveとしてもメーカーに釘を刺した形だ。

もっとも、Steamユーザーはストアに掲載されたゲーム概要やトレイラー、スクリーンショットなどを指して宣伝と指摘することが多いが、メーカーがほかのストアでの先行配信について明確に言及して案内することはほとんどない。そのため先述のFAQの内容に照らすと、ストアページおよびSteamコミュニティの公開自体は依然認められていると受け取ることができそうだ。一方で、マルチプラットフォームタイトルの場合、Steam版と同時にコンソール版のリリースについてもSteam上で案内するメーカーが時折見られる。FAQでは「Steam版についてのみ案内することができる」としており、この辺りには今後メーカー側の対応に変化が見られる可能性はあるだろう。Steamニュースには、ほかのゲームやストアに関する情報を掲載したい場合に「クロスプロモーション」というタグを設定可能。ストアページには表示されないが、フォロワーのアクティビティフィードなどに流すことができ、こちらの利用が進むかもしれない。
【UPDATE 2020/8/18 14:40】
クロスプロモーションについて追記

ちなみにValveは昨年、Steam Directを利用するデベロッパーに対して、Steamを含め複数のストアにてゲームをリリースする場合は、Steamでも同時期に発売することを求めるようよう規約を変更したと伝えられている(関連記事)。こちらもSteamを使った他ストアでのリリースの宣伝を防ぐ狙いがあると考えられ、今回のFAQ更新によってValveの姿勢はより明確になったと言えそうだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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