『Bloodborne』スピードラン記録が、新グリッチの発見で更新ラッシュ。無強化武器でロマを倒すルートで24分切りも間近に
先日弊誌にて新しいスキップが発見されたことを報じた『Bloodborne』だが、新しいグリッチの発見とルートの最適化が進み、ここ1週間はAny%スピードランが更新ラッシュの状態となっていた。新しいグリッチ技はこれまでのルートの鬼門でもあった「ヤーナムの影」戦を劇的に楽にするもので、これによって無強化の武器で「白痴の蜘蛛、ロマ」戦まで駆け抜けるのが現在の主流のルートとなっている。現在の記録はDistortion2氏による24:09であり(Speedrun.comには未反映)、ゲーム内時間24分切りも目前となっている。
更新ラッシュの最初のきっかけともなった診療所の犬を使った壁抜けグリッチは、「Clinic Skip」という名前で知られるようになっており、少し違った形でルートへと組み込まれている。発見当初は診療所内、階段上にある壁を抜ける形で利用されていたこのグリッチだが、犬の掴み攻撃で抜けられる壁はそこに限られているわけではないことが後に判明した。今のルートでは、診療所の裏手側に繋がる一方通行の扉(本来ならば禁域の森側から回ってきてレバーで開通する場所)を壁抜けする手法が取られている。結局のところ、同グリッチを使うのはこのショートカットを開通させるためであるため、同じ壁抜けならこちらの方が目的を達成するのが早いというわけだ。
Clinic Skipが成功した後は狩人の夢でノコギリ鉈を拾い、さきほど開通させたショートカットでいきなり禁域の森へと降りていく。もちろん武器を拾った以外は全てが初期ステータス、初期装備の状態だ。以前のルートではこの状態でヤーナムの影を倒すのが困難であったためにガスコイン神父を倒すルートが採用されていたが、その省略を可能にしたのが新しいグリッチ技だ。このグリッチはヤーナムの影のAIを起動させることなくボス戦エリアに入れるというもので、発見したのはClinic Skipと同じくGiantCookieJar氏となっている。
禁域の森に配置されている特定の樹の上にジャンプで登り、壁抜けを繰り返してヤーナムの影のボスエリアに入る。最初は普通にボス戦闘が始まるのだが、ここで一度ゲームを終了しプロファイルロードを挟むとなぜかヤーナムの影のボスAIが起動していない状態でボスエリアに入れるのだ。体力ゲージこそ表示されないものの、この状態でもヤーナムの影は攻撃して倒すことが可能であり、ランキラー(run killer、スピードランにおいて特に難所とされるボス戦など)として有名なヤーナムの影を一方的にタコ殴りにできる画期的なグリッチ技だ。『DARK SOULS III』のスピードランを見たことがある人の中には、同様のAI無効化グリッチが「深淵の監視者」戦や「王たちの化身」戦にもあることを覚えている人もいるだろう。パッチやルート、カテゴリによって実際にルートに組み込まれるかどうかは分かれるが、こういった「ボスAIをトリガーさせずに戦う」グリッチ技はソウルシリーズのスピードランではある程度定番ではあるのだ。
ヤーナムの影を一方的に倒せるようになったことによって、ルートの山場は実質的に最初のボス戦でもある白痴の蜘蛛、ロマ戦へと移っている。ヤーナムの影戦後、ビルゲンワースで一度狩人の夢には戻るものの、そこではレベルアップと火炎瓶/輸血液の購入を行うのみで武器の強化はできない。無強化ノコギリ鉈のままでロマ戦に突入するため、このルートは「+0 Rom Route」などと呼ばれている。獣血の丸薬有りでも従来ルートでのロマ戦に比べて圧倒的に火力が足りておらず、チビ蜘蛛含めてほぼ全ての攻撃が即死級であるため非常に厳しいボス戦となっている。火炎瓶も、現在はこのロマ戦の事故死率を下げるために購入されていることが多い。
しかし、このロマ戦さえ抜けてしまえば残りは従来のAny%とほぼ変わらない。啓蒙で強化素材が交換可能となるためロマ戦後は+2、再誕者後は+8まで武器も強化される。その後に残るはミコラーシュとメルゴーの乳母のみとなっており、ボス戦の体をなしていないヤーナムの影を除けばボス戦は全部で4体のみという驚異のルートとなっている。
現在このルートでの世界記録は24:09となっているが、トップ走者で現在リーダーボード2位の記録を持つRomanticore氏などは「現実的にも23分切りは十分ありえる」と述べている。新しいルートということで『Bloodborne』に戻ってきている走者なども増え、リーダーボードの更新は非常に活発だ。また、Clinic SkipはAny%だけではなくAll Bossesカテゴリにも輸入されており、そちらの新ルートにも注目だ。