Epic Gamesストア、ゲーム内に外部決済システムを実装できるよう開発者向けポリシー変更。そこから発生した売り上げは全てデベロッパー取り分
Epic Gamesストアのポリシー変更により、サードパーティのデベロッパー/パブリッシャーが、ゲーム内課金用の決済システムを独自に実装できるようになった。GamesIndustry.bizやVentureBeatなどが報じている。デベロッパー/パブリッシャーは、Epic Gamesが提供する決済システム、もしくは独自に実装した決済システムのどちらを採用してもよい。独自に実装した決済システムを介して生じた売り上げは、全てデベロッパー/パブリッシャーのものとなり、Epic Gamesのレベニューシェアは発生しない。
Epic Gamesストアは現状、Steamのような他のゲーム販売プラットフォームに比べて決済手段が限られており、デベロッパー/パブリッシャーとユーザーの双方にとって懸念点となり得る。今回のポリシー変更により、デベロッパー/パブリッシャーが望めば、Epic Gamesストアの決済システムよりも幅広い地域に適した外部決済システムを採用できるようになる。外部決済システムの実装という負担はかかるものの、ゲーム内課金による売り上げはEpic Gamesにレベニューシェアを支払わなくてもよいという利点がある。
Epic GamesのCEO Tim Sweeney氏は今回のポリシー変更について、「我々は、最善のストア、ゲーム内決済プロセッサー、オンラインサービス、エンジンを選択し、それらを各々が望む組み合わせで使用するという、デベロッパーの権利をサポートします」とコメント。独自に組み込んだ決済システムからはレベニューシェアを取らないという点については、デベロッパー/パブリッシャーが収入をより多く手元に残せることで、「より大きな、より優れたゲームを作るために投資」できるようになると語られている。
Epic Gamesストアでは時限独占タイトルの販売が盛んであるが、Sweeney氏としては今回の件に限らず、「独占」よりも「選択の自由」を強調する発言が多い。Electronic Arts(以下、EA)がSteamでのゲーム販売を再開すると発表した際には、「この新しいマルチストア・ワールドで提携関係を結び直し、マルチプレイにおけるOriginとSteamの完全な互換性をサポートすると発表した、EAとValveにお祝い申し上げます。Steamで最初にリリースされるEAタイトルは、『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』。Unreal Engine 4製です」と、Epic GamesのUE4採用タイトルであることに言及しつつ、祝いのツイートを投稿した。『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』発売後にも、「すばらしいゲームであり、Twitchでは、ストームトルーパーのスキンを提供中の『フォートナイト』と視聴者数首位を争っています。同作はOrigin、Epic Gamesストア、Steam、Xbox One、PlayStation 4で販売されています。これが新しいマルチストア・ワールドなのです。すばらしいですね!」と、複数のストアが並列する時代を歓迎する旨の発言を残していた。
Jedi Fallen Order is an amazing game and is swapping in and out of #1 on Twitch beside Fortnite featuring the Stormtrooper outfit. It’s on Origin, Epic, Steam, Xbox, and PlayStation. THIS is the new multi-store world and it’s awesome! pic.twitter.com/zBqFtAHlaK
— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic) November 16, 2019
またSpatialOSを提供するテック企業Improbableが、Unityサービス利用規約違反によりUnityライセンスを剥奪されたと報告された際にも、Unityと同じくゲームエンジン提供者であるEpic Gamesは、デベロッパーの選択権の尊重、プラットフォームやソフトウェア間の相互運用性などの重要性を訴えていた。なおUnityは後日、サービス利用規約を再変更し、SpatialOSを含む外部サービスの利用を許容すると発表している(関連記事)。
デベロッパーに選択権を与えるよう唱えてきたEpic Games。今回は新たに、ゲーム内課金の決済手段について選択の自由が与えられた形となる。Epic Gamesストアは、Steamに比べるとストア機能が不足気味。今回の取り組みは、決算手段が限られているという短所を、ストア機能の拡充ではなく、ポリシー変更により部分的ながら解消する術とも言えるだろう。なおEpic Gamesストアではデベロッパー向けの対応だけでなく、ユーザー向けの機能提供も進んでおり、今年7月にはクラウドセーブ機能が導入され始めた。10月にはストアページに検索窓・フィルター機能が追加され、今後はウィッシュリスト機能の追加、ライブラリのグリッドビュー更新、ゲームページへの評価レビュー導入(OpenCritic)などが予定されている。