Unityがサービス利用規約を再変更し、SpatialOSを含む全ての外部サービスの利用を許容。SpatialOS提供元もUnityサポート継続を約束

Unityは1月16日、同社が提供するゲームエンジンのサービス利用規約を改定した(公式ブログ)。今回の改定により、Unityを利用しているデベロッパーは、どんな外部ツールであっても、自由にUnityエンジンと統合してよい旨が定められた。これにより今月Unityライセンスをはく奪されたImprobable社のSpatialOSも、規約違反が解除される。

SpatialOSは、小規模なスタジオであっても大規模なオンラインマルチプレイを実現できるという点を強みとした、クラウドベースの開発プラットフォーム。ひとつのサーバーごとにゲーム世界を構築・運営する一般的な手法とは違い、複数のサーバー・複数のゲームエンジンを連携させることで、大規模かつ複雑なゲーム世界を分割してシミュレートしながら、シームレスに連携させることが可能。主な機能はサーバーネットワークやゲームのホスティングであり、開発における素早いイテレーションや軽い動作を強みとしている。SpatialOS採用タイトルとしては運営中の『Worlds Adrift』『Lazarus』や、現在開発中の『Scavengers』『Mavericks: Proving Grounds』などが挙げられる。

Image Credit:Improbable

まずは今回の改定に至るまでの経緯を振り返っておこう。Unityにおける外部ツールの利用を巡っては、SpatialOSを提供しているImprobable社が、1月10日に「サービス利用規約違反によりUnityライセンスを停止された」と発表。ゲームのサポートに支障が出ると主張すると共に、Unityの同業他社であるEpic Gamesと手を組み、ゲームエンジンや開発ツールの乗換基金を設立した(関連記事)。

Unityの変更前のサービス利用規約では、サードパーティ製のサービスと組み合わせてUnityランタイムをクラウド上で実行する場合、そのサービスはUnityとパートナーシップを結ぶ必要があると定められていた。クラウドベースのImprobableは、まさしくそのパートナーシップの締結が必要なサービスに該当するものの、パートナーシップ締結に向けた交渉が決裂したことから、今年1月にUnityライセンスがはく奪された。またパートナーシップを結んでいないにも関わらず、あたかもUnityとImprobableが提携しているかのような表現を用いていたこともUnityより指摘されている。

Unity側は規約違反に該当するのはあくまでもImprobableのみで、SpatialOS利用タイトルには影響は出ないと説明していたが、Improbableからは、SpatialOSとUnityをセットで利用している全てのタイトルが規約違反に該当するという誤った情報が発信されたこともあり、混乱を招くことになった。

そしてImprobableと共に基金を設けたEpic Gamesは、「より開かれたエンジン」に乗り換えるための基金であると説明していた上で、「デベロッパーがパートナーとソフトウェア コンポーネントを自由に選択できることを尊重」「公平で開かれたビジネス関係、デベロッパーの選択権に対する尊重、プラットフォームやソフトウェア、サービス間における完全な相互運用性といった価値観を共有する企業のコミュニティが欠かせません」と語ることで、暗にUnityがそれらに該当しないクローズドな企業であるとの印象を与えていた。

Improbableは2018年10月、Unity向けのGame Development Kitを公開している

こうした駆け引きがあった上での、規約変更なのである。今回の規約変更によりImprobableの規約違反は解除され、彼らのライセンスを復活させることも可能になると、Unityの公式ブログ上で記されている。なお、規約変更により外部ツールの利用は開発者の自由となるが、Unityが全ての外部ツールとの互換性を保証しているわけではない。SpatialOSに関しても同様だ。Unityの公式ブログでも「SpatialOSは私たちがサポートするサードパーティのサービスではありませんが、開発やリリースするゲームに引き続き使用できます」と説明されている。外部ツールの利用を認めることと、サポート対象の外部ツールとして認定されることは別である。

またUnityは今回の規約変更利用について説明するにあたり「先週多くの混乱があり、誤った声明が提起され、私たちからもこれに反論しました。しかし、最も重要なことは、エンドユーザー使用許諾契約書(EULA)/利用規約(TOS)の制限が厳しすぎるというUnityコミュニティからの声を聞いたことです」「Unityでゲームを作るときは、デベロッパーがコンテンツを所有しており、それを好きなところに置く権利を持っています。UnityのTOSはこの原則 – つまり私たちが何者かというUnityの本質を的確に反映していませんでした」と述べている。Epic Gamesの表現を借りれば、「より開かれたエンジン」になるための規約変更なのである。

なおUnityのCEO John Riccitiello氏とCTO Joachim Ante氏はRedditにてユーザーからの質問を受け付けるAMA(Ask Me Anything)を実施。Improbableのライセンスを止めた理由について述べる中で、サービスプロバイダーのライセンスをはく奪したケースはImprobableが初めてであり、彼らがオープンな対話に応じてくれれば、ライセンスはく奪という事態には至らなかったであろうと回答している。「サービス利用規約違反により彼らのライセンスを停止するというのは、正しい判断であったと考えています」。

SpatialOSを用いて開発されているUnity製タイトル『Worlds Adrift』

こうしたUnityの対応を受けてImprobableは自社の公式ブログを更新。今後もUnityエンジン向けのサポートを継続していく意向であることを明確にした。Improbableは「これにより、汎用ゲームエンジン最大手3社(Unreal Engine、Unity、CRYENGINE)が、開発者はエンジンをクラウド上のどこにでも自由にホストしてよいと認めたことになります。これは仮想現実の未来を切り開く上での、技術的に重要な一歩となります」と答えている(VentureBeat)。一連の騒動は、Improbable社の望みが叶う形でひとまずの決着がついたと見てよいだろう。

なおImprobableは今回のブログ更新とあわせて、SpatialOSがモバイルプラットフォーム向けにも対応予定であることを告知している。詳細については3月に開催されるGDC 2019にてアナウンスするとのことだ。

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