『フォートナイト』のEpic Games、コカインのように中毒性の高いゲームを作ったとして訴訟の可能性。消費者への注意喚起を怠ったとの主張
カナダの法律事務所Calex Légalが、『フォートナイト』運営元のEpic Gamesを相手取った集団訴訟に向けて準備を進めている。Epic Gamesは意図的に中毒性の高いゲームになるよう『フォートナイト』を作ったうえで、その中毒性の高さについてユーザーへの注意喚起を怠ったとの主張に基づき、集団訴訟を検討しているとのことで、海外メディアのCBCやEurogamerが取り上げている。
原告は未成年の子供を持つ親2人。子供たちの生活を壊すほどに中毒性が高いのであれば、『フォートナイト』をプレイすることを認めなかった、もしくは、より入念に監視していただろうと伝えている。Calex Légal所属の弁護士であるAlessandra Esposito Chartrand氏は『フォートナイト』の中毒性の高さをコカインに例えた上で、「Epic Gamesは『フォートナイト』の開発にあたり何年にもわたり心理学者を雇用し、中毒性が可能な限り高くなるよう努めた」と語っている。そしてその中毒性の高いゲームについて注意喚起が不足したまま、青少年向けの商品として市場に出したことをとがめている。
今回の訴訟準備にあたっては、世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」を疾患として認めたことも強調。またChartrand氏は、原告が住むカナダ・ケベック州での先例を引き合いに出している。2015年、タバコ会社が喫煙の危険性について消費者への十分な注意喚起を行わなかったと、ケベック州の上級裁判所が認めた事例があり(CBC)、Epic Gamesの『フォートナイト』においても中毒性の高さについてユーザーに対する注意喚起を怠ったことを問題視している。訴訟に持ち込まれた際の論点はここになるだろう。なおタバコ業界の事例に関しては最初の訴状提出は1998年であり、上級裁判決まで17年かかっており、その後も被告側の異議申し立てが続いた。
【UPDATE 2019/10/07 15:30】裁判所表記を修正。
そもそもEpic Gamesの利用規約には、「集団訴訟の禁止」という項目があり、「本契約に関連して生じるいかなる紛争も個人として解決し、集団訴訟を提起せず、また、いかなる集団訴訟にも参加しないことに同意するものとします」と記されている。『フォートナイト』のエンドユーザーライセンス契約にも、「集団訴訟の放棄」という項目がある。この点についてChartrand氏は、ケベック州の消費者保護法では、各企業は提供サービス・商品に関わるリスクを明確に開示する義務があるとして、この利用規約の条項は裁判時に有効とは見なされないと主張している。
『フォートナイト』に関しては本件以外にも、同作のセキュリティ上の脆弱性によりアカウントハック被害にあったと主張する米国ユーザーたちからの集団訴訟も発生している(関連記事)。ユーザーからの申し立て以外にも、ゲーム内ダンスエモートに関する著作権侵害の訴えが相次いでいた。世界的な人気作品ということもあり訴訟案件が報じられる機会が多い本作。はたして、中毒性の高いゲームを作った企業が注意喚起義務を怠ったという主張はどこまでとおるのだろうか。