任天堂は10月22日、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下、スマブラSP)更新データVer.9.0.1を配信開始した。先日ファイターとして『マインクラフト』から参戦していたスティーブ/アレックスは、トリッキーなファイター。採掘やクラフトを用いた戦法を繰り広げる。ただし、ブロックとトロッコについては、その仕様がトリッキーであるがゆえに、床抜けなどの不具合を引き起こしていた。そうした現象を修正するのが、今回のパッチであるだろう。
変更内容は以下のとおり:
・スティーブ/アレックスが特定の位置に「ブロック」を生成した状態で、対戦ファイターが「ブロック」を破壊すると、まれに対戦ファイターが地形を抜けることがある問題を修正しました。
・スティーブ/アレックスが特定の位置に「ブロック」を生成した状態で、対戦ファイターをはさむように下空中攻撃で「金床」を作り出したとき、まれに対戦ファイターが地形を抜けることがある問題を修正しました。
・スティーブ/アレックスが特定の状況で対戦ファイターに「トロッコ」をヒットさせたとき、対戦ファイターが操作不能になることがある問題を修正しました。
・スティーブ/アレックスの「トロッコ」が壁に反射した場合、対戦ファイターに「トロッコ」がヒットしないことがある問題を修正しました。
・スティーブ/アレックスの「トロッコ」で対戦ファイターを拘束した際、まれに対戦ファイターが拘束された元の地点にワープすることがある問題を修正しました。
・特定のファイターが一度撃墜されたあとに、スティーブ/アレックスの「ブロック」をすり抜けることができる問題を修正しました。
しかしユーザーは、別の項目に視線を集めているようだ。それは「勝利演出」である。スティーブ/アレックスは、勝利演出でも『マインクラフト』らしさを見せていた。クリーパーが登場したり、あるいは家を建てたり。その中で、彼らが勝利を祝して肉を食べ、ゲップするという演出が存在していた。今回のアップデートでそうした勝利演出が変更されているのだという。
以前の肉を食べる勝利演出は、スティーブ/アレックスがステーキを貪り、そのまま腰のあたりに据えるというものだった。動画で見れば、肉を食べてゲップして終わるというだけの、シンプルな演出だった。しかしその演出の切り取りが、開発側にとって意図せぬかたちで広がった。というのも、ステーキが性器のように見えるとの情報が広まったのだ。不埒な輩が、スティーブが股間に肉をあてがうシーンを切り取り、「性器を露出している」とジョークまじりにSNSに投稿したことで、複数のメディアに面白おかしく取り上げられていた。演出全体を見れば、性器の露出を示唆する内容ではないことがわかるが、画像だけ確認するとそれっぽくは見える。
結果的には、Ver.9.0.1ではステーキを食べる演出はそのままに、その後ステーキが消えている。肉を食べきったというかたちになるのだろうか。なおこの変更は、上記のパッチノートには記載されていない。サイレント修正というわけだ。
もちろん、ステーキが性器に見える構図は、開発側が意図したものではないだろう。このシーンにおいて性的な示唆はまったくなされていない。ユーザー側も“そう見える一瞬”をからかっていただけで、強く懸念していたわけではない。しかしながら、『スマブラSP』はCERO Aタイトルであり、『マインクラフト』は低年齢向けにも人気の作品。万が一誤解されたとすれば、両作が安心して遊べるゲームであると信頼する両親にとって不安の種になってしまうという可能性が否めない。そうした可能性を懸念して、念の為に手をうったと考えられそうだ。そもそも、複数の海外メディアが「性器に見える表現の可否」について任天堂に問い合わせを入れており、問い合わせを介して米任天堂が問題を認識したのかもしれない。
事故的に一瞬性的な演出に見えるだけだとしても、対応に追われることになる。『スマブラ』と『マインクラフト』というIPの大きさゆえの苦悩だと言えそうだ。『スマブラSP』はNintendo Switch向けに配信中。スティーブ/アレックスについては、税込3300円のファイターパス Vol. 2を購入するか、税込662円の単体パックを購入することで使用可能だ。