『あつまれ どうぶつの森』はやはり「セーブデータお預かり」には非対応、時間操作対策か。しかし独自仕様でバックアップを検討
任天堂は2月6日、公式ホームページの『あつまれ どうぶつの森』のトピックを更新。ゲームにまつわる仕様に関して追記した。ユーザーおよびセーブデータのお引っ越し非対応など、細かいながらも重要な仕様について明らかにされている。その中で同作が、Nintendo Switch Onlineのサービスのひとつである、「セーブデータお預かり」に非対応であることが明らかになった。一方で、本ソフト独自の形で、セーブデータをバックアップする機能を検討しているという。
『あつまれ どうぶつの森』は、Nintendo Switch向け最新作。最新プラットフォームでリリースされることや、ひとつの島を舞台とすること。オンライン要素がこれまで以上に深く導入されていることなど、さまざまな点で変化が見られるタイトルであり、小さな仕様についても注目が集まっている。これまでにも、海外メディアのインタビューを通じて、リセットさんがリストラされることなどが判明していた。一方で疑問を呈されてきたのは、セーブデータの周りの仕様である。
ドイツのゲームメディアGameKultのインタビューにて、「『あつまれ どうぶつの森』は、Nintendo Switchのクラウドセーブと自動バックアップとどのように関わっていくか」と問われた野上恒プロデユーサーは、「『あつまれ どうぶつの森』をクラウドバックアップに対応させるつもりはない」とコメント。その理由として、ゲームの重要な要素のひとつである、時間を操作できないようにするためだと説明していた。
『どうぶつの森』シリーズのゲーム内では、実際の時間と同じような朝昼夜が存在し、住人たちや生物も時間にあわせて生活する。夜に遊べば星空を見ることができたり、昼に遊べばより多くの住人とふれあえるなど、実生活とリンクした没入感の高いゲームデザインが特徴。ゲームをプレイする時間帯が限られているがゆえに、時間操作をするユーザーも存在する。ただ、オンライン要素が導入されて以来、プレイヤー間で時間が異なることによって生じるトラブルが跡を絶たない。「プレイヤー間で時間が同じ」ことを前提とするゲームの中で、大きく時間差のあるプレイヤーが島にくるとどうなるか。もしくは島にいくとどうなるか。どのような弊害が出るかは、想像に難くないだろう。
そうした経緯もあり、『あつまれ どうぶつの森』におけるクラウドバックアップ、すなわちセーブデータお預かりを非対応にしたのだと考えられる。一度セーブデータを預けたのち、時間操作などをしてやり放題したのち、もとのセーブデータに戻す、といった遊び方ができるからだ。しかし一方で、このインタビューを読んだユーザーから反発の声が相次いでいた。
というのも、『どうぶつの森』シリーズは膨大な時間を費やし遊ぶ、セーブデータが極めて重要な作品で、Nintendo Switchは持ち運びできる関係で、紛失しやすいハードだからだ。「セーブデータお預かり」非対応ならば、一度紛失すればデータはすべて消えてしまう。そんな懸念がコミュニティでは生まれ、抗議活動にまで発展していた(Change.org)。コミュニティは代案も出しており、クラウドセーブにおいてもたとえばバックアップデータのダウンロードに1年ごとの制限をかけたり、最後のセーブをしてから一定の待機時間を設けるなど、独自の形で「セーブデータお預かり」の実装を提案していた。2万2000人以上のユーザーがクラウドセーブ非対応について抗議していたわけだ。
この抗議が実ったのかは定かではないが、「セーブデータお預かり」については非対応ながらも、独自の形でセーブデータをバックアップする機能を実装することが検討されている。 抗議していたユーザーに対してひとつの回答をすることになった。 ただし、対応時期は未定で、Nintendo Switch Online加入者に限られた機能になることを留意したい。単に抗議をすれば仕様が変わるというわけではないだろう。優秀なスタッフらによる慎重な検討のすえに、仕様は決められているはず。ただし、今回の独自でのバックアップ機能の導入検討が発表されたことは、任天堂がコミュニティの声に耳を傾けていると解釈できるかもしれない。どのような形でバックアップが実装されるのか、注目が集まりそうだ。
『あつまれ どうぶつの森』は、Nintendo Switch向けに2020年3月20日に発売予定だ。