『PAYDAY 2』開発再開。前言を撤回し、キャッシュを得るべく新たなコンテンツ制作を進める

StabreezeのCEOであるMikael Nemark氏は、同社の傘下にあるOverkillが手がけた『PAYDAY 2』について、開発を再開すると発表した。『PAYDAY 2』の新コンテンツが再び制作されるようだ。

StabreezeのCEOであるMikael Nemark氏は、同社の傘下にあるOverkillが手がけた『PAYDAY 2』について、開発を再開すると公式サイトおよびSteamコミュニティにて発表した。『PAYDAY 2』といえば、Overkillが手がけ一世を風靡した強盗FPS。人気タイトルながらも2013年に本編がリリースされた作品ということで、新プロジェクト開発にともなう開発終了が示唆されており、2018年冬に正式に開発が終了された。しかし方針を変更し、再び同作のDLCを開発していくことを表明している。11月には早速新DLC「Border Crossing Heist」がリリースされるようだ。

「Border Crossing Heist」ストアページにあるのは、現時点で数枚のスクリーンショットのみ

『PAYDAY 2』は2013年に発売された4人協力プレイ・クライムFPSだ。マスクで顔を隠し、仲間と協力して銀行強盗をおこなう。発売以来重ねてきたアップデートは100回を越え、数々のDLCも配信されてきた。同作そのものは大きな成功を収めた作品であるが、次なる作品として『OVERKILL’s The Walking Dead』の開発に挑戦した結果、ゲームは販売不振に、Stabreezeは経営危機に陥ってしまった。2019年に入ってからはキャッシュの確保に奔走しており、先日には、水面下に動いていた『PAYDAY 3』を2022~2023年に販売する計画を明かしていた。まず『PAYDAY 3』の販売契約を2020年上半期に締結し、販売パートナーからの最初の支払いが同期におこなわれる見込みであるようだ。

とはいえ、今同社に必要なのはすぐ入ってくるキャッシュである。今回の発表でもNemark 氏は、Starbreezeが経営危機状態にあることにふれながら、『Payday』シリーズの将来について考え始めたとコメントしている。販売不振に陥っている『OVERKILL’s The Walking Dead』については、「The Walking Dead」のIPを保有するSkybound Entertainmentから、「ゲームが求める水準にも約束されていた品質にも届いていない」と認定され、契約を打ち切られることとなり、同作はSteamストアから取り下げられてしまった。コンソール版の発売も中止されており、Starbreezeはもう『PAYDAY』シリーズに頼るしかないというのが正直なところだろう。

ただし、『PAYDAY 2』の開発再開は、制作陣がコンテンツつくってリリースするだけのシンプルな話ではない。というのも、2017年に同社は、『PAYDAY 2』にてリリースされる(もしくはされる予定)DLCをすべて提供する『PAYDAY 2: Ultimate Edition』なる作品をリリースしていた。このDLCをすべて提供するという同エディションの謳い文句を、正式に撤回すると今回発表されている。『PAYDAY 2: Ultimate Edition』にかわる、2018年までのコンテンツをすべての収録する『PAYDAY 2: Legacy Collection』が本日よりリリースされた。

Nemark氏は、「約束を破ることになるが、軽々しく破るつもりはない」としながらも、『PAYDAY 2』は発売から6年の歳月の中で、大量のDLCがリリースされ、その額はすべてあわせて200ドルにも及び、それが新規ユーザーの参入を防いできたと説明。『PAYDAY 2: Ultimate Edition』は、そうした新規ユーザーのためのパッケージとして生まれたものであるとコメント。それは次なるPAYDAYが立ち上げられるまでの、PAYDAY 2のすべてのコンテンツを収録するものだったという。

しかし現在、『PAYDAY 2』の新コンテンツを開発するためにはサポートが必要であるとし、その約束を破らざるをえないと意思表明している。『PAYDAY 2: Legacy Collection』のリリースにともない、『PAYDAY 2: Ultimate Edition』発売以来バンドル購入のみ可能だったDLCは個別購入可能になっている。

Stabreezeが経営危機に陥っているのは自他共認める事実。そうした経緯もあり、未だ同社の売上の多くを占め、最後の頼みの綱である『PAYDAY 2』が再び始動する。Stabreeze(Overkill)は、2013年のゲーム(および派生スマートフォンタイトル)で食いつなぎ、最新作をリリースすることができるのだろうか。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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