『SlashZero』クローズドβテスト感想。ローグライト要素や爽快感には課題あり、それでも素材の魅力で楽しめた7時間

「サイバーパンク」よりも「SF」が似合う本作。クローズドβテストで感じた課題と可能性をお伝えしたい。

パブリッシャーのSkystone Gamesは3月27日、Streetlamp Studioが開発する『SlashZero(スラッシュゼロ)』のクローズドβテストを開始した。本作はアニメ調のグラフィックが特徴的な横スクロールのアクションゲームだ。複数のステージを踏破してボスに挑むステージクリア型となっており、キャラクターの体力が尽きれば拠点に戻される。しかし、死に戻りを繰り返すことでキャラクターを強化させることが可能。ローグライクの要素も含まれたリプレイ性重視の高難易度ゲームである。

弊誌は『SlashZero』のクローズドβテストに参加する機会に恵まれた。本稿では、約7時間の試遊を通じて得た本作のプレイフィールをお伝えしたい。なお、クローズドβテストの内容は開発中のものであり、製品版とは異なる可能性がある。また製品版では日本語表示に対応予定とされているが、今回のクローズドβテストは日本語に対応していなかったため英語でプレイした。

公式の掲げる「サイバーパンク」よりも「SF」要素強め

本作の舞台は、時間の物理法則が狂ってしまった世界。人々の暮らす世界は本来ひとつだけだったが、時間が分裂するという謎の現象に見舞われた世界は無茶苦茶になってしまう。並行世界は「タイムライン」と呼ばれており、タイムラインによってはモンスターがあふれかえっているありさまだ。本作はステージクリア型のアクションゲームであり、プレイヤーキャラクターたちは各タイムラインに赴いて、世界の時間をひとつに戻すことのできるという「権能の鍵」を探していく。

クローズドβテストでは、さまざまな敵と実践的に戦うチュートリアルからスタート。世界観の観点からいうと、序盤で戦うステージは都会的なビル街となっている。ストーリーを進めていくと下水管や森林などのステージで戦うことになり、思っていたよりもステージはバリエーションに富んでいるようだ。本作はSteamストアページや公式トレイラーでサイバーパンクの世界観を強調しているが、いい意味でも悪い意味でもそこから逸脱していると感じる。

ディストピアを突き詰めたサイバーパンクというよりも、本作の世界観はSFであるような印象を受けた。その最たる例が、時間の守護者たる「シルバー」と呼ばれる存在だ。シルバーの加護によって主人公たちは命を失っても復活可能であり、時間の干渉を受けないという不思議なバーからやり直すことができる。シルバーのことはわからないことが多い。しかし、世界を破滅から救うという目的は主人公とシルバーで一致しており、シルバーの導きによってプレイヤーは複数のタイムラインで行き来して「権能の鍵」を探していく。

クローズドβテストでは、ニックスとフィナの2人の主人公がプレイアブルキャラクターとして登場した。ニックスは二刀流で戦う男性キャラクターで、フィナは二丁拳銃で戦う女性キャラクターだ。アニメ調で描き下ろされた2人のキャラクターイラストには2人が使用する武器が明示されており、ニックスが二刀流で戦う近接重視のタイプであることや、フィナが二丁拳銃で中距離重視で戦うことがわかる点で洗練されている。ストーリーの最初に主人公をどちらか一方を選ぶことになるが、ストーリー進行に応じてもうひとりの主人公と任意のタイミングで交代することができるようになる。

重要なイベントシーンではカットシーンが挿入され、アニメ調のムービーも非常にリッチだ。そのムービーも主人公別に用意されている。チュートリアル後に出会う謎の敵とのバトルは緊張感がありながらも、演出のカッコよさはかなりのものだった。

爽快さの可能性と、その課題

肝心のアクションについて、最初はスタイリッシュでおもしろく感じられるのだが、やがてステージを駆け抜けるような戦い方は難しく感じられるようになった。それにはいくつかの理由があるが、操作性の面では回避のアクションが使いにくかったことが理由のひとつとして挙げられる。回避アクションの挙動がやや鈍いため、相手の攻撃に咄嗟の判断で回避しようとしても間に合わないことが多かった。

結果として被弾してしまい、こちらの連続攻撃が途絶えてしまう。回避アクションとダッシュは同じコマンドに割り当てられていることが鈍重さの原因かもしれないが、回避やダッシュのアクションをもっと俊敏なものに変えることで、抜本的に良くなる可能性を秘めている。トレイラーで見たように、駆け抜けるようなスピード感で群がる敵を倒し、先へ進んでいくゲームになることができれば爽快感のあるアクションを体験できるだろう。

プレイヤーキャラクターの性能だけでなく、敵キャラクターの挙動についても惜しさがある。なにより厄介なのは、近接攻撃に強い敵と遠距離攻撃に強い敵とほぼ同時に戦わなければならないことだ。近距離攻撃主体の敵であっても、こちらの回避反応が鈍いことを知ってか一気に距離を詰めようと飛びかかって攻撃を繰り出してくる。とはいえ相手から距離を取ると、今度は遠距離から銃などでこちらを攻撃してくる雑魚敵もいるのには参った。ただし、近距離でも遠距離でも油断のできない相手が存在することは緊張感の続くゲームプレイにつながっている。初見のステージではどこから敵が出てくるのかわからないなかで、それを看破し連続コンボで相手を殲滅することができたときは快感だ。

本作は雑魚敵が跋扈する小規模のステージを複数クリアして、ボスが待ち受けるステージを目指すという構造になっている。あるステージでは開始地点に降り立つと主人公の両サイドにはすでに敵が潜んでいるが、一旦ジャンプして空中に逃れようとすれば、敵から銃撃が飛んできて被弾してしまう。ステージ開始直後から安全な場所は少なく、短時間で敵の位置を把握して着実に敵の数を減らしていくのが重要となる。横スクロールアクションのセオリーだといえばそうなのかもしれないが、難しさと報酬が見合っておらず、この点もクローズドβテスト時点では改善の余地があると感じた。

ステージをクリアしていく過程がスピーディーではなかったのも、死に戻りを繰り返すゲームとしては継続的にプレイする意欲を削いでいる。雑魚敵のステージをクリアすることで、いわゆるステージボーナスの「権能の恩恵」を得られて、次のステージへ進むことができる。ただし、「権能の恩恵」を得るのにひとつのアクションが必要であり、次のステージへ進むにはさらにもうひとつのアクションが必要だ。街灯から別のステージに移動するのはクールではあるのだが、恩恵を得ることとステージ移動はひとつのアクションでもよかったようにも感じる。周回プレイを前提にするならば、1周のプレイ時間と1体のボス撃破までにかかる時間をできるだけ短い方が望ましい。

クローズドβテストで煩雑さは気になったものの、それはプレイヤーの強化要素について丁寧に説明しようとしていることのあらわれであったのかもしれない。プレイヤーの強化手段が増えることはローグライク要素を持つゲームにとってありがたいことなので、演出方法の変更でより快適になる部分でもあるだろう。

今回は本作での最高難易度に相当するNormalでプレイしたが、都市や下水道のステージを進んでボス敵をクリアするまでに、毎回約20分かかった。ボス敵は初見殺しのような技を使ってくるが、慣れるうちに対処方法を自分で見出すことができる。しかし、思いついたにも関わらず、次に試せるのが20分後だと再挑戦を躊躇ってしまうプレイヤーが存在してもおかしくない。率直に言うと、本作はアクションの難易度が中途半端なように感じた。少なくともクローズドβテストの範囲では、Normal難易度では敵が固く爽快感を感じることができなかった。EASYやStoryといったより簡単なモードも用意されていたものの、標準的な難易度の印象を与えるNormalであれば、もう少し敵が柔らかいと嬉しいところだ。今後の調整に期待である。

厳密なローグライクではないものの周回プレイの楽しさはあり

ステージクリアで得られる「権能の恩恵」はバリエーション豊富で、プレイヤーのスタイルを追求してキャラクターの性能を調整することができる。攻撃の属性やジャンプできる回数を増やすという汎用的なものから、通常攻撃自体を強化してコンボのアクションが変わるといったものも存在した。プレイヤーがどのステージに進むかを選べるため、どのようにキャラクターを強化していくか考える楽しみがローグライクの要素として組み込まれている。

ただし、ローグライク要素についてやや淡白な印象を受けたことも事実だ。ステージこそ選べるものの、基本的にステージの構造や出現するモンスターは変動しない。たとえば下水道のステージでは天井に張り付いたコウモリが一斉に襲いかかってくるのは事前にわかってしまう。このことはローグライク本来の魅力であるランダム要素の度合いを下げており、プレイヤーの知識と経験で臨機応変に突破していく醍醐味が減っている印象だ。ここらへんはローグライクというより固定配置による突破と成長を求めているのかもしれない。

主人公たちは死んだら拠点に戻されるが、前回の冒険が完全に無駄にはならない。このこと自体はローグライクを標榜するゲームからすればマイナスイメージかもしれないが、ゲームをクリアするための成長要素がシステム上存在することは決して悪いことばかりではないだろう。拠点のバーで主人公たちの装備を整えることができるほか、世界を救うという「権能の鍵」は一種のスキル解放形式となっている。たとえば、主人公の最大HPを増やすことができたり、ステージ攻略中に1回だけ復活できたりなど攻略に直結するものも多い。

本作をプレイした結論としてはガチガチのローグライクというものではなく、成長要素が充実した横スクロールのアクションゲームといった印象だ。筆者は公式の掲げるサイバーパンクとローグライクの融合に心惹かれていた。ただCBTの段階ではそこまできちんと噛み合っているわけではないと感じた。

ちなみに死の戻りの拠点であるバーでは、NPCキャラクターと会話することができる。バーの主人であるルイや主人公たちのチップ装備を整えてくれるアンセルは個性的で、繰り返しコミュニケーションを取ることでその人となりを知ることができるのには興味を惹かれた。プレゼントをして好感度を上げるとそのキャラクターの過去が明らかになるのも、周回プレイのモチベーションとなったことは伝えておこう。

サイバーパンク、爽快アクション、ローグライク各要素のブラッシュアップに期待

本作は、「サイバーパンク」や「ローグライク」のガワを期待しすぎると肩透かしかもしれない。筆者もそのひとりであり、サイバーパンク的な雰囲気のあるキャラクターグラフィックやローグライクの要素で本作に興味を惹かれたひとりだ。一方でクローズドβテストで約7時間夢中になったのも事実であり、筆者は先程挙げた問題点を個人的に抱きながらもプレイし続けたい気持ちにさせた。

アニメ調のキャラクターグラフィックをはじめとした、本作の魅力となるところはいくつもあるため、各要素をブラッシュアップしていけばもっと良いゲームになりそうだ。また、独自の用語が飛び交うストーリーについても、製品版で予定されている日本語翻訳が実装されればより深く世界観に浸ることができるだろう。

『SlashZero』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5向けに開発中。

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Ryuichi Kataoka
Ryuichi Kataoka

「ドラゴンクエストIII」でゲームに魅了されました。それ以来ずっとRPGを好んでいますが、おもしろそうなタイトルはジャンルを問わずにプレイします。

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