Epic Gamesは4月6日、Unreal Engine 5を正式リリースした。大規模ゲーム開発を可能とするUnreal Engine 5が、プレビュー版を経て正式版提供へと至った。今回Unreal Engine 5正式リリースに際して、Epic Gamesにちょっとした質問をする機会をいただいた。かなりコンパクトなインタビューであるが、UEを追いかけ続けるゲームスタジオIndie-us Gamesの中村 匡彦氏と共に質問をしたので、その回答をお届けする。回答をしてくれたのは、Epic Gamesのエンジニアリング部門のVPを務めるNicholas Penwarden氏である。
――Unreal Engine 5正式版が遂にリリースされました。Unreal Engine 5を使うクリエイターにどのように使ってほしいとお考えでしょうか?またこの機能をぜひ使ってほしいというお勧め機能はありますか?
Penwarden氏:
Unreal Engine 4 をリリースしてから 8 年が経ちますが、その間、特に日本の開発者による素晴らしいゲームの数々が Unreal Engine 4 によって生み出されてきました。今回のリリースでは大規模なチームも小規模なチームも可能性の限界に挑戦できるようにすることを目的としています。Unreal Engine 5 では次世代のリアルタイム3Dコンテンツと体験をこれまで以上に忠実かつ柔軟に実現することができます。
Unreal Engine 5を特徴づける2つの機能として、 Nanite と Lumen があります。Nanite では数百万ポリゴンで構成される映画品質のアートアセットをインポートしながらリアルタイムフレームレートを維持し、品質を損なうことなく膨大な量のディテールでゲームを構築することが可能です。つまり、次のオープンワールド RPG は、パフォーマンスを犠牲にすることなく、より詳細にそしてより大規模に作ることができるのです。
新しいWorld Partitionシステムではレベルの管理方法とストリーミング方法を変更することで、大規模なワールドの作成プロセスを簡素化し、プレイヤーが探索できる真に広大なワールドを作成するツールを開発者に提供しています。Data Layer では同じ空間に存在するレイヤーとして、同じ世界の異なるバージョンを作成でき、ゲームプレイのイベントによってオン/オフを切り替えることができます。つまり、同じレベルで無傷の橋と壊れた橋を、ゲームプレイを通じて切り替えてプレイすることができます。
――素晴らしいですね。Unreal Engine 5は今後どのように進化していくのでしょうか。Unreal Engine 4と同様の方向性でしょうか?もしくはこれまでと違う方向性も考えておられるのでしょうか?
Penwarden氏:
まず最初にすべての Unreal Engine 4 のワークフローは Unreal Engine 5に引き継がれることを再度お伝えしたいと思います。これには映画やテレビ、ライブイベント、建築、自動車、シミュレーションなどの主要機能が含まれます。また Unreal Engine 4 と同様に既存の機能にさらに機能追加をおこない Unreal Engine 5.0 に含まれていない新機能を発表していく予定です。たとえば Path Tracer で Lumen と Nanite のサポートを組み込むことや Unreal Engine 5 のバーチャルプロダクション機能の改善にはすでに取り組んでいます。
――今後の機能拡充にも期待しています。ところで、メタバースが世界的に話題となっていますが、Unreal Engine 5はメタバースにとってどのような位置付けとして捉えられているのでしょうか?またUnreal Engine 5はメタバースをどのように変えていくとお考えでしょうか?
Penwarden氏:
私たちは、画像や映像を越えた、リアルタイムでインタラクティブな3Dコンテンツがメタバースの基盤になると信じています。 Unreal Engine 5 ではクリエイターが没入型インタラクティブ 3D 体験を構築するためのツールを提供し、Nanite や Lumen といった画期的な新機能によってビジュアルの忠実度を一世代分も高めることに成功しました。
また大規模でフォトリアリスティックな世界の構築を目指すクリエイターのためにあらゆる規模のチームがオープンワールドの作成をより迅速かつ容易に、そしてより協力的におこなえるようにします。 Unreal Engine 5 では新しいWorld Partitionシステムによってチームメンバーは同じ巨大なレベルの同じ領域で互いに干渉することなく同時に作業をおこなうことができます。またUnreal Engine 5ではユーザーエクスペリエンスが向上しているため Unreal Engine はこれまで以上に導入しやすく、習得しやすくなっています。
――今後が楽しみです。ありがとうございました。