アクションゲームを手がける「開発者」たちにきく、アクションゲームの作り方。第四回 インディーアクション『Arcanion』開発者

 

アクションゲームを作りたいというユーザーに向けて、アクションゲームを手がけたクリエイターにその極意を聞くという本企画。もともとは弊社アクティブゲーミングメディアが販売に携わる『アクションゲームツクールMV(Steamリンク)』の購入を検討してもらいたいという目的があったが、職人や開発者たちのこだわりについては多くの方が興味を持っているだろう。 アクションゲームをつくった、もしくはアクションゲームを作っているというクリエイター達に、その真髄の一端をお聞きしていく。第四回のゲストは、ドット絵アクションゲーム『Arcanion』を作り出したJaymonius。

こんにちは、Jaymoniusです。狂人みたいに笑う自称ラスボスです。そして俺のチームメイトが、ゲームの音楽を作ってくれたAbstract the Origin。二人あわせてMonius Productionsです!

『Arcanion』について

『Arcanion』は、自らやりたいレベルを選んでゲームをプレイし、新しいスキルを得たりする懐かしのファミコンゲームのような簡単なプラットフォーマーです。ただし、このゲームではさまざまなチャレンジが待ち受けています。

『Arcanion』は元々2009年に『RPGツクール2003』で作ったRPGでした。ただウケがあまり良くなくて、出した直後にプロジェクトをいったん閉めました。未だに発音は自分でもよく分からないんですが、なんか聞こえがいいなと思った名前だけを残しておきました(笑)。ゲーム開発において『Arcanion』は初めてのタイトルではなかったんです。この10年間『Phantasia』シリーズや『Lost Land』シリーズなども含めて他にも『RPGツクール』でいろんなゲームを作ってきました。なので、ゲーム開発の経験は豊富……と思いたいですね。

『Arcanion』のコンセプトについて

アーカニオンという国の駆け出し女戦士マギーが主人公です。彼女の役割は、襲ってくる侵略者から国を守ること。ただ一方で、戦士達の大修道院が泥棒に侵入され、読者に暗黒なパワーを与える不思議な学術書が盗まれてしまうという事件が起きて、彼女の本当のスキルが試されることになります。その泥棒を見つけ出して、盗まれた学術書を取り戻さないといけない。マギーは、自分とほかの戦士達の住む大修道院の真実を知ることになるんです。

開発について―どこから始めたらいいのか

まずは真っ先にスプライトを手がけ始めました。当然、このプロジェクトを開始して最初に作ったのは主人公のマギーでした。マギーのキャラデザインは元々細かいものだったんですが、開発を続けていると色々と負担がかかり過ぎていることに気付きました。少し休憩をとったのち、ゲームを全体的にもうちょっとシンプルなスタイルにしようと決めていました。その後やはり、スプライトでキャラクターを作った方が楽だなと思い、やり方を変えました。最終的には、マギーをスプライトにすることによって、それまで経験のなかったシーンの背景やタイル作りもやりやすくなりました。大きな学習経験ですね!

旧バージョン・現バージョン
ダウングレードした感じに見えると思うんですが、こうやってシンプルにすることでメンタル的にすごく楽になりました、テヘへ。

ワーキング・スタイル

普段は「今だ」という気分とアドレナリンと、たくさんの飲み物とお菓子が揃ったら作業する感じです。それともう一つ助かったのが、開発のプロセスに関連するゲーム音楽をよく聴くこと。つまり、『Arcanion』開発中にたくさんのゲームサントラを聴いていました。疲れ切ってやる気がなくなってきたら、ちょっとした休憩ととってしばらくの間ほかのことに集中して。それからまたやる気が湧いてきたらやる。そんなことの繰り返しでした(笑)。

開発トラブル

うちのパソコンが古くて『アクションゲームツクールMV』がうまく使えないこと以外、何かが複雑過ぎて解決するのに時間がかかるようなことはなかったです。ただし、未だに水のメカニクスにちょっと困らされています。とはいえ、問題点としてはそれぐらい。とりあえずゲームの数箇所において、少し時間をかけて水のメカニクスの微調整をしておけば、大丈夫なはずです。

『アクションゲームツクールMV 』でゲームを作る際のヒント

いやあ、ここで言いたいことは山ほどあるんですが、とにかくキーポイントだけにしときます。
まずは、何もかもをcenterすること!各オブジェクトをcenterすることでプラットフォーマー作りがすごく楽になるよ。ジャンプやシューティングのメカニクスがある場合は特にですね。

それと、プレイヤー・オブジェクトも敵オブジェクトも、どっちもコリジョン判定が同じであることを確認しましょう。細かくいうと、攻撃と壁の判定。ただし、アクション・プラットフォーマーをクリアしようとしているのにプレイヤー・オブジェクトが敵オブジェクトの真上に立っていることを避けたいので、プレイヤー・グループの壁判定を敵グループに移さなくていい。だけど動く足場などを取り入れるのであればこれは必ず追加した方がいいですね。

最後に、基本設定ではプレイヤーはどのオブジェクトにでも押されることが可能なことを確認しましょう。

アクションゲームを作ってみようかなと考えている人へのメッセージ

とりあえず、取り入れたいメカニクスとか能力から手をつければいいんじゃないかなと思います。そうすると、後からレベルを作る時にまたそれを広めたり追加したりできる。俺はそこから始めたし、そうすれば特定の能力をテーマにしたレベルを作る時にもっと柔軟に調整したり、他に何を加えたらいいか考えたりどんな障害物を取り入れるかを決めたりすることが何時間も作業を止めて戸惑ったりせずに出来るしね。

最後に言いたいのは、人に助けを求めるのも大事だよ。俺たちは2つのプログラミング専用のDiscordもやっているからね。だからいつでも寄ってね、声をかけてくれれば必要であれば助けてあげるから!

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以上が、『Arcanion』を作ったインディーズ開発スタジオのMonious ProductionsのJaymoniusとのインタビュー。同作のリリース日は未定。リリース日を含めて情報を追っていきたい方は、氏のTwitterをフォローしてほしい。@Jaymonius

アクションゲームツクールMVとは
アクションゲームを作りたい。でもプログラミングは難しい。そんなユーザーのための『ツクール』シリーズの新作(ストアリンク)。オーソドックスな2D横スクロールアクションはもちろん、ベルトスクロール、トップビュー、多人数対戦、レース、パズル、ビンポール、シューティング、メトロイドヴァニア…王道のアクションだけでなく、ホラー、アクションRPGも制作できる。2段ジャンプやバックステップ、武器変更、落ちる床も重力設定も、物理演算も楽に設定できる。タイル数回のクリックで、設定をしてステージを作成可能。自由度が非常に高い分、覚えながら理解を深めることが多いが、使いこなせれば多岐にわたるジャンルの作品が自由に作れるようになる。頭の中だけにあったオリジナリティに溢れるゲームを世界に生み出すことができるツール、それが『アクションゲームツクールMV』である。

 

[Special Thanks : Jaymonius]
[協力 : James Mountain/PixCube_(ともにPLAYISM)]