「アンチチートについては、我が社にはノウハウがあります」DNPハイパーテック青木氏【GTMFミニインタビュー】
ゲーム開発ツール&ミドルウェアの祭典「GTMF(Game Tools & Middleware Forum)2018」
の展示者にお話を聞く本企画。第四弾は、DNPハイパーテックマーケティング部の青木弘幸氏。
DNPハイパーテックは、ソフトウェアにプロテクトをかけるセキュリティソリューション開発会社だ。チートおよびクラック対策のプロフェッショナルであり、弊誌でも以前インタビューしている。そんな会社が今目指している立ち位置とは。
――自己紹介をお願いします。
青木氏:
DNPハイパーテック マーケティング担当の青木と申します。
――どういった業務を担当されているのでしょうか。
青木氏:
今日の様にイベントに参加して自社製品のPRをしたり、WEBやメールを使った情報発信を中心としたマーケティング活動を行っています。製品トライアルのお客様サポートなどもやっています。
――では御社の主力製品であるCrackProof(クラックプルーフ)について、簡単にご説明いただけますでしょうか。
青木氏:
CrackProofはお客様がつくられたアプリケーションに対してセキュリティを施す(堅牢化)ソフトウェアです。ゲームアプリにおける導入事例で言うと、チート被害を防ぐために、非常に多くのお客様にご利用いただいております。
――CrackProofの仕組みについて説明していただけますでしょうか。
青木氏:
コンパイル後のバイナリに直接処理する(for iOSを除く)ので、コーディング内容に関係なく堅牢化が可能です。処理自体は、クラウドサーバにアップロードすれば、ボタン一つで自動的に堅牢化が完了します。アプリを堅牢化することにより、プログラム自体の解析・改ざんを困難にするとともに、アプリへの解析行為を検知して実行を阻止することが出来るようになります。
――どのようなデバイスで導入されているのでしょうか。
青木氏:
対応プラットフォームはAndroid、iOS、Windows、Linuxです。
――その中でも特に力を入れているのは、どのプラットフォームでしょうか。
青木氏:
ここ数年はAndroid版の開発に力をいれてきました。導入ユーザーが最も多いということもありますが、不正ツールの誕生や更新が最も多いのがAndroidだからです。最近では、Windows版のご相談を頂く機会が増えてきておりまして、Windowsにも力を入れ始めています。UnityやUnrealEngineなどのマルチプラットフォーム型エンジンへの対応にも注力しています。
――例えばアンチチート、アンチクラック用のソフトウェアとしては競合他社の商品もあると思うのですが、CrackProofの押し出せる強み、優位性はどこだと思いますか。
青木氏:
お客様の求めるものによって、何が最適なソリューションになるか、一概に決めるのは難しいとは思いますが、CrackProofは、堅牢性はもとより、ゲームの実行速度への影響が少ないことや、セキュリティの知識がなくとも手軽に使い始めることができる点などがお客様に評価されてきたと考えています。また、もともとCrackProofはWindows向けに開発されたのですが、それこそ全く競合がいなかった時代から積み上げてきたチート対策のノウハウというのは、一朝一夕には真似できないものだと自信を持っています。そうした蓄積があるからこそ、AndroidやiOSだけでなく、Windows向けやUnityに対応したバージョンなど幅広いラインナップを提供出来ていると思いますし、その辺りも他社には負けない強みだと考えています。
――掘り下げもできるし、プラットフォーム間の横展開もいけると。
青木氏:
はい、そうですね。幅広く対応することができます。
――マルチプラットフォームでの導入における、割引やメリットなどは存在しますか。
青木氏:
ぜひ弊社営業部までご相談ください(笑)。
機能的には各プラットフォームで連動してるわけではありませんが、多数の製品を使うよりも管理面では楽になると思います。
――最近で言うと、マルチプラットフォームでCrackProofを利用する事例は増えてきていますか。
青木氏:
増えています。ご存知のように、海外ではPCでゲームを遊ぶお客様が多いのですが、日本では比較的少数でした。けれど、最近少しずつ状況が変わってきたのか、いままでスマホ向けにゲームを開発されてきたお客様から、Windowsでもというお話をいただいています。スマホでもPCでも遊びたいというお客さんが増えているのかもしれませんね。
――これまではモバイル特化に近かったものの、いまは事情が変わってきていると。
青木氏:
そうですね。まだはっきりとは言えませんが。これまでも、お客様のニーズや市場の動向にあわせて、モバイルやUnityなどへの対応をおこなってきましたが、これからもそうした動向をよく見極めて対応を行う必要があると感じています。
――改めて、CrackProofを入れるメリットというのは何でしょうか。
青木氏:
やはり、専門的な技術を学習することなしに、高度なセキュリティ対策をすぐに自社で使うことが出来るというのが最大の価値だと思います。チート対策はCrackProofに任せて、お客様はクリエイティブな作業に集中できるというメリットがあります。
――DNPハイパーテックさんは、GTMFは今回が初めてでしょうか。
青木氏:
来場客として見にきたことはあるのですが、スポンサーとして参加したり、ブースを出展するのは初めてです。
――出展の決め手となったのは何でしょうか。
青木氏:
GTMFという名前そのものです(笑)。ゲームのツールであり、ある意味ミドルウェアでもあるCrackProofを出展するには最適のイベントだと思います。ゲーム会社とツール会社のビジネスマッチングを目的としたイベントは国内でも珍しいのではないでしょうか。弊社のことをもっと知っていただき、新たな出会いが生まれることを期待しています。
――ということはやはり、いろんな方面でゲームをカバーしていきたいという狙いがあるのですね。
青木氏:
もちろん、そうです。多くの方面で、お客様との接点を増やしていきたいという思いがあるので、昨年からは国内に限らず海外のイベントにも積極的に出展しています。
――その一環としてGTMFの出展もあったと。
青木氏:
そのとおりです。GTMFのようなイベントは、ゲーム開発現場の声を直接聞ける大切な機会です。実際に交流してみて、学べることがたくさんあると感じています。
――現在展開中のサービスに加えて、今後予定しているものなどを言える範囲で教えていただけますか。
青木氏:
最近の展開で言いますと、Androidの位置偽装への対策を機能強化したり、クラッシュ解析ツールへの対応などを行っています。これからも技術に磨きをかけて使い勝手の良いセキュリテイを提供していきますので、どうぞよろしくお願いします。
――ありがとうございました。
[聞き手/写真:Minoru Umise]
[編集:Ryuki Ishii]
GTMF(Game Tools & Middleware Forum)はアプリ・ゲーム開発・運営に関わるソリューションが一堂に会するイベント。2003年にスタートし、今年で16年目。大阪会場は2018年6月27日に開催され、東京会場は7月13日に開催された。