傑作になりえる可能性はあった? 冒険活劇ガンシューティング『ヘンリーエクスプローラーズ』を振り返ってみる
前回執筆した『デスクリムゾン2』の記事が予想外に好評価だったという話を聞き、調子に乗った筆者は再びガンシューティングを取り上げることした。
今回のタイトルは『ヘンリーエクスプローラーズ』。「ヘンリー?(略称はテキトー) プレイしたことあるよ!」とドヤ顔しているそこの貴方はアラサーかアラフォー世代のはず。……たぶん。
そう筆者が思うのは理由がある。実は本作、『デスクリムゾン』のように知名度があるわけでもなく、コンシューマ版がリリースされた1997年当時ですらその存在を知っている人はほとんどおらず、一部のマニアが知っているレベルのニッチ過ぎるタイトルだったりする。「当時」のゲームシーンをリアルタイムでウォッチしていた人以外には、存在すら認識されていないはずなのだ。
もともとアーケードがオリジナルのタイトルなのだが、当時、ゲームセンターに足繁く通っていた筆者ですら「あったような、なかったような……」と苦笑いを禁じ得ないほど。そのため、ゲームをきちんとプレイしたのは、実はセガサターン版(プレイステーション版も存在する)が初めてだったりする。
今回、なぜ『ヘンリーエクスプローラーズ』を取り上げようと思ったのか。それはある意味で、このタイトルが本連載「Underground Gamer」にもっとも相応しいと思ったからだ。デスクリムゾンもアンダーと言えばアンダーなのだが、知名度だけを見ると、実はかなりのメジャータイトルだ。その点『ヘンリーエクスプローラーズ』は、本当の意味でアンダー。おそらく、「そんなのあったのか」と思った方が大半だろう。そういう意味では、取り上げるべくして取り上げたタイトルとも言えるのだ。
題材はナイスだが、肝心のゲーム部分が……。
というわけで、さっそく語っていこうじゃないか。
まず、ゲーム性は至ってシンプルでド直球なガンシューティングゲーム。『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』などを思い浮かべてもらえれば分かりやすいと思う。『バーチャコップ』ではなく、『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』を例に上げたのは、バーチャコップほどシミュレーター寄りではなく、次々に襲いかかってくる敵を片っ端から撃ち倒していくスタイルだと思ったから。平たく言うと、爽快感を重視した作りのガンシューティングだ。
動画
ステージ1
プレイヤーは、探検隊の一員として「迷いの森」「邪神の遺跡」「古代の墓」といったステージにおもむき、迫り来るモンスターと戦う。遺跡や古代といったワードから想像がつくかもしれないが、世界観は「インディ・ジョーンズ」シリーズなどに代表されるアドベンチャー作品に通じるものがある。個人的にガンシューティングと言えば、ホラー系や犯罪組織との戦いをテーマにしたタイトルが多いという印象があったため、意外なところを突いてきたなというのが率直な感想だ。
しかし、インプレッションに関しては、厳しい評価を下さざるをえない。エイムも思ったよりしっかりしているし、カメラ(自動)が上下左右に動いたりして、それなりに「冒険している感」はあるのだが、バトルに抑揚がないため、リピートして遊びたいと思えないのだ。一応、ガトリングガンやショットガン、ボム(敵全体にダメージを与える)など、武器もそれなりに豊富なのだが、プレイフィールの違いを感じるほどの差別化には至ってないように思う。
また、一応ルートの分岐なども存在するが、シューティング部分があまり盛り上がらないため、せっかくのシステムが活かせていない。目指したい方向性はなんとなく理解できるのだが、もう少し詰めてほしかったというのが正直な気持ちである。
筆者はセガサターン版しかプレイしていないので、アーケードの大型筐体で遊べば、作品自体の評価は変わるかもしれない。ただ、名作と呼ばれているガンシューティングは、コンシューマ版で遊んでも熱中するほど面白いものだった。そういう意味でいうと、やはり残念な気持ちは強い。
ただ、先にも述べているが、世界観、カメラワーク、ステージギミックなど、凝っている部分もそれなりにあるので、「2016年の技術でリメイクしてくれたら」と、無茶な願望があったりなかったり。いっそアトラクション型の筐体で出して、演出も大幅アップ、グラフィックスも超美麗、マシンガンで爽快感バリバリな感じで出してくれたら、カップルやファミリーを中心に盛り上がりそうなのだが……。でもそれだったら、わざわざ『ヘンリーエクスプローラーズ』の名を冠する必要はないか。うーん、難しい。