脳裏に焼き付いて離れない……。 何もかもが濃すぎる内容の実写対戦格闘ゲーム 『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』


果たして、こんなマニアックな記事を読んでくれる人がどれだけいるのだろうかと、PV度外視で始めた「Underground Gamer」も、今回で数えること第3回目。担当編集者から聞いたところ、極極極極一部の物好きから好評を得ているらしい。たとえ少数であろうと、私のゲームに対する思いが伝わっているのであれば、本連載はそれだけで続ける価値がある。書き手としては、これ以上ない喜びだ。というわけで、これからも、傑作、珍作、怪作問わず、私的に選んだゲームをガツガツ紹介していくので、末永くお付き合い願いたい。

 


第3回『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』

 

今回紹介するタイトルは、伝説にして最強の徒花マシン「3DO」で咲いた、カルト的人気を持つ残虐ゲーム『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー(Way of the Warrior)』だ。本作は、端的に言ってしまうと、実写取り込みの2D対戦格闘ゲーム。今ではほとんど見かけないが、32bitゲーム全盛の1990年代半ば頃、実写対戦格闘ゲームのパイオニア『モータルコンバット』の登場を皮切りに、主に海外では実写取り込みの格闘ゲームが数多く登場していた。

 

これが伝説のゲーム『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』のジャケ。意外と地味?
これが伝説のゲーム『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』のジャケ。意外と地味?

 

日本では実写格闘ゲームに限らず、実写ゲーム自体が色眼鏡で見られる風潮があったため、実写ゲームのほとんどは受け入れられずに消えていった。しかし海外、主に北米では、『モータルコンバット』が大ヒットしたことから、一定の市場があったと思われる。しかしいくら市場があったとはいえ、ゲーム業界は常に群雄割拠だ。「ヒットした」と声を大にして言えるのは『モータルコンバット』シリーズを含む数タイトルくらいで、他の作品は、ゲーム史に歴史を名を刻むこと無く消えていった。言ってしまえば、『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』も無数に存在する実写対戦格闘ゲームの1本なのである。しかし、本作には何故か、「その他大勢」の一言で片付けられない不思議な魅力があるのも事実……だと私は思っている。

 

古き良き時代を思わせるOP。これ必見。
古き良き時代を思わせるOP。これ必見。

 

その魅力とは、まず第一に、ゲームとしてそこそこは遊べるということ。「ちょっと何言ってるのか分からない」と言われてしまいそうだが、私はマジだ。というのも、実写対戦格闘ゲームは、内容的に厳しいものが多かったと言わざるをえない。特にバランスや操作性の面においては、国産の良質な対戦格闘ゲームと比べたら、歴然たる差があった。そんな中で『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』は、先にも述べたように、「そこそこは遊べた」のである。まあ、「そこそこ」の基準がどれほどのものかは人によって違うので、もちろん異論はあるだろうが。

しかしここまで言っておいて何だが、我々実写対戦格闘ゲームのファンは、ゲーム性などアテにしてはいない。要はその作品が、どれだけバイオレンスでカオスなのかが重要なのだ。そこに置いて『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』は、文句なしの満点。キャラクター良し、世界観良し、バイオレンス良し。

 

ug-003-way-of-the-warrior-003

この生々しいグラフィックこそ『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』の魅力なのである
この生々しいグラフィックこそ『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』の魅力なのである

 

特に、私が気に入っている、The Ninja(ニンジャ)、Konotori(コーノトリ)、Nobunaga(ノブナガ)といった、絶対に何かを勘違いしている理解不能なキャラクター達は、一見の価値があると断言したい。ギャグなのか真面目にやっているのか、それすらよく分からない独特のセンスは、海外ゲームならではの特徴と言っていいだろう。 また、この手のゲームには欠かせないフィニッシュムーブ(致命傷)も、もちろん搭載。その内容は、『モータルコンバット』に引けを取らないほど過激なものになっている。一例を上げると、Nobunagaの致命傷は、「首切り」と「まっぷたつ!」。内容をそのまま技の名前にしたのではと思わせるアバウトなローカライズっぷりも、『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』なら許せる。Z級感ここにありと言ったところだろう。

 

ug-003-way-of-the-warrior-005

ug-003-way-of-the-warrior-006

ug-003-way-of-the-warrior-007

 

そして地味に見逃せないのが、本作の開発を、『アンチャーテッド』や『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』で有名な開発会社「Naughty Dog」がおこなっているという点。今のNaughty Dogからはまったく想像がつかないが、開発会社に歴史ありと、なんだかしみじみしてしまう。しかし本作が、Naughty Dogの原点の1つであることは、たぶん間違いないと思うので、「こういうゲームも作っていたんだな」と広い視野で本作をプレイしてみると、また違った味が出てくる……かもしれない。

 


Underground Gamer
vol.1: Z級実写格闘ゲーム 『KASUMI NINJA』の実態に迫る
vol.2: 残虐対戦格闘ゲーム『プライマルレイジ』 怪獣姿の神々が血みどろの死闘を繰り広げる
vol.3: 脳裏に焼き付いて離れない……。 何もかもが濃すぎる内容の実写対戦格闘ゲーム 『ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー』
vol.4: ストリートファイターシリーズの異端児にして、良作実写格ゲー『ストリートファイター リアルバトル オン フィルム』