メカゲームを西洋の視点から見る『機動戦士ガンダム 一年戦争』――おそらく史上最高のガンダムゲーム
PlayStation 2用ソフト『機動戦士ガンダム 一年戦争』を取り上げ、本作がいかに歴代ガンダムゲームの中でも屈指の完成度を誇る作品であるかについて述べたい。

はじめまして。私の名前はオリー・バーダーと申します。イギリス出身で、現在は東京を拠点に、ゲームデザイナーおよびジャーナリストとしてゲーム業界で活動しております。専門分野はメカゲームで、30年以上にわたりプレイしてきました。
AUTOMATONへの寄稿は今回で2回目となりますので、ここではPlayStation 2用ソフト『機動戦士ガンダム 一年戦争』を取り上げ、本作がいかに歴代ガンダムゲームの中でも屈指の完成度を誇る作品であるかについて述べたいと思います。
2005年、バンダイとナムコが合併する以前、ナムコはPS2向けに一本のガンダムゲームを制作しました。「プロジェクト・ペガサス」の名のもとに集結した開発チームは、真に特別な作品を生み出すことに成功したのです。
「一年戦争期」をゲームにする難しさ
言うまでもなく、これまで数多くのガンダムゲームが発売されてきました。名作と呼べるものもあれば、良作、そして残念ながら出来の良くないものも存在します。その根本的な問題のひとつは、他のメカアニメと異なり、オリジナルの宇宙世紀シリーズにおけるモビルスーツ戦闘のルールが、比較的柔軟に描かれていた点にあります。
これは意図的なものでした。私が富野由悠季監督にガンダム制作についてインタビューした際、ミノフスキー粒子という設定は、モビルスーツ同士を近接戦闘に持ち込ませるために考案されたものだと説明を受けました。戦闘をよりドラマチックに見せるためであり、最初から重視されていたのは機能的な整合性ではなく、演出としての迫力だったのです。
その結果、ガンダムゲームの開発は難しい課題を抱えることになりました。もともと内部的な整合性が完全ではない世界観を、いかにして「機能するゲーム」として再構築するのか。その答えは、少なくとも優れたガンダムゲームにおいては、アニメの一部を再現しつつ、すべてを忠実に再現しようとしない、独自のルールセットを構築することにあります。
このアプローチはさまざまな形で実装されてきました。サターンで発売されたコックピット視点の名作『ブルーデスティニー』シリーズや、ドリームキャストの『コロニーの落ちた地で…』、さらには近年の『ガンダム エクストリームバーサス』シリーズのようなアリーナ型対戦ゲームなどが、その代表例です。
しかし、とりわけ一年戦争期を正面から扱おうとした場合、特定の環境でしか本領を発揮できないゲームが数多く生まれる結果となりました。そして、その多くが地上戦を主軸とするものでした。
ナムコが完成させたモビルスーツ戦闘
PS2用ソフトの『機動戦士ガンダム』、そして大幅に完成度が向上した『ガンダム戦記』は、このアプローチを見事に実装していました。さらに舞台が宇宙へと移ると、『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』が登場し、レールシューティング形式のステージと、『オメガブースト』に近い球状の戦闘空間とを組み合わせたゲームプレイが採用されました。
要するに、PS2時代のガンダムゲームでは、それぞれの戦闘環境に特化した個別の作品が作られる傾向にあったのです。こうした流れが変わったのが、ナムコが本格的に関わるようになってからでした。
ナムコ開発による本作には、やや奇妙なレールシューティングパートや、いくつかの風変わりな要素も見受けられますが、肝心のメインゲーム部分は驚くほど完成度の高い仕上がりとなっています。
操作体系は、現在で言うところのモダンな三人称シューティングに近いもので、左アナログスティックで移動を、右アナログスティックで視点操作を行う方式が採用されていました。
さらに、ブーストの挙動も非常に心地よく、慣性を巧みに活かすことで、モビルスーツにしっかりとした重量感が与えられていました。
しかし、最大の秀逸な点はロックオンシステムにあります。

ターゲティングでは、主に「ミサイル」と「敵モビルスーツ」という二種類の脅威を管理する必要がありました。ミサイルは頭部バルカンによって自動的に迎撃される仕組みとなっており、これはバルカンの使い道として非常に優れた設計でした。一方で、敵機への照準操作はプレイヤーに委ねられています。
ここで巧妙だったのは、敵機ごとに緩やかなスナップ式のロックオンが用意されており、ブーストを開始すると自然に敵の周囲を旋回できる点です。
この仕組みにより、敵をロックオンするまでは完全にマニュアル操作でモビルスーツを操縦しているかのような感覚が保たれ、システムの補助が巧みに隠されていました。
そして、この操作体系のもう一つの大きな成功点は、それまでの多くのガンダムゲームとは異なり、地上戦でも宇宙戦でも同じように高い完成度で機能していたことです。
全28ミッション、2段階の難易度が用意されているほか、「メモリアルアクション」と呼ばれる要素も存在し、たとえばランバ・ラルのグフを近接戦闘で撃破した場合には、アニメの名場面を再現した特別なカットシーンが挿入されるなど、原作ファンには嬉しい演出も盛り込まれていました。
ゲームを進めていくと、『ガンダム0080』に登場するRX-78NT-1といったモビルスーツも最終的にアンロックされるようになります。この機体は、ゲーム内の他のモビルスーツと比べても群を抜いて強力な存在でした。
日本でしか遊べなかった“最高峰”
こうした巧妙で流れるようなゲーム性に加え、本作はビジュアル面においても非常に洗練された作品でした。美しいグラフィックと視覚効果によって、PS2のハード性能を限界まで引き出していたと言えます。
たとえば、ララァ・スンが搭乗するエルメスと戦い、その後にニュータイプのビジョンへと移行する場面は、当時も、そして今振り返ってみても、非常に印象深い瞬間です。とりわけ、エルメスのビットを手動で撃ち落とすためにスローモーションがかかる演出は、格別な体験でした。
当時の私は、ついに海外のファンにも通用する形でモビルスーツ戦闘を完成させたゲームが現れた、と感じていました。しかし残念ながら、本作は日本国内のみでのリリースにとどまりました。
発売当時を振り返ると、日本国内でのプロモーションもかなり力が入っており、本作専用のカスタム・マスターグレードモデルキットが制作されたほか、ナムコが本格的にガンダム作品に取り組んだという点でも、大きな話題を集めていた記憶があります。
しかし、本作の発売から1年後、ナムコはバンダイと経営統合しバンダイナムコとなり、このゲームが築き上げた成果の多くは、時の流れの中に埋もれてしまったように感じられます。
今になって振り返ると、当時このゲームを輸入して最後まで遊び尽くしたにもかかわらず、レビューを書き、寄稿していたイギリスのゲーム雑誌の編集部にもっと強く推すことができなかった点を悔やんでいます。それでも、20年という歳月を経た今となっては遅すぎるかもしれませんが、本稿が、優れた才能を持つ開発チームに託されたとき、ガンダムゲームがいかに素晴らしいものになり得たのかを思い出すきっかけになれば幸いです。
スコア:9/10
もし私のガンダムゲームに対する考えにご興味がありましたら、ぜひ私のサイト「Mecha Damashii」に掲載しているレビューや、「すべてのガンダムゲームが酷いわけではない」という点を伝えるために執筆した特集記事をご覧ください。
また、比較的最近の作品については、PS4用ソフト『ガンダムエクストリームバーサスマキシブーストON』のレビューも掲載しています。この作品は今なお非常に完成度が高く、ぜひともPC版がリリースされてほしいと心から思っています。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。


