編集部より:
ゴールデンウィーク向けとして、各ライターに好きなインディーゲームに紹介してもらうという本企画。発売時期やプラットフォーム、価格など問わず、ただ好きなインディーゲームを紹介する。非常にゆるい企画なので、ゆるい気持ちで読んでいただければ幸いだ。第七弾『Sine Mora』をお届けする。筆者はNobuya Sato氏である。
私は横スクロールSTG『Sine Mora』をご紹介させて頂く。本作は、敵が放つ弾幕を避けつつ敵機を撃墜するといったSTGとして基本的な要素に加え、ダイナミックに動くボス、美麗なグラフィックで描かれる背景、ディーゼルパンク調の世界観など、本作独自の要素をブレンドした内容となっている。現在、PC(Steam)/Xbox One/Nintendo Switchにて国内向けに配信されている。なお、すべてのプラットフォームにおいて、タイトル表記が『Sine Mora EX』となっているが、これは過去にXbox360やPS3など、いわゆる第7世代据え置き機向けに配信されていた内容から、フレームレートと画質の向上や、新たなモードの追加など、現行機での配信に向けて各種調整が施されたため“EX”の文字が含まれた形となった。本記事では便宜上『Sine Mora』と記載させて頂く。
『Sine Mora』には二つ、他のSTGではあまりみられないユニークなシステムが存在する。一つ目は“時間操作”である。これは、時間操作カプセルという名のアイテムを取得すると、時の流れを遅くすることや、時間を巻き戻すことができるといったシステムである。被弾直前の危険な場面や、もう少しでボスを倒せるといったここぞという場面で使用することで効果を発揮できる。弾を避け、敵機を撃墜すること加え、時間を操れることで戦術に幅広さがもたらされている。しかし、このシステム、ともすれば難易度を大きく下げることになるのでは、といった懸念もあるだろう。そこで次のユニークなシステムを挙げさせて頂く。二つ目は、“残機がない”ことである。本作は残機を失うことではなく、時間切れになることでゲームオーバーとなる仕様だ。時間はゲージ形式で表示されており、常時減少していくが、敵から被弾すれば急激に時間が減少する。減少していく時間を回復させるためには、回復アイテムを取得するか、敵を撃墜する必要がある。ここで前述した“時間操作”の概念が活きてくる。時間をスローにすることで、時間切れまでの猶予をプレイヤーは任意のタイミングで伸ばすことができるというわけである。以上二つが『Sine Mora』におけるユニークなシステムである。
筆者がプレイした感想を一言で表現すると、“難しい”。決して高難度を謳うゲームではないのだが、弾幕が激しく、色彩が鮮やかすぎて一部視認性に欠けることもあり、少しでも油断すると被弾する。ただし、今までSTGをどれだけ経験してきたかによって体感できる難易度は大きく異なると思われる。あくまで、筆者のように特段STGを経験してきたわけではないプレイヤーからすると難しく感じると思われる。しかし、それ以上に前述した二つのシステムは「時間が少ないのでスローにしたい。でもいざという時に苦戦を強いられるかもしれないから取っておきたい。でも使わないと時間が……」といった葛藤を生みだし、唯一無二の面白さを提供していると感じた。また、本記事ではあまり触れなかったが、世界観はかなり秀逸で、雑魚的、ボス、背景含め、まるでひとつの芸術作品のような様相をしており、鮮やかな弾幕と相まって見とれてしまうことが多々あった。
また、ボスと初遭遇した際の演出は一見の価値あり。是非、これからプレイするプレイヤーの皆さんにはそういった演出面にも目を向けて頂きたい。STGが好き、もしくは、機械的な世界観が好みという方には特におすすめできる一本である。この機会にプレイしてみてはいかがだろうか。