『League of Legends』最初の一歩を踏み出すために


AUTOMATONがなぜいま特集するのか」でもお伝えしたように、弊誌では今回の『League of Legends』特集企画に力を入れていく。大きく打ち上がる花火の意味もこめて、この一連の特集記事を、とあるチャンプのスキル「Super Mega Death Rocket!」にちなんで「Super LoL Rocket!」シリーズと名付けた。

「Super LoL Rocket!」シリーズを始めるにあたって、まずはプレイしたことのない方や、はじめたばかりでまだ右も左も分からない方のため、今回から数回にわたって「LoLとは何か?」というところから紹介していく。この数回の連載では、未経験からサモナーレベル10程度までの、初心者のプレイヤーを読者として想定している。ただ、すでにベテランプレイヤーである方であっても復習がてら、もしくは友人をLoLに勧誘する際の教導資料として、便利に使っていただければ幸いだ。

今回お届けするのは、「最初の一歩を踏み出すために」。日本ではまだ馴染みのないタイプのゲームである、LoLそのものを紹介する。

 

 

  1. 『League of Legends』最初の一歩を踏み出すために
  2. 『League of Legends』基本ルールと専門用語で戸惑わないために
  3. 『League of Legends』君が操作するチャンプを把握するために ロール編
  4. 『League of Legends』君が操作するチャンプを把握するために スキル編
  5. 『League of Legends』君が操作するチャンプを把握するために パラメータ編
  6. 『League of Legends』 君が操作するチャンプを把握するために アイテム編

 


無料で骨の髄まで遊べる『League of Legends』

 

『League of Legends』(以下LoL)は、Riot Gamesが制作/運営しているMOBAと呼ばれるタイプのオンライン対戦型ゲームである。同社が2012年に公開したデータによれば、LoLは世界で最もプレイヤー数の多いPCゲームだ。2014年1月の公式発表時点で、アカウント総数7000万、1日のプレイヤー数が2700万人以上、平均同時接続は300万人を越えたという。現在もこの勢いは衰えておらず、今もっとも「アツい」ゲームのひとつであるといえるだろう。

これほどまでにプレイヤー人口を増やしている要因として、Free-to-Play(F2P、基本プレイ無料)であることと、その料金形態が挙げられる。LoLはリアルマネーを支払わなくても、ほぼ制限なくプレイすることができる。操作キャラクターのチャンピオンは最初から全てアンロックされていないが、ゲーム内ポイントでも購入できるほか、週ごとに数体が無料でプレイできる。運営元のRiot Gamesが、「Pay-to-Win(P2W、追加要素を購入したプレイヤーが有利になるシステムの総称)にはしない」という、確固たるポリシーのもとで運営しているからだ。もちろん、リアルマネーで購入できるアイテムは存在するが、ほとんどが操作するキャラクターの「見た目」に関するものであり、試合の勝敗には影響しない。自分のメールアドレスと、最低限のスペックのPCさえあれば、今からでも公式サイトでアカウントを作成し、クライアントをダウンロードして、ゲームを始めることができる。

 

ゲーム内のストア画面。華やかなスキンが並ぶが、購入せずともプレイは可能だ
ゲーム内のストア画面。華やかなスキンが並ぶが、購入せずともプレイは可能だ

 

海外のゲームを新しく始めるにあたって、ゲーマーの心配事として「日本語でプレイできるのか」は上位に挙がる。LoLに関して言えば、「AUTOMATONがなぜいま特集するのか」にもあったように、日本サーバのサービス開始時期は未定である。現在は、英語版でプレイするのが無難な選択であろう。もちろん、あなたが中国語や韓国語やロシア語に堪能であれば、この限りではないが。

英語版でも、あまり心配する必要はない。LoLにおいて、英語が読めないとプレイできない状況は少なく、"言語依存度"はかなり低い。Top、Mid、Botなどの最低限の用語さえわかればゲームに支障はないし、必要とあれば、検索で日本語Wikiをはじめとする各種情報を豊富に入手できる。現在、日本人プレイヤーの多くはNAサーバ(北米)にてプレイしており、英語版を元とする情報共有が盛んだ。

日本サーバが開始されたら最初からやり直しになると考え、NAサーバで始めるのを躊躇するプレイヤーもいるかもしれない。確かに、アカウントを別のサーバへ移行するには、2600RPが必要だ。2015年1月22日現在のインゲームストアでは、2800RPの値段が20ドルとなっている。

しかし、ロシアサーバ新設時など過去の例では、サーバが新設された時期にアカウントの無料移行期間が設けられた。日本サーバ新設時にも確実に設けられるとは限らないが、そのままアカウント移行ができる可能性は高いだろう。それに、MMORPGなどと違い、LoLは時間をかけてデータを成長させる要素が比較的少ない。プレイヤースキルに依存したゲームである以上、アカウント移行がなくとも、致命的な問題はないはずだ。早く始めたほうが得だと言ってもいい。

ただ一点、リアルマネーで購入したコンテンツにだけには注意してほしい。過去の例を見ると、購入済みの有料コンテンツを別アカウントに移行することは出来ないのだ。今回紹介したような、無料のアカウント移行期間がない場合には、基本的に買い直しということになる。

 

起動後のログイン画面。シーズン2015がはじまったところなので始めるにはいいタイミングだ。
起動後のログイン画面。シーズン2015がはじまったところなので始めるにはいいタイミングだ。

 


LoLのジャンルである「MOBA」とは

 

LoLというゲームを紹介する際に、「MOBAの一種である」という表現がよく使われる。最近、特によく見かけるようになったこのMOBAという単語は、 "Multiplayer Online Battle Arena" の略で、ゲームジャンルを表す単語である。

そもそもの発端となったのは、RTS『WarcraftIII』のMOD(ユーザ主導で作成されたカスタムマップ、カスタムシナリオ)だった。とかく敷居が高くなりがちなRTSで、気軽に対戦できる環境を整える目的で作られたと言われているが、詳細は定かではない。さらにさかのぼると対AI戦闘ルールの『StarCraft』のMODなども存在するが、本稿では割愛させていただく。ともかく、1対1で多数の軍勢を操作しリソースを管理する複雑なRTSから、戦略性がありながらもよりシンプルなチーム対戦型のアクションゲームがここに生まれたのだ。

この『WarcraftIII』のMODのタイトルが『Defense of the Ancients』、略してDotAである。このDotAが、現在Valveが運営している元祖MOBAの正当な後継者、『DotA2』の元となった。LoLはこのDotAの遺伝子を受け継ぐMOBAタイトルであり、現在『DotA2』と並んで競技ゲームシーンで注目度の高いタイトルでもある。

 

 

LoLとMOBA人気を二分する『Dota2』のプレイ画像。元をたどれば同じだけに、基本的なゲーム構造はよく似ている
LoLとMOBA人気を二分する『Dota2』のプレイ画像。元をたどれば同じだけに、基本的なゲーム構造はよく似ている

 


世界最大のプレイヤー数、プロ野球から草野球まで

 

LoL World Championship 2014の様子。 会場のソウルワールドカップスタジアムは、約6万人を収容する。
LoL World Championship 2014の様子。会場のソウルワールドカップスタジアムは、約6万人を収容する。

来歴から見ても、MOBAは複数のジャンルからの産物である。RPGの成長要素、RTSの戦略要素、キャラクターを操作する際のアクション要素、そしてチーム戦に根付いた戦略性。プレイ進行自体も奥が深い。最初はプレイの様子を動画などで見ても、どこを楽しめばいいのか、どこが面白い部分なのか、わかりづらいかもしれない。

しかし、ゲームを始めてみれば、少しづつわかるようになり、知れば知るほど面白くなる。これは普通のスポーツ、野球やサッカーやバスケを観戦するのと同じなのだ。ルールを知れば、行動の動機がわかる。動機がわかれば、読みあいがわかる。読みあいがわかれば、プレイヤの上手さがわかる。試合を観戦するだけでも、どんどん面白くなってくる。そして面白さがわかれば、またプレイしたくなる。

膨大なキャラクター、数えきれないほどのアイテム、覚えきれないほどのスキルが存在する。これらを複雑に感じ、プレイを控えている方もいるかもしれない。しかし心配することはない。あらかじめ全てを熟知しておく必要はないのだ。むしろ知らない方が、後々の楽しみが増える。プロや高ランクプレイヤーのマッチに圧倒されても、及び腰になることはない。LoLではプロ野球も草野球も楽しめる。プロ野球を見て感動のため息をついたあとに、仲間内で誘い合って近くの公園で遊べばいいのだ。そしてLoLには、誘いにのってくれる仲間たちが、今や世界に300万人以上存在する。

AUTOMATONがお送りするLoL特集の初心者向け連載、次回はLoLの基本的なルールについて解説していく。