『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』先行プレイ感想。ドット絵運動会が生み出すウマ娘たちの新たな魅力

Cygamesはハチャメチャカジュアルアクション『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』を2024年8月30日にリリースする。弊誌は本作を先行プレイできるプレスイベントに参加。先行プレイ感想をお届けする。

CygamesはNintendo Switch/PlayStation4/PC(Steam)対応のハチャメチャカジュアルアクション『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』を2024年8月30日にリリースする。弊誌は本作を先行プレイできるプレスイベントに参加。今回はイベント参加を踏まえて先行プレイ感想をお届けする。なお、本稿はNintendo Switch 版でのプレイに基づいており、掲載のスクリーンショットもNintendo Switch 版のものとなっている。

『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』とは

本作を紹介するにあたって、まず原作となる『ウマ娘 プリティーダービー』の概要についても軽く触れておきたい。『ウマ娘 プリティーダービー』とはCygamesが2016年に発表以来、クロスメディアで展開される大人気コンテンツ。実在する競走馬の名前と魂を受け継ぐ「ウマ娘」たちが仲間やトレーナーたちと学園生活を送り、<トゥインクル・シリーズ>制覇を目指す物語が、育成シミュレーションゲームやテレビアニメなど、さまざまなジャンルで展開されている。最近では今年5月に映画「劇場版 『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』」が公開された。

『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』(以下、『ハチャウマ』)はそんな『ウマ娘 プリティーダービー』の新たなクロスメディアコンテンツとなる。。「まだウマ娘を知らない人でも楽しめる」ことをテーマに据えて開発された野心作だ。2Dのカジュアルゲームをコンシューマ機でリリースすることにより、さらなるユーザー層の獲得を目指すとのこと。

タイトルBGMにはウマ娘たちが歌う新規ボーカル曲を採用。そして懐かしくも新しいドット絵(ピクセルアート)にデフォルメされた、本作ならではのウマ娘のビジュアルは既存プレイヤーも必見の可愛らしさだ。

本作はドットで描かれたウマ娘たちが、個性豊かな4チームに分かれて春のファン大感謝祭の特別イベント「ハチャメチャGP(グランプリ)」に挑戦するハチャメチャカジュアルアクションゲーム。各チームが優勝を懸けて「ファン大感謝祭 大障害」「バスケット奪取ステークス」「ウマドッジチャンピオンシップ」「大食いダービー」の4つの競技に挑む。プレイヤーは最初に選択したチームの中から各競技ごとにウマ娘を1人選んで操作し、勝利を目指す。


今回の舞台となる「春のファン大感謝祭」はトレセン学園恒例の学校行事の一つ。アニメOVA『BNWの誓い』でも登場し、駅伝や大食い大会などが催された。また育成シミュレーションゲームの『ウマ娘 プリティーダービー』イベントストーリーでも『神参鬼謀!?春祭!熱闘鬼ドッジ』という、本作の「ウマドッジチャンピオンシップ」を彷彿とさせる競技が登場している。

初期プレイアブルキャラクターは5人1組で結成された今作オリジナル編成のドリームチームで、<コスモス>・<フリージア>・<ローズ>・<リリィ>の4チームに分かれている。尚、各チームには隠された共通項があるのように見えるので考察してみるのも面白いかもしれない。

この他にも条件を満たすと解放される隠しキャラクターが5体、また追加DLCで3チーム(15人)が追加され、最終的に全部で40人ものウマ娘がフルボイスで登場する予定となっている。各キャラクターはそれぞれ異なるステータスと固有のスキルを所持しているため、どのチームを選ぶかも勝敗のカギを握りそうだ。


プレイアブルキャラクター以外にも背景にはたくさんのウマ娘の姿が確認できるので、推しの姿をぜひ探してほしい。また、前述の隠しキャラクターの正体は公式ウェブサイトにもこっそり掲載されている。いずれも強力なウマ娘なので、条件を満たして仲間に加えよう。

また各ウマ娘によるランダムなタイトルコールはもちろん、UIにもお馴染みのアイコンやフォント、カラーリングが多数使用されている。たづなさんによるガイド、赤坂さんによる試合実況など、随所で育成シミュレーションゲームの方の『ウマ娘 プリティーダービー』を想起させる部分も多い。筆者のような古参ファンにはうれしい演出だ。

尚、「チーム対抗戦」という名の通り、本作は複数人でのマルチプレイをメインとしているが、1人でも楽しめる「ストーリーモード」も用意されている。まずはゲームに触れて操作に慣れたい人にはおすすめだ。アクションゲームは苦手で対戦は自信がない、という人もここから始めてみてほしい。各チームごとに個別のストーリーが用意されており、台詞のかけあいもフルボイスで展開。ドット絵で描かれたウマ娘たちがかわいらしく動き回る様も魅力的だ。「ウマ娘」を全く知らない人も、ストーリーを終える頃には自然とお気に入りのキャラクターが見つかるだろう。

華やかで爽快感あふれる「ハチャメチャGP

本作のメインである「ハチャメチャGP」はプレイヤー最大4人まで対戦可能な「ローカル対戦」と「オンライン対戦」の2つが用意されている。そして「ハチャメチャGP」には4つ競技が収録されており、選んだチームから競技ごとにウマ娘を選出。他チームと競い合いながら優勝を目指すことになる。

さて、ここからは本作最大の見所である各競技について簡単に紹介したい。

・ファン大感謝祭 大障害
「ファン大感謝祭 大障害」はグラウンドから飛び出して校内の施設や街中を駆け巡り、またグラウンドに戻ってゴールする長距離の障害物競争だ。一見「ウマ娘」らしいレースゲームのように見えるが、実は最後の着順は道中の蹄鉄コインなどで獲得したポイントによっても左右される。その為、ただ順位だけを気にしてやみくもに走っていると最後の最後で差される展開も。とは言え、まさに「はちゃめちゃ」感あふれるこの競技は本作の看板だろう。

・バスケット奪取ステークス
パスなし、ドリブルとシュートのみで繰り広げられるシンプルなバスケットボール。強風やUFO、跳び箱や動くレーンなどの障害物の出現でコートの状況は常に変化する。それらをかわしながら、ゴールに向かって華麗なシュートを決めよう。シュートにはシュートゲージがありMAXの状態で放つとゴールの確率が上がる。縦に3つ並んだゴールを狙えば大量得点のチャンスだ。本競技はプレイヤースキルを問わず連続でシュートが入りやすいように感じられた。そのため爽快感も大きく、個人的には一番複数人でのプレイが盛り上がるのではないだろうか。

・ウマドッジチャンピオンシップ
2つのボールがコートを飛び交う、一風変わった常識外れの体力制ドッジボール。内野・外野の区別がなく、最後の1人になるまで続くバトルロイヤル仕様となっている。ルール自体はボールを当てて体力を削る、というごく単純なもの。試合中はチャージボタンを押すことで超必殺シュートを出すためのスキルゲージが上昇するが、一方で敵に大きな隙を見せることに。スキルゲージを溜めて大技の超必殺シュートを出すか、それを妨害してダメージを与えるかの駆け引きが勝敗を決める。最後は生き残りをかけた1対1の手に汗握る戦いに!

・大食いダービー
サーバー(料理を運ぶ係)・イーター(料理を食べる係)の2人で出場するフードファイト。同じ色の皿をまとめて運び続けることでコンボが発生し、イーターの食べるスピードもアップする。皿の色を変えたい場合は虹色の皿を上手に使ってコンボを切らさず維持しよう。料理の中でも「にんじん山盛り」は虹色・皿5枚分相当と強力な一品なので見つけたらすぐゲットしたい。スペシャルウィークなどはイーター適性が高く、ウマ娘の個性がよく表現されたミニゲームだろう。ところで大食いと言えばあの葦毛のウマ娘はいずこへ……?

なお、プレスイベントではミニ企画としてチーム対抗の大会が行われた。開発スタッフもまじえ、4人のローカル対戦で本作の「ハチャメチャGP」モードをプレイ。筆者含めほとんどの人が初プレイというのもあり、ほぼぶっつけ本番。操作には不慣れなところがあったものの、それでもついつい熱くなってしまう賑やかなプレイ体験が印象的であった。競技の最後には各競技の獲得ポイントを合計した上で、操作したウマ娘ごとに大会の個人賞としてボーナスポイントが付与されるなど、最後まで結果のわからないデッドヒート。この「はちゃめちゃ」感あふれる対人戦が本作の醍醐味なのだろう。なんとAUTOMATONチームはまさかの優勝。本作はオンラインにも対応しているので、今後はぜひ大会の開催などにも期待したい。

総じて、どの競技にも共通して言えるのは操作がろくにわからない状態でも知人友人と楽しく遊べてしまうほどのわかりやすさ、画面の華やかさ、そして何といっても簡単操作で得られる成功体験が一番の魅力に感じられた。特にバスケ、ドッジに関しては試合中に「シュートが入った」「ボールをうまく当てられた・キャッチできた」という小さな達成感や爽快感をその都度味わうことができる。最終的に勝利できなくても、「次こそは勝ちたいからもう一回やろう」ではなく「さっき楽しかったからまたやろう」という明るい気持ちで再度プレイしたくなることを評価したい。

ただし、本気で勝ちに行こうとすると各競技の操作テクニックの習熟はもちろん、各ウマ娘ごとの固有のスキルや、競技ごとに有利なステータスなど、チーム編成にも頭を悩ませる必要があり、かなり奥が深そうである。研究の余地も大いにありそうだ。

ファンサービスあふれるおまけモードも充実

本作には対戦モード以外にも、「部室モード」と「ゴルシちゃんの大冒険Ⅱ」が収録されている。「部室モード」は各競技などで集めた「トレセンポイント」を使ってショップで家具を購入し、部屋作りを楽しめる、いわゆるハウジング要素だ。


部室と呼ぶにはあまりにも広すぎる部屋を一から作っていくことに。ショップで購入できる家具は多種多様なため、「部室」というイメージにとらわれすぎず、例えばアニメでも登場するカフェテリアや教室、生徒会室などを再現してみるのも面白いだろう。もちろん自分の中でお題や設定を決めたり、縛りをかけたり、あえてちょっとおバカな部屋を作るのも楽しい。完成した部屋をプレイヤー同士、SNSで披露し合うのもオススメだ。

筆者はアニメで登場したチーム<スピカ>のメンバーとその部室を再現しようと試みたが、短い時間ではこれが精いっぱいとなってしまった。


そして、この部室のTVモニターに表示されているのが「ゴルシちゃんの大冒険Ⅱ」のプレイ画面だ。さらわれたメジロマックイーンを助け出す「ゴルシちゃんの大冒険Ⅱ」は作中でゴールドシップが遊んでいるという設定のゲーム。なんと、これをプレイヤー自身も実際に遊ぶことができる。ランニングゲームにサバイバー、ハクスラ要素を組み合わせたファミコン風の1人プレイ専用の横スクロールアクションゲームだが、とてもおまけとは呼べないボリュームと手の込みよう。そもそも「ゴルシちゃんの大冒険Ⅱ」が一番ハチャメチャだ。もしかしたらこれが本編なのかも……?

前作にあたる「ゴルシちゃんの大冒険!」は2022年にYouTubeチャンネル「ぱかチューブっ!」でプレイ実況風に動画が発表されていたタイトル。本作における「ゴルシちゃんの大冒険Ⅱ」は実際に遊べるゲームモードとして収録されているというのもあり、古参ウマ娘ファンにはうれしい、遊び心あふれるファンサービス精神を感じる。

なお、筆者が本作で一番魅力を感じてしまったのはなんといってもドット絵で描き起こされたウマ娘たちだ。ドット絵による丁寧なアニメーションで再現されたウマ娘たちの楽しそうな日常シーンは、何度見ていても飽きないように作りこまれている。もちろん、一人一人の個性や性格を反映した動きも見逃せない。定番ともいえるドット絵で、ウマ娘たちを表現することで新たな魅力を生み出している印象だ。

従来の美麗なイラストレーションや3DCGによる育成ゲーム版の「ウマ娘」、アニメや映画版の絵柄の「ウマ娘」、コミカライズ版の「ウマ娘」に加えて、既存のものとは全く違う、新しいデザインの「ウマ娘」が誕生したことはピクセルアート愛好家としては喜ばしく感じられた。

『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』は2024年8月30日発売予定。対応プラットフォームはNintendo Switch/PlayStation4/PC(Steam)。

Sakurako Nakayama
Sakurako Nakayama

エロゲ雑誌編集部を経て編集・ライターに。シナリオ重視のADV、要はエグめの考察ゲーが好き。一方でハートフルなWholesomeGameをプレイすることも多いです。

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