『ソニックレーシング クロスワールド』先行プレイ感想。これがAAAレースゲーム、コースが変化し続け、陸空海を舞台にマシンの速度が加速する
約40分の試遊を通じて得た感想をこの記事でお伝えしたい。

『ソニックレーシング クロスワールド』は、奇想天外なコースを走るレースゲームだ。レース中に砂漠から恐竜のいる世界へワープしたかと思えば、恐竜の首を駆け上がってもといた砂漠の世界へ戻ることもある。作品名に題された「クロスワールド」という言葉は、ソニックたちが異なる世界を行き来してチャンピオンを目指すことを意味している。
発売がせまるなか、本作のメディア向け先行プレイ体験会が実施された。約40分の試遊を通じて得た感想をこの記事でお伝えしたい。弊誌が今回プレイしたのは、開発中のPS5版だ。記事で紹介しているスクリーンショットは開発中のバージョンで撮影したものとなるため、製品版で配信されるバージョンとは異なる場合があるので留意してほしい。
コースが変化し続ける前代未聞のレースゲーム
『ソニックレーシング クロスワールド』では、1つのコースを3周走って順位を決める。といっても、まったく同じコースの周回を重ねるわけではない。1周目のコースと2周目のコースは別の世界であり、1周目の最後に異世界へとレーサーたちは飛ばされるのだ。その世界の変化は劇的なもので、ネオンきらめく都会的なコースを走っていたかと思えば次の瞬間は氷に閉ざされた世界を走っていることもある。
最終ラップとなる3周目は1周目と同じコースだが、アイテムボックスやギミックの位置などが変化する。すなわち3周というルールが存在しても、1つのレースを通じてまったく同じコースを走るということはないわけだ。F1のように周回を重ねて最速のタイムを刻むというのがレースの醍醐味の1つではあるが、本作は常に変化するコースによって独自の味わいをもつ。2周目で恐竜が大地を闊歩する異世界へとたどり着いたかと思えば、その恐竜の首を駆け上がって元いた世界へと戻っていく。次から次へと世界が変わる感覚は新鮮であり、バラエティ豊かなコースの風景には度肝を抜かれた。


アーケードレーシングゲーム『頭文字D THE ARCADE』のチームが本作の開発に携わっており、コーナーでドリフトを決めるとスピードが上がるシステムとなっている。プレイヤーの腕前に応じてソニックたちを速く走らせることができるが、本作にはアイテムの使用やコース変更といったランダム要素も強い。2周目のコースは1周目をトップで走っているキャラクターが決めることができる。しかしコースを選択できる時間は短く、情報も乏しい。「?」マークしか表示されないコースを選んだ場合は、移動するまでどのような世界であるかは不明だ。
陸、海、空のすべてで速さを競うのも本作の特徴となっている。試遊では「?」マークの異世界に飛び込む前は陸を走る車だったが、異世界に移動した直後に空を飛ぶ形態へと変化することもあった。燃え盛る火山を龍が飛び回るロケーションの奇想天外さにも驚かされたが、即座に空で速く進むように対応しなければならない。変化し続ける状況に対応していくことが本作では重要となるが、それぞれのコースを走り終えるのにかかる時間は約3分と統一されていた。3分ならば集中力を維持しやすいので、エンタメ志向のレースゲームとしては適切なプレイ時間のように感じられる。


ライバルとして名乗りを上げるCPUキャラとの白熱するグランプリ
本作には、シングルプレイ用のモードとオンライン対戦用のモードが搭載されている。今回の試遊ではシングルプレイ用のグランプリをプレイした。グランプリは4つのコースを走って総合順位を競うモードとなっており、プレイヤーキャラクターを含む12名でチャンピオンを目指す。
グランプリには、CPUのキャラクター1名がライバルとしてプレイヤーキャラクターに挑戦状を叩きつけてくるシステムが搭載されている。これにはシングルプレイを盛り上げる演出の数々が用意されており、レースの合間に描かれる掛け合いなどは見応えたっぷりに描かれる。レース中に相手を追い返したときにリアクションが返ってくるのもおもしろい。ライバルになるキャラクターの組み合わせは豊富に用意されているようだ。プレイヤーキャラクターをソニックにしたときはエッグマンをはじめ、ナックルズやシャドウがライバルになることもあった。


ライバルとの掛け合いの描写としては、ソニックとシャドウのものが印象的だった。2人のどちらが「最速のハリネズミ」にふさわしいかを競おうとするシャドウに対して、ソニックは「とっくに答えは出てるだろ?もう1度教えてやってもいいぜ?このニセモノやろう!」と結構辛辣なコメントを返す。
シングルプレイ用のグランプリは、シリーズが築き上げてきたキャラクター同士の関係性を再確認できるものとなっている。『ソニック』シリーズのことを知らない場合でもその関係性をうかがい知ることのできるほど、かなり細かく描写されているようだ。ライバルになったキャラクターはレースでも上位になることが多かったので、優勝をかけて戦う相手としても存在感が際立っていた。


スピードアップに直結する数々のアクション
コースに落ちているコインを集めることで、ソニックたちのスピードが上昇していく。さらに、コーナーでドリフトを決めればチャージを溜めることが可能だ。溜めたチャージのレベルに応じて、解き放ったときに得られるブーストのレベルが高くなる。ドリフトを上手く使うことができれば、アクセルを全開にしたままコーナーを曲がることも可能となっている。
陸、海、空と地形の変化に応じて自車の形態が変わるのも特徴だ。陸ではコーナーでドリフトすることでブーストを得られるが、海では直線でチャージすることでより高くジャンプすることができるようになる。また、宙に浮いている間にトリックを決めることができれば着地時にブーストがかかるシステムも搭載されている。いわば、ソニックたちがレース中に行うアクションのすべてがスピードの上昇につながるのだ。スピードが上昇するシステムの数々は、シリーズを通して表現されてきた速さへの追求につながっている。


プレイヤーのテクニックに応じて速さが得られる一方で、本作はアイテムの使用によって順位が変動することも多い。トップを走っていたとしても、後ろから攻撃アイテムをぶつけられることもあれば、高めたスピードを半減させられるアイテムを喰らうこともある。車が巨大化してほかのキャラクターたちを踏み潰す強力なアイテムなども存在しており、下位にいるときでも上位に逆転する余地が残されている。
ドリフトを決めまくって自車のスピードを上げても、対戦相手の使用するアイテムによってそのスピードは下がってしまう。これについては好みが分かれるかもしれない。本作がカーシミュレーターのようなリアル志向のレースゲームではないとしても、エンタメ志向に振りすぎているところをプレイ中に感じた。アイテムの効果が強すぎることは、コーナーを攻めて得た努力が無駄になったようで釈然としない。その一方で強力なアイテムで相手を踏み潰すことには爽快感も存在する。

プレイヤーが追い求める理想の走りに近づける豊富なカスタマイズ
プレイヤー独自の走り方を追求できるシステムも本作には用意されている。「ガジェット」と呼ばれるものがそれに該当し、スピード重視やアイテム重視などの多彩な編成でプレイヤーはレースに臨むことが可能だ。複数のガジェットを編成することができるが、それぞれにはコストが設定されているために無制限というわけではない。たとえば、リングを獲得できる範囲が上昇するガジェットはコストが1だが、チャージレベル1がたまりやすくなるガジェットはコストが2もかかる。
プレイヤーが追い求めるスタイルに合わせてガジェットを編成するのは戦略性があって好印象だ。今回の試遊ではスピードアップの効果の機会をより多く得たいと思ったので、リングを獲得できる範囲が上昇するものとリングを獲得したときマシンが加速するものを組み合わせてみた。そこからさらに、チャージレベル1がたまりやすくなるガジェットも編成。コーナーを攻めまくるプレイスタイルと上手くマッチし、レースで1位を取ることができたときは戦略が功を奏した達成感に包まれた。


コースとの相性があるため、最強のガジェットの組み合わせというものは存在しないかもしれない。実際のところカーブを優先したガジェットを編成したにも関わらず、空を飛ぶ場所が多いコースではそのメリットを発揮できなかったように思う。ガジェットの編成については複数のパターンを保存できるようになっているため、コースに合わせて使い分けていくのが勝利の近道になるだろう。ガジェットなしの状態でもスピード感に満ちていたが、ガジェットの編成を駆使することでプレイヤーの理想とする走り方を追い求めることができる。

『ソニックレーシング クロスワールド』は、2025年9月25日発売予定。プラットフォームは、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC(Steam/Epic Gamesストア)となっている。