やりたい放題SRPG『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』試遊プレイ感想。ひらめきが気持ちいい策略に昇華する、進化した“なんでも憑依”システム

日本一ソフトウェアは来年1月30日に、『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』を発売予定。本稿では試遊プレイに基づき、本作の内容を紹介する。

日本一ソフトウェアは2025年1月30日に、『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』をPS5/PS4/Nintendo Switch向けに発売予定。またPC(Steam)版を2025年春に発売する見込みだ(関連記事)。

本作は、「やりたい放題RPG」と標榜されるシミュレーションRPGだ。同じく日本一ソフトウェアが手がけるシミュレーションRPGである『ディスガイア』シリーズとは異なる可能性を秘めたタイトルといえる。今回弊誌は、メディア向け発表会にて『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』の試遊をすることができた。この記事では30分間の試遊を通じて得られたインプレッションをお届けしたい。なお、試遊は開発中のバージョンで実施された。


『ファントム・ブレイブ』とは

まず本作は、20年ぶりの『ファントム・ブレイブ』シリーズ完全新作となるため、まずは前作『ファントム・ブレイブ』について説明したい。日本一ソフトウェアを代表する『ディスガイア』シリーズと比べると、『ファントム・ブレイブ』は常にスポットライトを浴びるようなタイトルではなかった。それでも『ファントム・ブレイブ』には『ディスガイア』にはない切なくシリアスなストーリーのほか、死者の魂(ファントム)を憑依(コンファイン)させて戦う自由度の高いバトルシステムなど独自の魅力にあふれていた。

そんな『ファントム・ブレイブ』は2004年にリリースされたゲームだが、その後もさまざまなプラットフォームに移植されてきた。新キャラクターの追加や新ストーリーの実装などが繰り返し行われており、完全新作こそなかったもののそこまで古さは感じないタイトルだろう。むしろ『ファントム・ブレイブ』を徹底的に磨き上げることで、20年ぶりの完全新作『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』が生み出されたといえる。


扇風機で相手を場外に追い込む策がハマった火山ステージ

『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』でも前作に引き続き、人間や獣人などのさまざまな種族が暮らす世界「イヴォワール」が舞台となる。イヴォワールは多数の島々から成り立っており、島によって気候や植生がガラリと変化。メディア向けに割り当てられたステージが異なる今回の試遊では、弊誌は火山が特徴的な島のステージの担当になった。

火山のステージは燃え盛る火が目立つが、それ以上に段差が多いことに気づく。敵に一直線に突っ込んでいこうとしても、ジャンプが届かない場所へはたどり着くことができない。そればかりか無理して細い道を登ろうとして溶岩に落ちてしまうと「場外」となり、ダメージを受けてしまう。自分から突っ込むばかりでなく、相手を近くにおびき寄せて戦うことも重要だった。逆に相手が大砲で攻撃してくるステージも存在し、このステージでは砲手を先に倒さないと味方の被害が甚大なものになってしまう。


そして敵を引き付けるという戦い方がピタリとハマったのが、マップの中央に扇風機が置いてあるステージだ。扇風機の近くを味方キャラクターで固めておいて、敵が近づいてきたら扇風機を起動して敵を溶岩へ落としていく。これがおもしろいように上手くハマった。敵味方の戦力からすると真っ向勝負でも勝つことはできたはずが、自分の思いつきが功を奏したときは実にうれしい。扇風機は本作で新たに加わった「ガジェット」の一種だが、ほかのステージでもガジェットを見つけたときは積極的に使っていきたいところだ。


マップ上のあらゆるものに仲間を憑依させる攻めバトル

マップを自由に動き回り、相手に攻撃を当てていくプレイフィールは前作から受け継がれている。主人公のマローネは特殊なユニットになっており、マップ上のさまざまなオブジェクトに仲間のファントムをコンファイン(憑依)させることが可能。コンファインというシステムによって、マローネを前線に送った先からさらに先まで仲間を送り込むことができる。マップに存在するオブジェクトの数によっては、序盤から一気に相手を攻めることができるのは気持ちがいい。

しかし、コンファインしたキャラクターは一定のターン数が経過すると退場してしまう「リムーブ」という制約が課せられている。強力なユニットほどリムーブまでのターン数が短く設定されているため、先を見据えて使うのが勝利のカギとなるだろう。また岩や木など、コンファインできるオブジェクトは多数登場し、どれにコンファインしたかによって得られるバフが異なる。試遊ということで今回はあらかじめセットされたキャラクターを使っていったが、コンファインするキャラクターを考えていくうちに次第にそのキャラクターへ愛着をもてるようになった。


マローネに仲間キャラクターをコンファインさせる「絆コンファイン」も試してみたいところだったが、今回の試遊では残念ながらその場面を見ることができなかった。絆コンファイン状態のマローネは連続行動が可能になる「ワンモア」が発生するとのことなので、マローネ自らが戦況を一変する強大な力になるだろう。


断片的ながらもうかがい知れる主人公の成長

「悪霊憑き」として忌み嫌われていた主人公マローネも、前作で世界を救う活躍をしたことで、本作では誰もが知る英雄として称えられている。しかし、相棒のアッシュと離れ離れになってしまったことで、マローネは不安な日々を送っているようだ。試遊でプレイした火山島がストーリーでいつ訪れる場所なのかは不明だが、アッシュのことになると心の底から再会を望むマローネの心情が吐露される。

なお新キャラクターのアプリコもまた、行方不明の父親を探す少女だ。大切な人を探しているという点でマローネと似た境遇にあるが、しばらく孤独で暮らしてきたアプリコは父を探しに行く勇気がでてこない。そうしたアプリコを励ますマローネの姿も試遊で見られたため、マローネとアプリコはある種の師弟関係のような存在になっている印象を受けた。苦難を乗り越えて成長した主人公が、他者の苦しみを和らげるようとしているところにグッときた。


『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』は、東京ゲームショウ2024ではホール4-N03のセガ/アトラスブースに試遊出展されている。TGS専用ステージをプレイすることができるので興味がある場合は是非ブースに行って試遊してほしい

ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』は、PS5/PS4/Nintendo Switch版が2025年1月30日に発売予定。PC(Steam)版の発売時期は2025年春を予定している。通常版の価格は7920円(税込)。2枚組のサウンドトラックCDやA5サイズで全40ページの設定資料集などを同梱する初回限定版の価格は1万978円(税込)となっている。

Ryuichi Kataoka
Ryuichi Kataoka

「ドラゴンクエストIII」でゲームに魅了されました。それ以来ずっとRPGを好んでいますが、おもしろそうなタイトルはジャンルを問わずにプレイします。

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