『魔法少女まどか☆マギカ Magia Exedra』Steam版先行プレイ感想。(比較的)低スペックでも動く、大画面『まどドラ』体験
『魔法少女まどか☆マギカ Magia Exedra』スマートフォン版からやり込んでいる筆者による、Steam版先行プレイの感想をお届けする。

スマートフォン向けに展開中の『魔法少女まどか☆マギカ Magia Exedra』(以下、『まどドラ』)は、2025年7月17日(木)にSteam版の配信を予定している。弊誌は、本作のSteam版を先行して試遊する機会に恵まれた。原作のテレビアニメのシーンを忠実に再現するストーリーや、膨大な数のキャラクターが登場するターン制コマンドバトルを特徴とする本作が気になっていた方も多いのではなかろうか。この記事では、スマートフォン版からやり込んでいる筆者によるSteam版の先行プレイ感想をお届けする。
より豊かな『まどドラ』生活を確信させる最適化されたSteam版
すでにスマートフォンで配信されているタイトルが、PCでもプレイできるようになったからといってゲーム生活はより豊かになるのだろうか。こうした疑問に対して、たとえ『まどドラ』をスマートフォンでプレイしていたとしても、Steamでプレイする価値が存在すると筆者は断言したい。その理由は大きく分けて2つ存在する。
1つめの理由は、スマートフォン版とSteam版でセーブデータを引き継いでクロスプログレッションができることだ。外出中はスマートフォン版で軽めの育成コンテンツを中心に本作をプレイし、帰宅後はSteam版で長時間の演出によって作品世界に浸れるストーリーや高難易度バトルなどのやりこみ要素をプレイするという形でゲームをプレイすることが可能となる。今回は配信前ということもあって自分が日頃プレイしているスマートフォン版のデータを使用することができなかったが、正式にSteam版が配信されたらデータを連携することでかなり便利になりそうな印象だ。
Steamで本作をプレイすべき2つめの理由としては、美麗なグラフィックをPCモニターの大画面に表示可能なことが挙げられる。魔法少女たちはもちろん、魔女や使い魔といった敵もハイクオリティな3Dモデルで描かれているため、モニターが大きければ大きいほど迫力が増す。Steam版は4Kにも対応しているため、プレイ環境が整えばフルHDよりも高精細なグラフィックを堪能できる。本作はギャラリーモードも充実しており、『まどドラ』の設定資料集としての要素も強い。学業や仕事に疲れてストーリーを進めたり、高難易度コンテンツに挑む気力がなかったりしても、精緻な3Dで作成されたキャラクターを眺めることで質の高い休息を得られるだろう。


使用するPCのスペックによってどの程度のパフォーマンスで本作をプレイできるかが変わってくるが、そこまで高スペックを要求するものではない。筆者のPCスペックは高いとはいえないが、グラフィック設定「高」レベルで問題なくプレイすることができた。スマートフォン版が先行して展開されている間に、Steam版の最適化について抜かりなく進められてきたのだろう。なお、Steam版の動作環境についてはSteamストアページに記載されているので、そちらも参照してほしい。
マウス操作やキーボード操作についても最適化が進められており、直感的に操作することができた。ユーザーが独自にキーの割り当てを行うことも設定画面から可能となっており、至れり尽くせりといった印象だ。画面の配置はスマートフォン版と大きく変わらないため、既存のプレイヤーはSteam版にすんなりと順応できるだろう。

原作再現度の高いストーリーは原作ファンの心も抉る
主人公となるナマエは記憶喪失で、原作でお馴染みの「キュゥべえ」によく似た「A-Q」を相棒にして「灯台劇場」で魔法少女たちの「記憶の光」を探している。灯台劇場は魔法少女たちの記憶の光がある魔女結界とつながっている「記憶の窓」が存在する特別な場所で、主人公は記憶の窓を開いて魔法少女のキオクを使って魔女や使い魔たちと戦い、手に入れた記憶の光を通して魔法少女たちの物語を追体験していく。
本作では、2011年に放送されたテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』とその関連作のストーリーが展開されていく。とりわけ『魔法少女まどか☆マギカ』のストーリーはボイス付きで再現度が高く、プレイしているとアニメの記憶が蘇ってくる。無慈悲な世界のシステムに立ち向かう魔法少女たちの姿は儚くも美しい。原作アニメを視聴済みで本作のスマートフォン版をプレイ済みの筆者にとっても、『魔法少女まどか☆マギカ』のボイス付きストーリーには少女たちの葛藤によって心を揺さぶられた。


以前スマートフォン向けゲームとして配信されていた『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』や、外伝漫画作品の『魔法少女おりこ☆マギカ』などのストーリーも本作に登場し、『魔法少女まどか☆マギカ』の本編と外伝を網羅したかのようなボリュームとなっている。スマートフォン版の配信開始時から『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』のストーリーが追加されており、今後も本作でカバーされるシリーズのストーリーは膨大なものになりそうだ。
ストーリーはステージクリア型で進行していく。場合によっては探索ステージが登場し、ゴールを求めてフィールドを探索する。探索自体は複雑なものではない。分岐路の先にあるかもしれないアイテムを探すか、それともゴールに直行するかというシンプルな2択だ。クリアしたステージでもやり直すことができるため、初回はストーリー重視でゴールに直行してもいいだろう。寄り道をした場合は報酬を得ることができるため、戦力増強につながる。

マウスでもキーボードで操作可能なコマンドバトルは快適
本作のバトルシステムは、最大5人パーティによるターン制コマンドバトルだ。キャラクターは通常攻撃のほかに、SP(スキルポイント)を消費することで強力な戦闘スキルを使用可能。キャラクター個別の必殺技も存在し、ゲージを溜めたあとは任意のタイミングで必殺技を発動できる。マウスとキーボード両方でコマンドを選択可能だったので、戦闘は終始快適だった。
もし、PCがタッチパネルに対応していればスマートフォン版と同じようにタッチしてコマンドを選択できるので便利だ。試遊では基本的にマウスとキーボードでプレイしたが、必殺技の発動をタッチ操作で行うこともあった。必殺技は敵味方の行動順を無視して割り込むことができるので、適切なタイミングで発動できるように常に準備しておきたい。


敵はHPのほかに「ブレイクゲージ」を持っており、プレイヤーキャラクターが攻撃することでゲージを削ることが可能。ブレイクゲージを削りきったあとはブレイク状態となり、敵の行動順を遅らせつつ、こちらから与えるダメージが上昇する。ブレイク後も攻撃を当て続けることで、敵によってはダメージ倍率は500%や800%など凄まじい倍率まで上がっていく。ブレイクゲージを削りきってから高倍率の攻撃を叩き込んでいくのは勝利に直結し、ここでどこまで攻め切ることができるかがカギとなる。
ストーリーの後半になればなるほど、敵キャラクターは苛烈な攻撃を仕掛けてくる。単純に威力の高い攻撃を仕掛けてくることもあれば、こちらを状態異常にしてまともに行動させなかったり、シールドを張って戦闘を長引かせようとしてくるから厄介だ。そうした苦境に仲間と耐えながら相手のブレイクゲージを削り切り、一気に反撃に転じるのが本作のバトルシステムの醍醐味といえるだろう。

キャラクターには得意とするロール(役割)が全6種類のなかから割り当てられている。スマートフォン版がリリースされてから数カ月が経過しているため、ユーザーたちで培われた知見によって理想的なパーティ編成も検討が進められてきた。しかし、本作には特性の異なる数多くの敵が登場し、高難易度コンテンツも豊富に用意されているのでほとんどのプレイヤーにはやり込み要素がまだ残されているはずだ。スマートフォン版を少しプレイして一旦プレイをやめてしまったプレイヤーも、興味をもっていたもののまだプレイできていないプレイヤーも攻略情報がある程度出揃ったあとにリリースされるSteam版をきっかけに、本作をあらためてプレイしてみるといいかもしれない。
ショートカット割り当てやグラフィック設定が充実
Steam版はマウスだけでほぼすべてを操作できるが、キーボード操作によるショートカットにも対応している。たとえば、オートの有効および解除は「R」で、倍速の切り替えは「T」といった形だ。もちろんオートや倍速はマウスからも直感的に操作することができるが、細かく切り替えたい場合はキーボード操作が役に立つ。マウスのカーソルを持っていくよりも、割り当てたキーを押す方が、負担が少ない。
ショートカットはカスタマイズ可能となっており、プレイヤーの好みに応じてキーを割り当てることができる。かなり細かくカスタマイズできるようになっており、探索時の移動操作からバトル時のコマンド選択まで設定可能。バトルでは攻撃する相手を変更する「左にターゲット変更」や「右にターゲット変更」などのショートカットも存在するため、極めればキーボードだけでもプレイ可能といえるものになっている。


グラフィックの品質はスマートフォン版でも選択できたが、Steam版はより詳細に設定することができる。30fpsか60fpsかを選択できることをはじめ、滑らかにグラフィックを表示するアンチエイリアスのオンオフや、影の描写の細かさや鮮明さを調整するシャドウ品質も設定可能だ。これらをまとめた低、中、高の3段階からグラフィックの品質を選択することもできれば、プレイヤーがそれぞれの項目をカスタマイズすることもできる。4Kに対応したPCの場合は、設定画面で4Kの解像度を選択可能だ。
Steam版は、ウィンドウとフルスクリーンの表示モードに対応。2つはオプションから選択できるほか、「Alt+Enter」でも切り替えられるようになっている。設定画面を介さずに全画面表示の切り替えができるのは快適だ。プレイ中のメモを記録したいときにウィンドウ表示にして別のアプリケーションを立ち上げることもできれば、ストーリーの山場などでゲームに集中したいときはフルスクリーン表示に瞬時に戻すこともできる。


大画面で見るギャラリーモードは臨場感抜群
キャラクター情報を閲覧したり、作中の楽曲を視聴できたりするギャラリーモードは『魔法少女まどか☆マギカ』シリーズの資料集といっていいほど作り込まれている。ストーリーを進めて入手できるポートレイトは戦力になる一方で、作中の印象的なシーンを切り出した1枚絵となっており、完成後に眺めると感慨にふけることができる。それがPCモニターの大画面で鑑賞できるとなればなおさらだ。
その一方でキャラクターの情報閲覧や楽曲の視聴などの要素は、スマートフォン版で堪能するというふうに割り切ってみるのもおすすめだ。試遊期間中の筆者の場合は自宅では時間のかかるストーリーやバトルコンテンツを思う存分プレイし、短時間でも味わえるギャラリーモードは外出時に鑑賞することが多かった。こうすることで、『まどドラ』の世界にどっぷりと浸ることができたと思う。
本作のギャラリーモードは、プレイヤーが旅で集めた物がつまった博物館のようなものだ。それはプレイヤーの旅の足跡であり、魔法少女たちが存在した証明でもある。『魔法少女まどか☆マギカ』とその関連作のコレクションはプレイすればするほど充実していくため、筆者個人としてはギャラリーモードにかなり愛着を持つようになった。


『まどドラ』は、『魔法少女まどか☆マギカ』シリーズの世界観に浸れる最高のファンアイテムだ。自宅で思う存分プレイ可能なSteam版と外出中の、ながら時間にも触れられるスマートフォン版の両方をプレイすることで、間断なく本作を堪能することが可能。スマートフォン版のリリース当初から『崩壊:スターレイル』と似ているバトルシステムは物議を呼んだが、敵の過酷な攻撃を耐え忍びつつブレイクゲージを削り切り、高倍率のダメージで相手を一気に倒す『まどドラ』がたどり着いた独自の境地となっている。そうして敵を撃破したときは爽快であり、無慈悲な世界のシステムに連帯して抗う物語が特徴の『魔法少女まどか☆マギカ』の世界観と合致する。
『魔法少女まどか☆マギカ Magia Exedra』は、基本プレイ無料タイトルとしてiOS/Android向けに配信中。2025年7月17日にSteam版が配信予定となっているため、興味がある場合はSteamストアページでウィッシュリストに登録しておこう。
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