『怪獣8号 THE GAME』先行プレイ感想。これは紛れもなく「高品質なターン制コマンドバトルRPG」、アカツキゲームスは運営をもって答えを出せるか
本稿では、『怪獣8号 THE GAME』の先行試遊におけるインプレッションをお伝えする。

『怪獣8号』がターン制コマンドバトルのRPGになると知ったらどう思うだろうか?私はこの質問に対して、端的に言って歓迎だと回答する。筆者は仲間との共闘感がもっとも得られる仕組みがターン制コマンドバトルであると考えているため、日本防衛隊に属する主要キャラクターたちの共闘によって弱者が強者を倒していく『怪獣8号』の世界観に合っていると考えるからだ。しかしこのジャンルは基本プレイ無料ゲームマーケットにおいて、『崩壊:スターレイル』のような高いクオリティ作品が多いため、それに見合うものを開発するのは簡単なことではない。
しかし、開発陣のもつ情熱は『怪獣8号 THE GAME』を良質なターン制コマンドバトルのRPGへと練り上げた印象だ。漫画、アニメ、ゲームはそれぞれが横並びに立っているといえるほど高いクオリティであり、それぞれが相互補完的に『怪獣8号』の世界を表現している。アカツキゲームスは満を持してリリースした直近の大作『トライブナイン』が早期サービス終了の憂き目にあうなどの問題を抱えているが、それでも筆者は本作をかなり気に入った。
弊誌は本作を先行してプレイする機会に恵まれた。約2時間30分の試遊を通じて得たインプレッションを、この記事でお伝えしたい。なお、開発中のバージョンを使用してプレイしたため、一部の画像は製品版と異なるおそれがある。
原作・アニメ同様の共闘感を味わえるターン制コマンドバトル
ターン制コマンドバトルの醍醐味は共闘感だ。4人パーティで戦う本作のバトルでは1人が突出していてもそうそう勝てるものではない。ほかのキャラクターを強化する役割を持つ者も存在すれば、シールドを張って敵の攻撃を味方から守るような能力を持つ者も存在する。『怪獣8号』は、人類より遥かに巨大で手強い怪獣たちと戦いを繰り広げていく作品だ。いわば弱いサッカーチームが強いサッカーチームを倒したときなどに表現される「ジャイアントキリング」を、仲間たちと協力して達成していくことが大きな魅力といえる。
『怪獣8号 THE GAME』が発表されて以降のゲームの情報公開は断続的だったが、ターン制コマンドバトルのRPGになると知ったときは期待に胸が高まったところだ。キャラクターのレベルアップはもちろん、スキルや武器を強化していく仕組みは『崩壊:スターレイル』のような仕組みになっていることも公開されたスクリーンショットで次第にわかった。

もちろん各種のシステムが似ているからといって『怪獣8号 THE GAME』が、面白いことが担保されているわけではない。タイムラインで進行するバトルは誰がどの順番で行動するかがわかりやすく、キャラクターのコマンドが通常攻撃、スキル、必殺技とシンプルになっている。『崩壊:スターレイル』のような基本プレイ無料のターン制コマンドバトルを代表とするシステムと似通いつつも、後述するような弱点を露出させることでほかのキャラクターが追撃をしてくれる独自のシステムが搭載されている。
もちろんスキルや必殺技にはキャラクターの個性が滲み出ており、主人公たちからすれば雲の上の人である日本防衛隊の長官の四ノ宮功のスキルは味方にシールドを張るものだった。怪獣と長年にわたって戦い続けた四ノ宮功ならではの、若手を守る気持ちがスキルに現れているようでグッときた。味方を守ることに長けているかと思えば、必殺技で高威力のダメージを叩き出すこともできる。このダンディな四ノ宮功がカッコよすぎて製品版でも使いたい。筆者はリリースまでに日頃の行いを良くして、ガチャ運を高めていきたいと思う。


弱点を突いてからの追撃が爽快
本作における戦闘の特徴として、相手の耐性を削りきったあとに追撃が発生するシステムが導入されている。追撃が発生するときのキャラクター同士のやり取りは特定のキャラクターの組み合わせが搭載されているようで、原作・アニメと同じようなものもあれば、ゲームオリジナルのものも存在するという力の入れ具合だ。それらの掛け合いにはボイスが付いているため、ゲームでしか見られないものもあった。
耐性は打撃や斬撃などの複数の種類が存在し、どのキャラクターがどのタイミングで攻撃していくのかを考えることも重要になってくる。相手の装甲をすべて壊してしまえば怪獣の弱点でもある核が露出し、大ダメージを与えることができるようになるからだ。追撃も発生して一気に叩き込んでいくプレイフィールは、弱者が強者を倒しにかかるジャイアントキリングをしている実感が込み上げてくる。弱点露出した敵には仲間からの追撃も飛んでいくし、一気にダメージを稼いでいくのが快感だ。


核露出を積極的に狙っていくのは、防御面でも重要な仕組みとなっている。というのも、怪獣は定期的に必殺技の発動を試みており、まともに喰らってしまうと戦線が一気に崩壊しかねない。怪獣が必殺技の発動を試みているうちに核露出に追い込めば必殺技の発動を阻止できるため、その駆け引きが重要となる。今回の試遊でもそうした判断に迫られたことがあり、怪獣が必殺技を繰り出そうとする素振りをすぐに察知し、集中砲火的に核露出に追い込んだ。そのとき上手く対応できなければ、負けていたのは主人公たちだったかもしれない。
このように、『怪獣8号 THE GAME』は戦略性の高さも兼ね備えた本格的なターン制コマンドバトルとなっている。『怪獣8号』という大ヒットIPに縋ったゲーム化というわけではなく、本来は圧倒的弱者であるはずの人間たちが力を合わせることで怪獣をも倒すことができるという『怪獣8号』における共闘の尊さをターン制のコマンドバトルに落とし込んだ作品だ。原作の漫画やアニメがファンの年齢層や男女の別を問わないこともあって、ターン制コマンドバトルについても複雑すぎずに誰でもわかりやすくなっていると感じた。チュートリアルも充実しており、プレイヤーは段階的にバトルの醍醐味を学んでいくことができる。核露出にしても、どういった属性の武器で何回攻撃をすればいいのかがバトル中にわかるのでユーザーにとって親切ではある。


アニメを原作にした超美麗な3Dのグラフィック
『怪獣8号』の原作漫画は極めて洗練された作画で描かれている。キャラクターがどういったアクションを繰り出しているのかを瞬時に理解できるのは、バトル漫画にとって重要な要素である。漫画の作者による優れた画力や構成力に魅了された読者は、アニメではコマ割りではなくキャラクターたちが流麗な動きでアクションをするシーンとして視聴可能だ。
『怪獣8号 THE GAME』のグラフィックは3Dとなっているが、漫画やアニメの魅力を損なわないものになっている。漫画では技の発動からフィニッシュまでがコマ割りから十全に把握することはできなかったが、ゲームだと最初から最後までを磨き上げられた3Dグラフィックで堪能することができる。堪能というと大げさに聞こえるかもしれないが、とにかく気合が入ったグラフィックとなっており、スマートフォン向けのゲームとしては最高峰だと筆者は断言できる。

本作はフィールドの探索要素などは存在しないようなので、ストーリー描写とバトルでの演出に注力したことが3Dの高品質のグラフィックの実現に近づいたのかもしれない。とはいえ、ゲームの3Dモデルはアカツキゲームスがゼロから作成したもので、アニメからの流用などは行っていないそうだ。試遊当日に実施したプロデューサーへのインタビューによると、カットシーンのカメラアングルやボイスも取り直してゲームとして違和感のない画面構成を目指したとのことだった。アカツキゲームスの総決算ともいうべき経験と知見が詰まっている『怪獣8号 THE GAME』は、かなりの熱量をもって作られていることを実感するエピソードだ。
キャラクターのレアリティは複数の種類が存在するが、レアリティが低いからといって手を抜いているわけではなさそうだ。ストーリー序盤をプレイするモードでは低レアリティのキャラクターを使用したが、それでも核露出や追撃などのアクションシーンはスタイリッシュでカッコいい。
ただし、低レアリティのキャラクターだけでストーリーを進めて行けたり、高難易度のバトルコンテンツを突破していけるかは別問題だ。あくまで試遊で抱いた印象だが、強敵と連戦するバトルコンテンツはかなり難易度が高く最高レアリティのキャラクター保持と育成を十分に行なわなければ突破できないかもしれない、との懸念を抱いた。強いキャラクターをガチャで引けるか否かでコンテンツをクリアできる可能性が大きく異なってくるとしたら、ゲームに不慣れな『怪獣8号』ファンは本作から離れてしまうだろう。すべてのユーザーが満足できるようにコンテンツを用意することは難しいことではあるが、本作が漫画、アニメ、ゲームの横並びを謳う以上は難易度に気をつけてほしいかぎりだ。


オリジナル、再現、キャラ補完の欲張りストーリーモード
本作にはストーリーモードが3つも存在する。理由としては「漫画やアニメを知っている人向けのストーリーモード」と「漫画・アニメを知らない人でも楽しめるモード」に分かれているからだ。漫画・アニメを知らない人でも楽しめるストーリーモードは「追憶ストーリー」と呼ばれており、アニメの第1話から視聴する感覚で『怪獣8号』の世界に親しんでいくことができる。
漫画・アニメを知っている人向けには、『怪獣8号 THE GAME』オリジナルのストーリーが展開されるメインストーリーが用意されている。とある出来事をきっかけにし別次元とつながってしまい、新キャラクターが登場するほか怪獣1号や怪獣2号といったかつて辛くも人類が討伐した怪獣も登場するようだ。四ノ宮キコルの血の繋がらない姉である四ノ宮サガンも登場し、『怪獣8号』の世界がゲームで拡張されていくストーリーは先が気になるものだった。


3つめのストーリーモードはキャラストーリーと呼ばれるもので、キャラクターの日常的なシーンが描かれたかと思えば、その日常シーンに関連する突発的なバトルなども発生する。キャラクター単独の掘り下げはもちろん、キャラクター同士の関係性も展開されていく。漫画やアニメでは描き切れなかったキャラクターの内面描写を補完してくれるものであるため、キャラストーリーもファン向けの要素が強くなっている。


足掛け5年の連載で完結した漫画『怪獣8号』だが、同作をもっと続けてほしかった人もいれば自分の好きなキャラクターのサイドストーリーを読みたかった人もいるだろう。そうしたファンの期待に応えるポテンシャルが『怪獣8号 THE GAME』には存在し、そのファンからの期待に応えられたときにはじめて、『怪獣8号 THE GAME』が漫画やアニメと横並びといえるほどの存在感を示すことができると筆者は考える。当然ながらそのハードルの高さはとてつもないが、漫画の第1話から追いかけているプロデューサーが率いるアカツキゲームスの開発チームならば情熱と技術でそれを実現できるかもしれない。
タワーディフェンスのミニゲームとやり込み要素も充実
なお、『怪獣8号 THE GAME』には本編からかけ離れたミニゲームも登場する。いわゆるタワーディフェンスのようなゲームだが、ターン制コマンドバトルは落ち着いて行動を決められる一方でタワーディフェンスの方はとにかく忙しい。資金回収やユニットの投入などのやるべきことが山積みで、高難易度になるとスマートフォンを連打でタップしているようなものだ。こちらもかなり熱中してプレイできたので、まるで2つのゲームを取り入れたかのような、バイタリティには称賛したい。

ソーシャルゲーム要素としては、いわゆるスタミナを消費しての育成素材集めや高難易度のボスと戦うコンテンツなどが用意されている。ストーリーはもちろん重視しているが、キャラクター育成やバトルコンテンツについても、『怪獣8号 THE GAME』は練り上げられているように感じた。2時間30分の試遊時間にしても止め時を見つけることが難しいほど、『怪獣8号』の要素が凝縮されている。
その一方で最近の動きを踏まえると、アカツキゲームスには長期的な、かつ持続性のある運営を求める。アニメとゲームはリンクしてキャラクター配信などが予定されているようだが、アニメが終わったらいったいどうなるのだろうか。漫画、アニメ、ゲームの三本柱のうち『怪獣8号 THE GAME』がどこまでユーザーの期待に応えられるかはこれからにかかっている。もはや本作は単なる人気アニメのゲーム化ではなく、『怪獣8号』という世界観を成り立たせるのに欠かせない立ち位置となっている。長くサービスが続いて、『怪獣8号』ファンを満足させ続けるタイトルになることを切に願う。
『怪獣8号 THE GAME』は、基本プレイ無料でiOS/Android向けに2025年8月31日に配信予定。PC(Steam)版は後日の配信を予定している。
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