「INDIE STREAM」レポート [4] – キーマン4人が語るインディーゲームの今後

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INDIE STREAMの山場、日本のインディーシーンを語る上で外せないクリエイターらによるトークセッションです。登壇したのはNIGORO楢村氏・Nyamyam東江氏・comcept稲舟氏・Creative Intelligence Arts由良氏の4名。司会はSCEJAから。接近するのも難しいくらいの人だかりが構築されていました。


 

司会:
本日のトークセッションのテーマは「好きなゲームを創るために」です。大きなテーマですが、みなさん興味があるところでしょうから本日は取り扱います。ぜひ思ったことを話していただき、会場の皆さんが刺激を受けるようなトークセッションにしてゆきましょう。

まずウォーミングアップから。せっかくお越しいただいたのですから、まず皆様のそれぞれのタイトルについてご紹介から始めたいと思います。

 

楢村氏:
WiiウェアとPC向けに『LA-MULANA』を創りました。チームNIGOROで担当はディレクター・サウンド・グラフィック。プログラムができないので、プログラマを誘ってゲームを創り始めました。

 

稲船氏:
僕は27年間もゲームを創ってきました。ここにいる誰よりもゲームを創っているでしょう。昔、日本が一番輝いていたころのゲームをもう一度―あの匂いのす る・あの感覚をもったゲームを皆さんに届けたいなということで『Mighty No.9』を立ち上げました。企業が挟まるのではなく「みんなのもの」を目指します。ユーザーとクリエイターで直接創り上げるゲームです。すごくワクワク していますね。もう一度日本を輝かせたいなと思ってチャレンジしています。

 

由良氏:
長らく海外で生活し、欧米と日本のゲームを両方体験してきました。『Project Phoenix』は、昨今のJRPGとは異なる、10年前くらいの内容の作品を創りたいと思って立ち上げました。最近はグラフィックスなどばかりが重要な アピールポイントになってしまっていますが、『Project Phoenix』はそうではなく、もっと古き良きタイトルを2013年の今創りあげようという狙いです。……とはいえ、かわいい女の子も登場させますが。

 

東江氏:
今『Tengami』を開発しています。僕たちは本当に個人的な想いだけで走ってしまいました。メンバーはそれぞれ元々ゲーム開発会社にいたのですが、 もっと自分たちが遊びたい・自分たちにとってクールだと思えるものを、と突き詰めたのが『Tengami』です。小さな会社で3名で動いているのですが、 ほんのわずかなイノベーションでも起こせればいいなと考えています。

 

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司会:
最初の質問です。ゲームを製作する際に大事にしていること・こだわりは何ですか?

 

楢村氏:
よく聞かれるので答を準備しています。すごく抽象的なのですが、「自分の欲望」ですね。自分が創ってみたい・やってみたい・面白いと思ったものこそが一番最初に出てくるピュアなものです。それを大事にしたいです。

 

稲船氏:
株式会社comceptは、「一番大事なものを会社の名前にしよう」ということで命名しました。一番大事なものはやはりゲームのコンセプトです。コンセプ トがちゃんとしていなければどんなに優秀なスタッフを集めてどれだけおカネをかけたって、良いものはできません。それをこの27年間で学びました。コンセ プトをちゃんと創りだしてそれをキープしていくこと、これが一番難しいのですけれど。考えつくだけでなく最後まで貫き通すこと、これはほとんどのクリエイ ターができません。だから「面白くない」のです。貫き通すことを最後までやっていけば、良いゲームができるでしょう。だから、一番大事にしているのはコン セプトです。

 

由良氏:
『Project Phoenix』が一番大事にしているものは、国による差異です。その点において我々は国際的なメンバーにより、世界中のゲーマーにアピールできるゲームを創ることが可能です。

 

東江氏:
いろんなことに気をつけてはいますが、心を動かされる瞬間の有無で僕はいつも判断しています。理屈で説明して心が動かないものは何をしても解りません。逆 に理屈はよくわからないが心が動いていると感じられるもの、そういうものをいつも僕は「これいいんじゃね?」と採用しています。

 

司会:
とても熱い想いが伝わったかと思います。そうした想いでゲームを製作している際、ユーザーからの声はどれくらい取り入れますか?

 

楢村氏:
NIGOROは小さいですし、ファンのコミュニティもまだまだ小さいです。ファンと一緒に遊んでいるような感覚で創っています。「ここが難しかったよ」と か「ここはわかりづらかったよ」とかいう意見は……聞きますけど、聞いて変更を加えることもありますし、逆にもっといじわるしてやれと挑戦状のようにした りもします。

 

稲舟氏:
世界中の人たちと話す機会を得たわけですが、そこで一番多い声が『Mega Man』(『ロックマン』)を創ってくれ、というものなんですね。何度も言われて、そのたびに「俺は創れないよ」と言い続けなければなりませんでした。で も、ユーザーの声は聞きたいのです。聞きたいのだけれど『Mega Man』は創れない。だったら『Mighty No.9』を創る。(会場歓声) 我ながらこんなにユーザーの声を取り入れているクリエイターはいないんじゃないかと思いますね。

 

由良氏:
『Project Phoenix』の Kickstarter には1万6000人以上の出資者が集まりました。彼らのなかには我々デベロッパーよりも良い意見を持っている方もいるでしょう。実際、ユーザーからのアド バイスを採用して『Project Phoenix』のUIに変更を加えています。Kickstarterの利点は国際的であることです。そして、いうなれば無料で研究できるという点も挙げ られます。

 

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東江氏:
まだ『Tengami』は発売されていないのですが、各ゲームショウなどを回りました。今製作中のゲームについていえば、ゲームの性質がパズルなわけで す。難しすぎると感じられたらコントローラーを投げられかねませんし、簡単すぎるとカタルシスがないということになります。そのあたりのバランスは遊んで もらっている方に判断していただくしかないので、意見は真摯に受け止めています。

 

司会:
ずっとトークセッションを続けたいのですが、もうお時間が近づいてきています。最後に、この会場の皆様、インディーゲームデベロッパーが多くつめかけています。皆さんに一言ずつ、同志として応援メッセージをお願いします。

 

楢村氏:
応援メッセージ……? 応援されたいくらいなんですけれど(笑) [じゃあ応援されたいメッセージをお願いします(会場拍手)] 今こんな場に立っていて僕自身が本当にびっくりしています。ほんの1,2年前までは発表しても誰も記事になんかしてくれませんでした。ただ、継続したこと でこのような形になったのです。だから、面白いゲームを創り続ければ絶対に評価が得られると信じています。皆さんも頑張って面白いゲームをいっぱい創りま しょう。

 

稲船氏:
インディーは1つ1つの会社の力は小さいです。おカネもない、技術力もない、やれることも限られている。いわば「取っ手が小さい」のです。だからこそ皆が 助け合うしかないのです。僕自身デカいところにいましたが、デカいところと勝負するんです。デカいところと勝負するには並大抵の力では無理です。勝てませ ん。それはわかっています。だから、勝つためには私利私欲のためではなく、力を合わせて一緒に頑張っていく必要性があるのです。「Win-Win」で戦っ ていくのです。

どっちが得をしてどっちかが損をするだとか、そんな問題ではありません。「Win-Win」の関係をどれだけ持てるか、それこそがインディーズの力 だと思っています。それぞれに色んな経験を持った人がいるので、自分が不得意とするところは力を借りましょう。僕自身も皆さんに貸せる力があります。ぜひ 皆でインディーを盛り上げて、デカい奴に勝ちましょう!(会場大きな歓声)

 

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由良氏:
昨今のコミュニケーション時代においては、Kickstarterなども含めどんな意見でもファンが発信できます。インディーゲームに賛同する方々と協力することで、より良いゲームを創ることができるでしょう。

 

東江氏:
稲船さんがおっしゃったことに強く共感します。僕もメインストリームでずっと仕事をしていました。いやらしい話なんですが、敵だらけだったんです。周りは 敵、味方にも敵がいる。後ろから刺されるかもしれないようなシチュエーションすらありました。人生を考えてしまいましたね、次の10年このまま続けるのは キツいんじゃないかって。そして1年くらい前に日本に帰ってきたとき、たった一人で誰もいなくて誰も知らないような状況でした。そんな折に楢村さんと偶然 お会いできて、その楢村さんからBitSummitを紹介されて本当に感謝しています。ごく数名の方と知り合えたおかげで、こんなイベントになってしまい ました。これはインディー特有の現象ではないでしょうか。

僕たちには利害関係が絡んでいて繋がれないとか情報をシェアできないだとか、そういうことはありません。ならば、もっと繋がっていこうと。山登りに 例えると、危ないところは危ないと警告してあったりだとか、落ちそうなところは落ちそうと書くか網を張ったりしますよね。山登りならば当たり前のことなの ですから、僕らもやりましょう。そうすれば、後続であとからゲームを創ろうとした人たちが”もっともっと高く登れる”ように業界全体を盛り上げることにな るでしょう。そういう風に考え、今回の INDIE STREAM をやらせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。

 

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[ご参考]
【BitSummit】ビット・サミット初開催を振り返って−ひたむきさと積極性、そして課題と将来


 

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INDIE STREAM の振り返りへ続きます。

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