秋葉原シーシャバー経営ゲーム『Hookah Haze』開発会社が「本物のシーシャバー」でゲームを紹介する。リアルシーシャとバーチャルシーシャをまじえて開発トーク

『Hookah Haze』の発売直前イベントが、秋葉原のシーシャバーで行われた。「シーシャとは何か?」という話を聞きつつ、製品版のゲームプレイを観るという非常にユルいイベントであった。本稿ではその模様をお伝えしたい。

6月29日、シーシャバーを舞台に展開するアドベンチャーゲーム『Hookah Haze』の発売直前イベントが、秋葉原のシーシャバー「C.STAND」で行われた。

『Hookah Haze』は、生きる希望を失った主人公がシーシャ屋を営みヒロインたちの本心へ触れていく、ヒューマンドラマADVである。本作の舞台は、2xxx年に秋葉原の郊外に開店したシーシャ屋「Hookah Haze」。主人公の炭木トオルは期間限定のシーシャ屋Hookah Hazeの店長として働き、シーシャを通して個性豊かな3人のヒロインたちと出会い、交流することになる。対応プラットフォームはNintendo Switch/PC(Steam)で、7月11日に発売が予定されている。

今回行われたイベントは、メディア向けだけではなく、抽選に当選した一般の参加者も交えたものとなっていた。イベント会場も秋葉原にあるシーシャバーということでゲーム内のロケーションと近しい。店員さんから「シーシャとは何か?」という話を聞きつつ、製品版『Hookah Haze』のゲームプレイを観るという非常にユルいイベントであった。本稿ではその模様をお伝えしたい。


イベントは2部構成となっており、第1部では今回のイベント会場であるC.STANDの店員さんから、そもそも本作で扱っている「シーシャ」とは何か、ということについて教わる内容となっていた。

シーシャというのはいわゆる水煙草のことであり、シロップに漬けたタバコの葉を燃やし、その煙を水に通して吸う嗜好品のことである。ニコチンとタールを抜いて楽しむこともできるが、日本では20歳未満の喫煙が禁止されているので注意が必要だ。

今回はゲーム内でも登場するフレーバーである「ライチティーミックス味」を実際に楽しませていただけるとのこと。いざSmokin……という前に、店員さんがシーシャの作り方と吸い方についてもレクチャーをしてくれた。

作り方:
1.炭を焚き、最上部に載せる
2.フレーバーを用意する(一般的な紙巻きタバコに似た箱に入っているが、シーシャバーではタッパーに移し替えて保存していることが多いとのこと)
3.フレーバーをアルミホイルで巻き、炭の下に置く
4.穴の大きさを調節し、しばらく蒸らす
5.味見をして煙がちゃんと出るかどうか確認する

上記の手順で店員さんにシーシャを用意してもらってから、いよいよ一服となる。

店員さんいわく吸い方にもコツがあり、なるべく煙を深く長く吸い、肺に入れずに口の中に溜めて、ゆっくり優しく吐いていくのが良いらしい。


助言通り試してみると、口の中にまろやかな甘い香りが広がり、なんとも美味しかった。その後、目の前に真白い煙がぶわっと広がっていく様はとても面白い。ちょっと高級なオモチャで遊んでいるような感覚だ。今回のイベントでも店員さんに味見をしていただいたのだが、ほかの参加者と比べてもより多くの量の煙を上手に吐き出していたのが印象的であった。

そうしてシーシャを楽しみながら、イベントは第2部へと突入。第2部では、販売元であるアニプレックスの制作担当を務めた柏慎之介氏と、開発元であるアクワイアで本作のプロジェクトマネージャーを務めた中尾明恵氏、そして本作のメインキャラクターのひとりである愛上あむの公式コスプレイヤーYuiriさんが登壇し、実際の製品版『Hookah Haze』のゲームプレイを通してゲーム内のシーンを紹介した。

『Hookah Haze』公式コスプレイヤー Yuiriさん

最初に中尾さんから「ゲーム内のメニュー画面を見てみてほしい」というお話があり、その画面に遷移した。本作はお客に品物を提供して会話を楽しむタイプのアドベンチャーゲームで、『Va-11 Hall-A』や『コーヒートーク』といった先行作品があるが、それらのUIに比べても『Hookah Haze』の画面はユニークであると感じた。

Hookah Haze店内の場面では画面がいくつかのブロックに分かれており、キャラクターが上下左右に映っている。Hookah Haze店内に色々なお客さんがいるのがよくわかるような画面構成となっている。またUIを彩るネオンの二色は、左上の一覧から自由に変更可能。明るさ調整もできるとのことだ。今回のゲーム内ではピンク・シアンの二色構成となっていた。


ほかにも面白い機能があった。UIの画面下部から本作で流れるBGMを変更できるわけだが、ここの音を消しておくことで、シーシャが吸われる時のブクブクブク……という環境音が聴こえるようになっている。アニプレックスの柏氏いわく、体験版でもこの仕様に気づいた人は少なかった、とのこと。無音にも仕掛けがあるとはなかなかニクいポイントだ。

本作の「炭交換」のシーンでは、キャラクターたちのカットインが挟まり、炭を入れ替えるミニゲームが始まる。上部に置く炭の数でシーシャから出る煙の量を調整することができ、適切な量の炭を置くことで、お客さんに喜んでもらえるようだ。今回のイベントでは確認できなかったものの、たとえ間違ったとしても、それはそれで可愛い反応が見れるとのこと。製品版ではそちらも試してみたい。


この炭交換のシーンをどう描くかについて、開発はなかなか難航したようで「マスターアップのギリギリまで調整していた」と開発を担当したアクワイアの中尾氏は話す。自分たちも「実際にシーシャのプロではない」と話しながらも、納得のいくまで表現を試行錯誤しながらつくりあげたシーンとのことだ。

炭交換後に、常連の愛上あむと会話に。お互いシーシャにまつわるクイズを出し合って親睦を深めていく。キャラクターの表情にもこだわりを感じる出来となっており、今回のイベントでは愛上あむの「ぷく顔」も披露された。中尾氏いわく、会話の中では何パターンも表情が用意されているとのこと。そのすべてを見る事はできなかったものの、表情豊かなヒロインたちとの会話シーンからは、そのこだわりようがうかがえた。


場面が切り替わり、本作に登場するヒロインの一人である古森くるみが初めて来店するシーンに。あまりコミュニケーションが得意ではない彼女が、水槽に惹かれてガラスに顔を寄せる場面では、会場から「可愛い〜!」という声が上がった。


シーシャのフレーバーを選んでもらう段になってようやく「ナッツ!」と答えてくれたくるみ(彼女はナッツのことになると饒舌になり、中尾さんたち開発者のあいだでは「高速詠唱」と呼んでいるらしい)。

キャラクターごとに好みのフレーバーがあるようで、作中ではフルーツ/スイーツ/ドリンク/スパイス/ナッツの5種類のフレーバーが登場。その3つを組み合わせてつくりあげたシーシャによって、ヒロインたちも表情豊かに反応を返してくれるようだ。彼女のためにYuiriさんがナッツフレーバーを3つも山盛り入れたトリプルナッツを作ってあげると、くるみは満面の笑みでそれを吸い込んでくれた。


イベントの第2部の最後では、Hokkah Haze閉店後のシーンが披露されることになった。退店する愛上あむを店先で送ってあげるところだ。名前を呼んで送ってくれないとイヤだと拗ねる彼女のワガママに主人公である炭木トオルが答えてあげるという、なんともおもはゆいシーンだ。

上機嫌で帰っていくあむを見送ったが、彼女はすぐに引き返してきた。「店の前に怖い人がいる!」と泣き叫んでいる。


どうやら彼女はストーカーに追われているらしい。中尾氏いわく、最上あむはストーカーに追われて逃げた先ではじめてHookah Hazeに出会った、という経緯があるとのこと。それぞれのヒロインに抱えている問題があるようで、それに主人公がどう向き合うかも本編のストーリーでは語られることになるのだろう。果たして主人公は彼女に付きまとうストーカーを追い払うことはできるのか……?

といったところで、イベントは終了。気になる続きは製品版で楽しんでいただくということらしい。ヒキを作るのが上手い。

最後に、サプライズとして愛上あむのテーマソングである「ヤんなっちゃう feat.リリぴ」のMVが本イベントで初公開されることになった。誰かに承認されたいというメイドの想いが歌われる電波ソングを聴きながら、残ったシーシャを吐き出していたら、イベントが終わった……。

イベント時間はたったの1時間だったが、作中に登場するシーシャを実際にレクチャーを受けながら喫煙することで、シーシャと『Hookah Haze』両方の魅力を味わえる濃厚な体験ができた良いイベントだった。久しぶりに吸ったニコチンのヤニクラでちょっとフラフラしながら、秋葉原を歩くのもなかなか乙なものである。現在「C.STAND」全店で『Hookah Haze』コラボを実施中とのこと。特定の店舗では作中のキャラクターたちの等身大スタンディが展示されるほか、オリジナルコラボステッカーやコースターのプレゼントが実施されている。本イベントの詳細については『Hookah Haze』公式サイトのイベント詳細を確認されたい。

『Hookah Haze』は、7月11日、PC(Steam)とNintendo Switchにて発売予定。本作の体験版も配信されており、ゲーム本編とは異なるオリジナルのストーリーによって、本作の2日間のゲームプレイが体験可能になっている。

各務都心
各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

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