“サ終したゲーム”とのコラボ掲げる『ReOath-巨神と誓女 外典-』開発陣インタビュー&プレイレポート。DMM GAMES最新作は、考察しがいのあるストーリーと遊びやすいRTSを両立

今回はそんな本作の試遊および開発陣へのインタビューの機会に恵まれたため、気になるアレコレをきっちりと確かめてきた。

DMM GAMESは3月26日、オンラインRTS『ReOath-巨神と誓女 外典-』をリリースする。基本プレイは無料で、対応プラットフォームはPCブラウザ/SPブラウザ/DMM GAMEストア(apk版)。後日にはApp Store/Google Play向けバージョンもリリース予定だ。

本作は、DMM GAMESから2020年7月に配信開始されたファンタジーRPG『巨神と誓女』を世界観のベースとしている。用意されたシナリオに沿って進めていくのではなく、散りばめられたヒントをもとにプレイヤーが考察していく独特のストーリーテリングが好評を博したタイトルだ。

同作『巨神と誓女』は2021年6月にサービスが終了したものの、個性的な内容が一部プレイヤーから高く評価されており、2022年に実施されたDMM GAMES10周年特別企画「復刻投票キャンペーン」では想定を大きく上回る得票数とともに1位を獲得。本来は1位を獲得したタイトルのグッズ化が予定されていたものの、復活を望むファンの熱意に応えるべくまさかの完全新作の開発がスタート。この度『ReOath-巨神と誓女 外典-(以下、ReOath)』として復活を果たしたのである。

誰もが予想だにしなかった形で生まれ変わった本作だが、興味深い点はほかにもある。なんと、サービスが終了したほかのDMM GAMESのタイトルとのコラボが予定されているというのだ。しかもキャラクターが登場するだけのコラボに留まらず、コラボタイトルのシナリオも追加されるとのこと。さらにはそれらが互いのゲームの設定と矛盾しない作りになっているというから驚きだ。

ほかにもゲームジャンルがRPGからRTSへ変更されている点や、昨年の12月4日に配信を開始したDMM GAMESの3DバトルRPG『ANGELICA ASTER』との関係性など、本作はとにかく訊きたいことだらけ。今回はそんな本作の試遊および開発陣へのインタビューの機会に恵まれたため、気になるアレコレをきっちりと確かめてきた。まずは、原作である『巨神と誓女』の紹介も兼ねた試遊感想からお届けする。

丁寧な誘導が嬉しい「遊びやすいRTS」

本作『ReOath 』の舞台となるのは、フレストニアと呼ばれるどこまでも灰色の景色が続く世界。存在するのは謎に満ちた巨大生物「巨神」と、記憶を失った「誓女」たち。巨神を相手に終わりのない戦いを続ける誓女たちに、主人公は力を貸すことになる。身に着けた服や武器などの意匠がまったく異なることなどから、誓女たちはそれぞれの世界からフレストニアに流れ着き、記憶を失ってしまったことが暗示されている。このあたりの設定は、原作となる『巨神と誓女』から引き継いだものだ。

身に着けているものや背景などからわかる通り、誓女たちはそれぞれまったく異なる世界からフレストニアに集まっている

基本的なゲームの流れとして、巨神との戦いに備えるために、まず必要になるのは拠点の整備だ。土地を占領する敵を退ければマップは開放され、施設を建築することが可能になる。拠点を発展させれば、誓女とともに戦闘を行ってくれる精霊兵の訓練や施設の強化などによって戦力を増強できる。

戦力が整ったら、巨神が跋扈する世界マップへ。検索機能で特定のレベルの巨神を絞り込むことも可能なので、自分の戦力に見合った巨神と戦おう。巨神は強力な敵ではあるが、その分倒した際の報酬も魅力的。得られた報酬で拠点を強化してさらに強力な巨神へ挑戦していく。

なお世界マップは、シングルプレイで完結している拠点マップと異なり、ほかのプレイヤーと干渉し合う形式で進行する。同盟と呼ばれる協力関係で結ばれたプレイヤー同士で強力な巨神に挑むもよし、ほかのプレイヤーの拠点に侵攻を仕掛けるもよしだ。

感想としては、全体的にゲーム内の導線が丁寧であると感じた。たとえば施設の強化に必要なアイテムはワンクリックで入手方法が確認可能で、巨神がドロップするアイテムだった場合は適正レベルの巨神の座標まで示してくれる親切ぶり。また、資源を自動で集めてくれるタンクはクリックするだけで効果時間が延長可能であるなど、全体的に遊びやすい工夫が目立つ。RTSに不慣れなプレイヤーでも、ゲーム内の表示に従うだけでゲームプレイを軌道に乗せることが可能だろう。

続いてはストーリー面について。原作のストーリーを語る上で外せないのが、巨神が発する謳(うた)や誓女が想い出した記憶から少しずつ閲覧できるようになるヒストリーブックと呼ばれる存在だった。フレストニアや巨神、誓女に関するストーリーも閲覧でき、断片的であるがゆえに、ヒストリーブックの隙間を補完するような考察文化も大きく盛り上がった。また、特定のキャラクターの視点から描かれているために良くも悪くも主観的な情報でしかないことなど、ゲームのシナリオとしてはとにかく異質で、同時に惹き込まれるものだった。

そんなヒストリーブックは本作でも続投しており、前述のコラボシナリオもこのヒストリーブックを通して展開していくとのことだ。試遊の範囲で閲覧できたのは、DMM GAMES最初期の人気作で2018年12月10日にサービスが終了した『Lord of Walkure(ロードオブワルキューレ)』とコラボしたヒストリーブック。主役級のキャラクターである「ナヴィ」やプレイヤーの分身である「騎士」の登場が確認できた。詳細は後述のインタビューでも触れるが、コラボシナリオではお互いのタイトルの設定に矛盾を生まないような工夫もなされているとのこと。また、すでにサービスが終了しているタイトルとのコラボならではの苦労もあったようだ。そんな異例続きの本作について、開発陣にさまざまな疑問をぶつけてみた。

「ファンの熱意に応えたい」開発者インタビュー

左からディレクターの三觜辰也氏、プロデューサーの原伸宏氏

──本作の開発経緯について、改めて聞かせて下さい。

三觜辰也氏(以下、三觜氏):
DMM GAMESの10周年企画としておこなった復刻投票キャンペーンで、『巨神と誓女』が1位を取ったことがきっかけになります。当初はグッズ化を目標として話を進めていたんですが、そこで想像以上の応募をいただけたんですね。さらには多くのユーザーさんから熱意ある声もいただいて、せっかくこれだけの反響があったのであれば、グッズ化に留まらず、完全新作という形で別のタイトルとしてゲーム化してもいいんじゃないかという話が持ち上がった、というのが本作の開発の経緯になります。

──開発期間はどれぐらいですか。

三觜氏:
本格的にプロジェクトが始動したのが2022年の夏終わりだったので、だいたい2年半ぐらいの開発期間を経ています。

──本作の開発にあたってこだわった点や、特に見てほしい点はありますか。

三觜氏:
すでにサービスを終了したタイトルがコラボという形で蘇るということが本作の目玉の1つなので、「来月のコラボはどのタイトルだろう」とか、「昔遊んでいたあのタイトルとコラボしないかな」みたいな予想を楽しんでいただきたいと思っています。

また、『巨神と誓女』で好評いただいたヒストリーブックは『ReOath』にも登場します。『巨神と誓女』の後日談やサイドストーリーなどが描かれており、『巨神と誓女』の考察を楽しんでいただいたユーザーさんにも喜んでもらえるようにこだわっているので、『巨神と誓女』のファンだったユーザーさんにはそこも楽しんでいただきたいです。

──開発中に苦労したことや、大変だったエピソードを教えてください。

原伸宏氏(以下、原氏):
ユーザーのみなさんの投票で好評だったのでグッズ化、そこからゲーム化という風に企画が発展していったんですが、当初の企画段階では正直ユーザーさんがどれぐらいの熱意、どういう感情を持っているのかがわからず、さぐりさぐりでやっていた期間が大変でした。実際『巨神と誓女』というタイトルは、期間で言えばそんなに長く運営されていたタイトルではなかったので。実際にユーザーさんからの熱意が伝わってきて企画が固まってからは、『巨神と誓女』の開発陣から話を聞いて原作の軸をブラさないようなシナリオを作ることに苦労しましたね。

──ゲームジャンルをRTSに変更した理由や、RTSに変更したことで可能になった表現などはありますか。

原氏:
サービスを終了したタイトルが蘇ることが本作のコンセプトの1つでもありますので、各タイトルをプレイしていたユーザーさんに「○○はこういうキャラだったよね」「××にはこういうストーリーがあったよね」というような思い出を、できればゲーム内で語り合って欲しかったんです。その点RPGはソロのゲームなので他プレイヤーと関わる機会は少ない、好きだったIPを語り合うということにはあまり適していないということで、白羽の矢が立ったのがRTSでした。RTSならユーザーさん同士がオンラインで協力、もしくは競争するときに関わり合いが生まれるということで、ゲームジャンルの変更に至りました。

ジャンルの変更で可能になった表現に関しては比較的シンプルですね。たとえば5~6年ぐらい前のタイトルともコラボ予定なんですけど、そのぐらいのタイトルだとグラフィックがほんの少しだけ動く1枚絵だとか、もしくはまったく動かないだとか、そういうタイトルも多いんです。RTSになったことで、そうしたキャラクターたちをマップ上でユニット化して動かせたりとか、声がなかったキャラクターに声を付けて戦闘させることが出来たりとか、そういった表現の可能性が広がりました。RPGだとどうしてもホーム画面とかガチャから出てきた画面とかユニットの詳細画面とかだけに留まってしまいがちなんですが、RTSにすることでバトルのシーンに加えて移動とか諸々のところでキャラクターの多面的な部分を表現することが可能になっていると考えています。

──原作である『巨神と誓女』や、姉妹作『ANGELICA ASTER』との関係性について教えて下さい。

三觜氏:
『ReOath』は、『巨神と誓女』から世界観やキャラクターの部分を引き継いでいます。一方『ANGELICA ASTER』は、『巨神と誓女』からゲームコンセプトを継承したタイトルという位置づけになります。

──『巨神と誓女』ファンであれば、『ReOath』と『ANGELICA ASTER』はどちらも遊びたくなるタイトルだと思ます。両タイトルを並行して遊びやすくするような工夫や、特典などは用意されていますか。

三觜氏:
今まさに話を進めているのが、両タイトルをプレイすることによって報酬を配布するという形でのコラボの検討を進めています。どういうものを付与するかなどの詳細はまだ未定なんですが、両タイトルをプレイすることでユーザーさんに何かしらの特典、恩恵を与える施策を考えています。

──両タイトルの差別化はどのように図られているのでしょうか。

原氏:
両タイトルは似ているものではあるんですが、『巨神と誓女』の精神的な続編と言えるのが『ReOath』です。こちらは世界観やキャラクター、ストーリーを引き継いで、各キャラクターの後日談やサイドストーリーなどを展開しますので、『巨神と誓女』をもっとプレイしたかったっていうようなユーザーさんからは好評を得られると思っています。一方の『ANGELICA ASTER』は『巨神と誓女』のゲーム性を引き継いでいるタイトルであって、世界観やキャラクターは引き継いでいないので、差別化はされているかなと。『巨神と誓女』のゲームのコンセプトを引き継いだものを遊びたいユーザーさんには『ANGELICA ASTER』を、『巨神と誓女』に興味があったけどサービスが終わってしまって遊べなかったユーザーさんやキャラクターのその後が気になるユーザーさんには『ReOath』を楽しんでいただけるかなと思います。

──作品の垣根を越えてキャラクターが集まるということで、シナリオや設定に矛盾を発生させないために注意したことなどはありますか。

三觜氏:
『巨神と誓女』のもともとの世界観として、誓女たちはみな自身の世界からフレストニアに流れ着いたという設定があります。その『巨神と誓女』の世界観を踏襲している以上、設定的な矛盾は起こりにくいんです。

注意していることとしては、キャラクターの立ち絵ですね。『ReOath』の立ち絵では、キャラクターと背景が1セットになっています。背景はそのキャラクターがいた元の世界なので、背景とキャラクターの親和性を考えて開発を進めています。コラボキャラに関しても立ち絵の背景をコラボ元の世界の背景で統一していて、キャラクターによっては「これってあのシーンの背景かな」と思ってもらえるようなイラストも用意しているので、そういった部分も楽しんでもらえたらなと考えています。

すでにサービスが終了しているタイトルとコラボするにあたって、メインシナリオや設定を読み込むことも個人的には苦労しました。たとえば4年続いていたタイトルであれば4年分のメインストーリーがあるので、それを読み込んでシナリオに矛盾を発生させないようにするですとか。コラボ元のファンの方をがっかりさせたくなかったので、そういったところを気に掛けるのがすごい大変だったなという印象です。

──コラボシナリオの制作の参考になるような、サービスの終了したタイトルのシナリオなどは社内に残っているものなのですか。

三觜氏:
残っているものと残っていないものがあります。残っているものに関しては資料を読み解くことができるんですけども、残っていないものに関しては社内に残っている当時の開発メンバーに「こういう企画がありまして……」と説明して直接話を聞きに行きました。コラボを続ける以上今後も同じようなことがあるので、結構大変だなと思っているところです(笑)

──ゲームを触って確認することもできないですよね。

三觜氏:
ゲーム自体がデータとして残っていないので、イラストやシナリオをアーカイブデータから引っ張ってくる形で対応せざるを得ないですね。

──サービスが終了しているコラボ元のゲームに関する情報を『ReOath』内で閲覧できるような機能は実装されるのでしょうか。

三觜氏:
今の時点では用意はない状態です。ただ、今後コラボを重ねていく上で、いろんなタイトルの情報やユーザーさんが集まっていくことになると思いますので、どこかの段階でコラボ先のタイトルに関する説明や情報を確認できるギャラリーのような機能を作りたいという話自体は議題として挙がっています。ただ実際に実現できるか、実装するとしていつになるかなどは今後の開発次第という形になっております。

──最後に、ユーザーに向けてメッセージをお願いします。

原氏:
まず、当初お伝えしていた時期よりも開発が遅れてしまったことについてお詫び申し上げます。ただ開発が遅れてしまった分クオリティはかなり上げられたので、実際にプレイしていただいた時に楽しんでいただけると考えています。ぜひリリースに期待してお待ちいただければと思います。

三觜氏:
ゲーム内で当時の思い出をユーザーさん同士で語り合ったり、『ロードオブワルキューレ』などの特定タイトルとのコラボで入ってきたユーザーさん同士で同盟を組んでいただいたり、そういう盛り上がり方をしてくれると個人的には嬉しいなと思います。これからも開発に努めますので、ユーザーさんには次のコラボの予想なども含めて楽しみに期待していただけたらと思います。

──ありがとうございました。

ReOath-巨神と誓女 外典-』はPCブラウザ/SPブラウザ/DMM GAMEストア(apk版)向けに、3月26日リリース予定。基本プレイは無料で、後日App Store/Google Play向けバージョンもリリース予定だ。

Daijiro Akiyama
Daijiro Akiyama

ゲームをすることと、ゲームの話をしたり聞いたりすることが同じぐらい大好きです。

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