『League of Legends』の対戦格闘ゲーム『2XKO』試遊プレイ感想。操作簡単な“間口の広さ”の奥に、かなりの“やり込み度”を秘めたRiot Games新作タッグバトル

 

今年4月27日~29日にかけて開催された大型格闘ゲームイベント「EVO JAPAN 2024」。さまざまなタイトルのトップ選手たちがトーナメントで鎬を削り合うなか、各社の新作ゲームの試遊ブースも多く出展された。なかでもRiot Gamesは『League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)』(以下、LoL)を題材とした新作格闘ゲーム『2XKO』の試遊ブースを設置。世界各国のプレイヤーが試遊に殺到するなか、弊誌も遊ばせていただく機会をいただいたので、以下にその試遊レポートをお届けする。

『2XKO』はRiot Gamesによる、『LoL』を題材とした2vs2の格闘ゲーム。対応プラットフォームはPC/PS5/Xbox Series X|Sで、基本プレイ無料にて2025年にリリース予定。発表当初は『Project L』という名前で知られていたが、開発も終盤となりリリースが見えてきた段階で『2XKO』という新たな名前が発表された。リリースも来年に控え、いま世界でもっとも発売が期待されている格闘ゲームのひとつと言っても過言ではないだろう。

基本操作は簡単、なのに多彩


まずは基本的な格闘ゲームとしての操作やシステムから見ていこう。基本操作のほとんどは従来の2D格闘ゲームと共通するもので、基本となる攻撃ボタンはL(弱)、M(中)、H(強)の3つ。2(下)+Hは対空技、3(斜め前)+Hは打ち上げ技というように、特定のレバー入れ行動はその性能がキャラ間で共通している。通常技同士のキャンセルも存在し、基本的にLからはM、MからはHにキャンセルが可能。簡単にコンボができるようになっている。ほかには個人的に面白かったのは空中での2H入力で「めくり」と呼ばれる技が出ることだ。「めくり」は格闘ゲーム用語で相手を飛び越しながら攻撃できる技、もしくはその行為のことを指すが、ゲーム側で(「めくり」という名称つきで)共通して用意されているパターンというのは初めて見たのでやや新鮮であった。


最近の格闘ゲームではもはや珍しい仕様でもないが、いわゆるコマンド入力は存在せず、スペシャル(必殺技)は方向キー+スペシャルボタンで出るようになっている。珍しいのは『2XKO』にはスペシャルボタンが2種類(S1、S2と呼ばれている)存在することだ。それぞれ方向キーとの組み合わせで違うスペシャルが出るので、これによってどのキャラも基本的には7~8種類、複雑なキャラクターだとゆうに10個を超えるスペシャルが用意されている。スペシャルに弱・中・強版のような区別こそないものの、かなりキャラごとの技の種類が多いゲームといえるだろう。

本作ならではのシステムも満載


『2XKO』最大の特徴はそのタッグバトルシステムだが、それを一手に引き受けるのがタッグボタン(T)。この1ボタンで多彩なタッグアクションが可能となっており、まず単押しのTでは「タッグランチャー」と呼ばれる攻撃が発生する。パートナーが画面外から登場し打ち上げ攻撃をしてくれるというような、主にコンボに使えるシステムだ。ニュートラル状態でのT長押しは「クイックタッグ」で、これはシンプルにその場で操作キャラクターを入れ替えるアクション。前または後+Tはアシストアクションで、パートナーごとに固有の、多彩なアシスト技を披露してくれる。

そして「ハンドシェイクタッグ」は各種アシストで呼び出したパートナーが画面内にいるときにTボタンを押すことで即座にパートナーと操作を交代できるシステムとなっている。このシステムのおかげで自由度が非常に高くなっており、タッグバトル格闘ゲーム特有の操作キャラを途中で入れ替えながらのコンボや、パートナーで相手を挟み込んでの交代でガード方向を揺さぶる連携なども可能となっている。

次は防御関連のシステムについても触れていこう。『2XKO』は防御用のシステムも非常に多い。オーソドックスな投げ抜けや受け身のシステムはもちろんあるが、何よりまず特徴的なのが「起き上がり攻撃」だろう。これはいわばシステムで用意されたリバーサル無敵技だ。想像するに、(おそらく)スペシャルに無敵技がない、もしくは乏しい中で起き攻めに対抗するために用意されたシステムだろう。無敵技の有無というのは、格闘ゲームにおいて反撃や、いざという時の割り込みのしやすさに関わってくる。キャラクターの方向性や強さを位置づける大きなポイントのひとつでもあったので、システム側で用意するというのはこの「無敵技格差」に対する現代的なアプローチのひとつといえるかもしれない。

ほかにもガードに関係する行動も存在している。硬直中に4(後ろ)+ダッシュボタンでは「後退ガード」が発動する。これは相手の攻撃をガードしている硬直中に発動することで、ボタンを押した瞬間に後退し、距離を離すシステムとなっている。またガード硬直中に6(前)+ダッシュボタンを押すと今度は「プッシュブロック」が発動し、相手を大きく後ろに大きく押し返す。こちらは後退ガードと違いゲージを1消費するので注意が必要だ。同じく1ゲージを使う防御行動にL+Mで出る「パリィ」も存在し、おそらくほぼガード硬直なしで相手の行動を防御できる。こちらのパリィの仕様に関しては試遊ではうまく確認できなかったため、具体的な仕様やメリットについては続報を待ってほしい。

最後に「ヒューズ」というシステムについても解説しておきたい。これは試合開始前に選ぶパークのようなもので、4種類が用意されている。「2Xアシスト」は1回のアシスト呼びでパートナーを2回行動させることができるようになり、「ダブルダウン」はアルティメット(超必殺技)を自分のものからパートナーのものへと連携できるようになる。さらに「フリースタイル」はパートナーと交代するハンドシェイクタッグを1回の連携・コンボで2回出来るようになるというかなり上級者向けのヒューズ。一方で「フューリー」は体力が4割以下になると攻撃力があがり、特別なダッシュキャンセルが解禁されるという初心者向けのヒューズだ。

このようにヒューズはかなりプレイスタイルに変化が出るものばかり。自分のプレイスタイルや選択キャラによって、どのヒューズが適しているかはかなり変わってきそうだ。そもそもタッグバトル系の格闘ゲームはキャラクターの組み合わせの選択肢が広くプレイヤーの個性が出やすい。そこにこのヒューズも組み合わさると、かなり攻略の幅が出てきそうに感じられた。

やりづらさのない「複雑さ」


ここまで解説してきた内容からも分かる通り、『2XKO』は操作こそ非常に直感的でとっつきやすいものの、システム行動がかなり多く、特にタッグバトル系格闘ゲームの経験がないプレイヤーはアシスト関連の操作に慣れるまでがなかなか大変そうだと感じた。ではキャラクターたち個別の操作難易度が低いかと言われるとそうでもない。

たとえば、試遊可能であった5キャラクター(ダリウス、エコー、ヤスオ、アーリ、イラオイ)の中で、特に初心者向けとされるダリウスでもスペシャルの数は多く、派生行動なども豊富。アーリはオーブという独自リソースで行動を自由にキャンセルでき、ヤスオはいわゆる「構え」があるタイプの刀キャラ。この二人は特にキャラクター固有のギミックがかなり強烈だ。本作は、システム行動に慣れればある程度どのキャラでも操作できるタイプのゲームでは決してなく、しっかりとそれぞれのキャラクターもやり込む必要がありそうに感じた。

総じて、複雑なシステムやキャラクターギミックを廃しシンプルな読み合い重視のゲームに回帰しつつ傾向がある現代の格闘ゲームに対し、『2XKO』はしっかりと「難しい格闘ゲーム」の要素も入れてきたなと感じられた。ではハードルが高いのかというとそうではなく、前述したように操作感がとてもよく、コンボもシンプルで入力猶予もかなり緩め。入り口は整備されており、「とっつきやすいながらも、やり込みでしっかり差がつく」というゲームデザインが実現できていそうだ。グラフィックのレベルも非常に高く、とにかくシンプルにゲームとしての完成度の高さが短時間のプレイでも感じられる出来となっている。事実、EVO JAPANの試遊ブースのなかでも『2XKO』は特段の賑いを見せており、観戦そっちのけでずっと『2XKO』の対戦台に張り付いているプレイヤーも散見されたくらいだ。


いち『LoL』プレイヤーとしても、やはり原作をしっかり再現したキャラクター性能にワクワクしてしまうところもあり、「あのチャンピオンが実装されたらこんな性能だろうか」「この二人が組んだら面白そうじゃないだろうか」と妄想が広がってしまう。リリースは2025年とのことだが、今年ラスベガスで開催される本家「EVO」にも試遊が設置される予定。EVOでは試遊だけでなく新たなチャンピオンが発表される可能性もあり、とにかく今後の新情報が待ち切れないタイトルだ。