ネクソン新作MMORPG『HIT : The World』はクラスからゲームのルールまで“変化”する。本気の国内展開を狙うMMORPGの体験会レポート

ネクソンは4月17日より、MMORPG『HIT:The World』のサービスを開始予定だ。本稿では本作の特徴、そしてフリープレイとPvP体験を通じて感じたことをお伝えしていく。

ネクソンは4月17日より、MMORPG『HIT : The World』のサービスを開始予定だ。対応プラットフォームはPCおよびモバイルとなっている。

『HIT:The World』は、モバイル端末向けアクションRPGである『HIT ~Heros of Incredible Tales~』の世界観や登場キャラクターを受け継いだ新作MMORPGだ。アクション要素の強かった前作とは異なり、本作はターゲティングとオートアタックを中心とした戦闘システムを採用している。

本作は国外において『HIT2』として先行配信中。今回国内向けに配信される『HIT:The World』は、名前が変化しているだけではなく日本向けに独自の調整が多数盛り込まれているとのことだ。

今回、ネクソン本社にて行われた『HIT : The World』のメディア向け体験会に参加した。本稿では本作の特徴、そしてフリープレイとPvP体験を通じて感じたことをお伝えしていく。


自由な“変化”で戦闘に挑み、ゲームのルールさえ投票で変える

本作の戦闘システムは、ターゲティングした敵に対してオートアタックとスキルを繰り出しながらダメージを与えていくというオーソドックスなもの。真新しさはないものの、実際にプレイしてみると操作性からUIまでかゆいところに手が行き届いたつくりで、クエストの自動化等も完備。自動戦闘に丁寧に最適化されたMMORPGという印象だった。


とはいえ、本作はそんな無難なだけのMMORPGではない。本作には他ではあまり見られない特徴的なシステムがある。それが「プリセット」システムだ。「大剣」「弓」「宝珠」といった、いわゆるタンク、アタッカー、ヒーラー等の役割をもつ6つのクラスからあらかじめプリセットを3つまで作成しておくことができる。

これは単に装備の状況を記憶しておくだけに留まらない。このプリセットは戦闘中リアルタイムに切り替えられるというもの。そのため、アタッカーに特化してダメージを出しまくるのもいいし、体力回復が足りないと思ったら回復ができるように、バランスよく設定しておくのも自由となっている。切り替えにクールタイムがあるため無制限というわけにはいかないものの、戦況にあわせてリアルタイムにプリセットを切り替えられるという“変化”は戦闘に深みをもたらし、キャラクター育成のモチベーションにも繋がるのではないだろうか。


また、“変化”できるのは装備だけではない。ゲーム内のルールをユーザー間の投票で決めてしまえるという「調律者の祭壇」も本作を語るうえでは欠かせない。フィールドの通常モンスター/ボスのドロップ率上昇の選択をはじめ、ボスドロップの取得条件までもが変えられると、まさに本作のキーメッセージである「共に創る、俺たちのMMO」といえるシステムだ。ちなみに調律者の祭壇における投票権の売買も可能。いろいろなことが変えたい放題であるわけだ。


そして『HIT : The World』は日本国内配信にあたり、国内ユーザー向けの独自の調整をキーワードとして掲げている。それは「誰もが参加できるエンドコンテンツ」「団結すれば対抗できるバランス」「ギルドコンテンツの充実」「課金バランス、ゲームプレイの最適化」の4つ。

これは微課金/無課金のユーザーにも、ゲームをより楽しんでもらえることを狙った調整のようだ。具体的な調整としては、エンドコンテンツへの参入障壁の軽減、ボスドロップの入手難易度の緩和、アイテム強化のリスク緩和、パーティを組むメリットの増加、一部有料アイテムをゲーム内で入手可能にするなどの内容だ。開発においては、日本国内のモバイル向けMMORPGにおける問題点をコアユーザーとの座談会を行うことにより洗い出し、調整方針を固めていったとのこと。国内展開への本気度の高さをうかがわせるエピソードだ。


使い方次第で戦況を変化させられるスキルによる、やりごたえのあるPvP体験

一通りフリープレイを楽しんだのち、思い思いのプリセットを作成したうえでPvP体験としてメディア陣によるバトルロイヤル形式の個人戦・団体戦が行われた。


本作の戦闘は自動戦闘に最適化されているものの、スキルの使い方次第で戦況を変化させることが可能だ。たとえば「大剣」クラスのもつ敵を引き寄せるスキルや、「双剣」「弓」クラスのもつ敵を拘束するスキルなどの戦略的なスキルが存在している。敵を引き寄せ気絶スキルで行動不能にし、味方とターゲットを合わせて撃破するといった具合で活用すれば、大きく状況が有利になるだろう。


ちなみに今回の体験会では、筆者は正直なところ基本操作で手一杯だったため、スキルを効果的に扱うことができたとは言いがたかった。とはいえ、プリセットシステムの高いカスタム性もあわせ、本作のPvPの奥深さを十分に感じることができた。コンテンツとしても大規模PvP(攻城戦)をはじめ、PK(プレイヤーキル)可能フィールド等も用意されており、PvPを好むユーザーにもおすすめできるタイトルになりそうだ。なお、PK可能フィールドは、先述した日本国内向け独自調整によってボスが出現する一般フィールドとは切り分けがなされている。そのため急にPvPでキルされてしまうということもない。PvPに馴染みがないというプレイヤーも安心してプレイできるだろう。


なお気になった点としては、乱戦時にターゲティングの難しさを感じることがあった。特にPvPではターゲティングの精度が重要になってくると思われるため、システム側での今後の改善にも期待したい。

「HTWクリエイターズ」による、ゲームをプレイするだけでない楽しみ方

そしてゲーム内容とは別に、クリエイター支援プログラムについても触れておきたい。『HIT : The World』では、ゲーム実況・攻略情報・イラスト・音楽・コスプレ等のコンテンツクリエイターの公式サポートを行っている。公式の募集に応募し、審査を通過すればサポートを受けることが可能だ。


クリエイターはサポーターを募ることができ、サポーターがゲーム内で購入したコンテンツによってクリエイターにポイントが付与されるといったメリットがあるほか、公式からインゲームアイテムのサポートなどを受けられることもあるようだ。ゲームの楽しみ方が多様化する昨今における、クリエイターとサポーターとの橋渡し的な制度といえるだろう。現在1次募集は終了し、4月1日~4月12日に2次募集を予定しているとのことなので、興味のあるプレイヤーは確認してみてはいかがだろうか。


ユーザーフレンドリーかつ自由度の高いシステムが魅力の本作。最大の特徴は運営とユーザーとの距離の近さと言えるかもしれない。今後もユーザーとのコミュニケーションを図りながら、真摯な“変化”を続けていく姿勢のようだ。

『HIT : The World』は、PC/モバイル向けに4月17日よりサービス開始予定だ。

Sou Matsubara
Sou Matsubara

机上で対戦ゲームについてあれこれ考えている時が一番幸せです。
得意なジャンルは2D格闘ゲームです。

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