オープンワールドな「アバター」ゲーム『アバター:フロンティア・オブ・パンドラ』はどんなゲーム?先行体験して味わった、強烈な没入感

Ubisoftは12月7日、『アバター:フロンティア・オブ・パンドラ』を発売予定。本稿では、プレビュー版を通して確認した本作のゲームプレイについて紹介する。

アバター:フロンティア・オブ・パンドラ』は、Ubisoftが12月7日に発売を予定している一人称視点アクションアドベンチャーゲームだ。本作は、ジェームズ・キャメロン氏が監督・脚本などを務める映画「アバター」シリーズを題材としており、ナヴィ族が住まう星パンドラが舞台。映画版とも共存するオリジナルストーリーが用意されているという。今回弊誌では、発売前の本作プレビュー版を先行体験する機会を頂いた。本稿では、プレビュー版を通して確認した本作のゲームプレイについてご紹介したい。


本作の主人公となるのは、幼い頃にRDA(資源開発公社)に拉致された過去をもつナヴィ族の一人だ。かつてRDAの元では、拉致してきたナヴィ族に対して教育と軍事訓練が施されており、主人公もそうした環境での生活を強いられた一人だという。その後、15年の時を経て自由を手にした主人公は、ナヴィ族との合流を果たすものの、人類のもとで育てられたという過去から、種族内でも異質な存在になっていたという。本作でのプレイヤーは、ナヴィの一員として仲間たちとの絆を取り戻しながら、パンドラを脅かし汚染を広めていくRDAに立ち向かっていくこととなる。

今回のプレビューでは、開発中の本作PC版で、用意されたいくつかのクエストを通して、実際のゲームプレイや操作感を体験した。本作の舞台となる西部辺境には、地域ごとに異なる複数の部族が登場する。今回のプレビューでは、そのうち一つの部族にクローズアップしたクエストに挑んだ。プレイ時間はおよそ2時間、操作にはPS5のDualSenseコントローラーを使用した。


1. 広大なオープンワールド、一人称視点でする狩りと探索

プレイを開始して初めに目にしたのは、パンドラの美しい大自然だ。周囲に生い茂る植物は風に揺らめいており、近くを徘徊している動物の姿も確認できた。緻密に描写された動植物で構成されるフィールドは、シームレスなオープンワールドとして広がっており、地域ごとに異なるバイオームを備えているようだ。プレビュー版を通して移動した範囲内でも十分な広さが感じられたものの、先述した通り今回のクエストは一部の部族に焦点をあてたもので、範囲としてはワールド全体のうちほんの一部分とのこと。本作のマップの広大さには期待がもてそうだ。

最初に挑むことになったのは、とある部族の儀式に必要な「ネクタル」と呼ばれる果実を収穫しにいくクエストだ。ここで本作の基本となるキャラクター操作を確認することができた。移動と視点操作は左右のスティックでおこなうオーソドックスな一人称視点アクション。ここに、本作特有の「ナヴィの感覚」と呼ばれるアクションが加わる。

ナヴィの感覚はR1ボタンの長押しで発動し、発動中は画面がサーモグラフのような特殊な視点へと切り替わる。この間、周辺のオブジェクトを透視するかたちで探知可能となり、ここでチェックした対象は「狩りの手引書」に順次登録されていく。狩りの手引書を開けば、植物の分布や動物の生息地および弱点なども確認可能で、対象へピンを指しておけば入手/遭遇可能な地域へのガイドを表示することもできる。本作内での冒険をサポートしてくれる、頼もしいアクションとなりそうだ。

 


目当ての果実を発見したらインタラクト(□)ボタンで採集をおこなう。このとき、果実の生え方に応じて適切な方向へとスティックを傾けながら「もぎ取る」アクションも必要とされた。自然から獲得するアイテムは、こうした採集アクションを上手にこなすことでより高品質な状態で手に入り、品質次第で発揮する効果も変わってくるとのこと。本プレビュー内では動物から肉/素材を得る機会はなかったものの、狩猟で高品質のアイテムを得るには、弱点を狙って的確に仕留めるような手際のいい狩りが求められるのかもしれない。狩猟や採集といった活動は、ナヴィの営みのなかで欠かすことの出来ない要素として、ゲームプレイにもしっかりと盛り込まれているように感じられた。

集めたネクタルを部族のもとに届けたあとは、ナヴィたちの居住地へと移動した。そこでは、装備のカスタマイズが可能なワークベンチや食材を調理出来る窯などの施設が利用可能だった。今回のプレビュー版では、あらかじめ一通りの装備が取り揃えられていたため、手持ちの食材から料理アイテムの作成をおこなった。筆者は先述した採集クエスト中、ネクタル以外の果実もあれこれ採集して大いに道草を食ったものの、存外無駄にはならなかったのかもしれない。料理にはそれぞれレシピが存在し、使用した食材を単体で消費したときよりも高い効果が得られるようだ。なかには一定時間移動速度を上昇させたり、攻撃力を増加させたりするバフを備えた料理も存在した。また、こうした食事は時間経過とともに体力を自動回復していく効果をもつ「エナジー」ゲージの補充にも欠かせないアイテムとなるようだ。


2. パルクールと飛行、没入感がありすぎて落ちる

居住地での腹ごしらえとお弁当作りを済ませたあとは、部族の抱える次なる問題を解決していくことになった。どうやら近辺の上空を漂っているRDAの空中デバイスに悩まされているようだ。しかし、主人公には空中の問題に対処する術が無い。そこで、部族内のナヴィから提案を受け「イクラン」と呼ばれる翼竜の巣へと“相棒探し”に向かった。イクランの巣は険しい山の上に位置していたため、このクエストでは主にキャラクターの移動操作を駆使して進めることとなった。飛び石状に並んだ足場を飛び越えていったり、プレイヤーを跳ね上げて大ジャンプを可能にしてくれる植物、行く手を阻むドアと解除スイッチが対になって生えている不思議な植物など、さまざまなギミックを活用して進んでいった。

 


正直にお伝えすると、筆者はこのクエスト進行中に落下してしまい、数回リトライをした。次に飛び乗る地点を見まわす間に足元がおろそかになったり、ジャンプの踏み切りが早すぎたのが原因だ。自分が落ちたことを悟り下に目を向けた瞬間には、一瞬血の気が引くような思いをした。これは、本作が一人称視点であること、そしてプレイヤーを惹き込む映像美・没入感がもたらした感覚と言えるだろう。このほか、道中には上から垂れ下がるツタを目掛けて、ジャンプで飛び込みながら掴んでよじ登る、と言ったパルクール的動作が求められる場面も登場した。特別に難しい動作を要求される訳ではないものの、華麗な動作でうまく飛び移れた際にはちょっとした達成感が味わえるものだった。


無事頂上付近まで辿り着き、相棒となってくれるイクランと絆を結んだあとは、高所から飛び降りながらイクランを呼ぶという劇的なシーンから飛行アクションが始まった。風を切り高速で進むイクランとの飛行は、非常に爽快感があった。先ほどまで移動していた地上を遥か下に見ながら、地面から生い茂っていた木々の上空を自由に飛び回れるのは、移動手段としても快適そのもの。筆者は意味もなく上昇と滑空を繰り返してその加速度を楽しんだ。そのまま、イクランの力を借りてRADの空中デバイスの破壊へと向かう。周囲には護衛と思しきドローンが飛行していたため、イクランに搭乗しながらの空中戦を繰り広げた。イクラン搭乗中は一時的に三人称視点に移り変わるため、操作キャラクターの姿も映し出される。イクランの背に跨りながら弓を引き絞る姿は、正に「ナヴィのハンター」といった佇まいで、自身の操作するキャラクターながら率直にカッコいいと感じた。


なお、プレイ中にはワールドマップ上の拠点間を瞬時に移動する「ファストトラベル」の機能が存在することも確認できた。しかし、イクランに乗って周囲の自然を見渡す時間を楽しめたので、少なくとも筆者は本作でファストトラベルを使う機会は少なくなりそうだ。また、イクランでの移動中は高度を落とせば、任意の場所へ降り立つことも可能だ。このため、オープンワールドにおける「最寄りの拠点◯◯から北東に移動した先」といった具合にファストトラベル+移動を要する中間地域への移動も、イクランの力を借りればいつでも気軽に出向くことが出来そうだ。


3.FPSとしてもソリッドなつくり、攻略に選択肢あり

プレビュー版のプレイを締め括ったのは、RDAの前哨地を機能停止させる破壊工作クエストだ。拠点の周辺一帯を警備兵が巡回しており、なかにはAMPスーツ(搭乗型パワードスーツ)で武装した兵士の姿も複数。本格的な戦闘の気配が立ち込めているクエストだ。今回のプレイ中に使用できた武器は長弓、重弓、アサルトライフル、グレネードの四種類。主人公はRDAにより軍事訓練を施された過去から、ナヴィ族でありながらアサルトライフル、グレネードといった人間たちの兵器も扱うことができるのだ。このほか、本作ではショットガンやロケットランチャーといった武器も登場するようだ。


実際にアサルトライフルを使用してみたところ、しっかりとリコイルがありFPSの腰だめ射撃に近い感触だった。主人公のバックグラウンドストーリーに起因する要素ではあるものの、日頃ゲーム内で銃火器を扱うFPSプレイヤーにとっては、普段と同じ感触で戦える武器となるだろう。また、弓矢での戦闘よりもダイナミックな戦闘を楽しみたいユーザーにとっても、魅力的な武器と言えそうだ。

今回のプレビュー版プレイにおいて筆者は、折角アバターの世界観を堪能出来る機会だからと考え、ナヴィらしさを体感できそうな弓矢を好んで使用していた。しかし、いざ強敵や危機に直面した際に取り出したアサルトライフル/グレネードの威力には、目を見張るものがあった。弓などの弾薬(矢)は自然から採集したアイテムからクラフト可能な反面、ライフルをはじめとした人類の武器の弾薬は、RDAの拠点内での発見など入手経路が限られている。こうした入手難易度の対比によって人類の武器は強力な位置づけとなっているのかもしれない。

いざ破壊工作に取り掛かると、先述したアクション「ナヴィの感覚」はここでも非常に有用であった。物陰に隠れてあらかじめナヴィの感覚を発動すれば、進行先に待ち構えている敵を赤いシルエットとして捉えることが出来るのだ。また、AMPスーツに搭乗した敵であれば、コックピットに登場している兵士の姿が、弱点として黄色で強調表示される。このシステムをうまく活用すれば、壁越しに照準を定めておいて飛び出すと同時に射抜く、といったスマートな立ち回りも可能となりそうだ。


なお、実際のプレイ時の筆者は、早々に居場所が発覚したことで一斉放火を浴び、半ばパニックと瀕死の状態となりながら破壊工作を完了した。プレイヤーの体力回復には、食事に関連した「エナジー」による自動回復と、「ヒーリングポーチ」と呼ばれる即時回復のシステムが用意されており、クエスト終了時には上限3回のヒーリングポーチを使い切った状態だった。スタッフからうかがった話によれば、こうしたクエストは敵の警備を掻い潜るステルスアクションによる攻略も可能となっているとのこと。ナヴィの感覚で得た情報を活用して慎重に潜入していけば、不要な戦闘は回避して進むことが出来るのだろう。

一つの戦闘の舞台(拠点)に対して、自由なアプローチで攻略を進められる点も本作の魅力となりそうだ。今回のプレイにおける筆者は、行き当たりばったりな戦闘を繰り返し、些か強引なかたちで切り抜けてしまったため、願わくばもう一度挑戦し、今度はよりスタイリッシュに立ち回って攻略してみたいと思える戦闘クエストだった。

以上が、今回のプレビュー版で体験できたクエスト内容だ。プレイを通してもっとも印象にのこったのは、美しい大自然のグラフィックとその中を一人称視点で自由に動き回るという没入感だった。そうした中に存在するRDAの拠点は工業地帯を思わせるまったく異質なもの。その景観を見たときに自ずと「ここには敵がいる」と感じたのは、筆者がナヴィになりきるかのように本作へ没入していたためかもしれない。製品版で待ち受けているであろう壮大な冒険に期待したい。

アバター:フロンティア・オブ・パンドラ』はPC/PlayStation 5/Xbox Series X|S向けに12月7日発売予定だ。

Toru Ishikawa
Toru Ishikawa

雑食ゲーマー、好きな言葉は「Random loot」と「Permadeath」です。

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