『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』の“バトル調整報告会”に行ってきた。第一回ベータからがらりと変わるその変更点とは

『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』第二回ベータテストではバトルシステムに大きな変更が入っており、有名プレイヤーを招いてその新しいシステムを先行して説明・体験してもらう「バトル調整報告会」も実施された。その内容をお届け。

CygamesとARC SYSTEM WORKSによる新作対戦格闘アクションゲーム『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』(以下、GBVSR)。発売を11月末に控える本作だが、その発売に先んじて7月末にはオンラインベータテストが開催された。今回そのベータテストで得られたフィードバックを踏まえて、発売前にもう一度オンラインベータテストが行われることが告知されている。

第二回ベータテストではバトルシステムに大きな変更が入っており、有名プレイヤーを招いてその新しいシステムを先行して説明・体験してもらう「バトル調整報告会」も実施された。招かれたプレイヤーは著名な格闘ゲームプレイヤーであるなかお氏、debagame氏、かずのこ氏、SCORE氏に加えて、原作『グランブルーファンタジー』にてイカロス役を務める声優であり本人もゲーマーとしても知られる市来光弘氏の計5名。本稿ではそんな有名プレイヤー集うバトル調整報告会に同席・取材する機会をいただいたことを活かし、まずは改めて発表された新しいバトルシステムの概要を説明する。そして別記事では、出演者と同作クリエイティブディレクターである福原哲也氏に対して実施した収録後インタビューの内容をお届けする。なお、こちらのバトル調整報告会ならびにプレ大会の内容は動画でも公開されているため、ぜひそちらも確認してほしい。


大きく変化を遂げたバトルシステム

第一回ベータテストでユーザーから多くのフィードバックがあり、課題が浮き彫りになったと福原氏は語る。いわく、特に指摘が多かったポイントは4つ。まず「レイジングストライク」が強すぎるというのと、「アルティメットアビリティ」が使いづらいという2点。そしてレイジングストライクが強くアルティメットアビリティが使いづらいがゆえに、奥義ゲージの使い方に柔軟性がないという点。そして最後に、「投げ」が弱すぎるという点だ。ではこれらのフィードバックを受けて、今回ゲームシステムにどのような変更がされたのかについて見ていこう。


まずは「アルティメットアビリティ」について。これは奥義ゲージを消費することで「アビリティ+」よりもさらに上位の強化アビリティを放つシステムだ。前述の通り、第一回ベータテストでは同じく奥義ゲージを消費する強力な「レイジングストライク」の影に隠れてあまり日の目を見なかったシステムだが、今回は使い勝手に大幅な強化が入った。

奥義ゲージを消費するのは変わらないが、コンボリミットがなくなり追撃が可能になったため、そのままコンボに移行が可能。また通常技からのキャンセル発動ができるようになり、コンボパーツとして使えるようになった。ただしキャンセルで発動した場合は生当て時よりも重めの補正がかかり、ダメージの伸びが若干悪くなる。また、新たな仕様としてアビリティアイコンがクールダウン中でも、ダメージが半減したアルティメットアビリティを発動することが可能となっている。


次は第一回ベータテストでもっとも印象的だった「レイジングストライク」についてだ。相手をガードの上から崩せるという基本的なコンセプトは変わらないが、その性能や発動条件には大きく変更が入っている。まず発動には奥義ゲージの代わりに自分のBPを1消費するようになった。ガード中の相手にヒットした場合は相手のBPを1減らし、通常ヒットしていた場合は膝崩れ・尻もちダウンとなりそのままコンボへ移行することが可能だ。

性能も変化しており、リーチが伸びた代わりに発生が大幅に鈍化。第一回ベータテストでは見てから反応できるものではなかったが、今回の変更で前作のオーバーヘッドアタックよりも少し発生が遅くなり、意識していれば見てからでも避けや無敵技で反応できる速度となっている。なお、レイジングストライクに対する避けが成立した場合は専用の演出も追加された。

また、通常技からキャンセルで出すレイジングストライクは発生が早くなり、ヒット時は相手を大きく浮かせることができるため、通常技からのコンボパーツとしても優秀になっている。本作では奥義ゲージを使うアルティメットアビリティとBPを使うレイジングストライク、どちらでもコンボ火力を伸ばせるということになる。ちなみに発生が早くなるのはヒット時にキャンセルした場合のみとなっており、相手がガード中だった場合は発生が遅い方のレイジングストライクとなるので、崩しとして使う時の性能は変化しない。

レイジングストライクによるBPの消費は攻撃判定が発生した瞬間であるため、発生前に潰された場合はBPの消費はない。同様に、攻められている時に相手のBPを見ることでレイジングストライクに備えるというようなテクニックも不可能となっている。


レイジングストライクから派生する「レイジングチェイン」の性能は第一回ベータテストからほぼ変更なしとなっている。レイジングストライクの発動条件は奥義ゲージからBPへと変更されているが、チェインは変わらず奥義ゲージ25%消費での発動となる。唯一調整されている点はヒット時に以降のゲージ増加量にペナルティがつくことであり、ゲージ回収効率はナーフされている。

第一回ベータテストではレイジングストライクに対抗するシステムとして重要だった「ブレイブカウンター」も、今回の調整により奥義ゲージを消費しなくなり、BPを1消費する行動に変更されている。こちらは入力がやや簡素化しており、ガード硬直中にM+Hの同時押しで発動するようになった。通常ヒットの場合は空中で受け身を取られるが、カウンターヒットした場合は強制ダウンとなる。

もちろん前回同様、レイジングストライクでガードクラッシュされた時も、ブレイブカウンターで仕切り直しが出来るようになっている。ただしこの場合ガードクラッシュが成立した時点でBPを1減らされており、そこからさらにBP1を消費してブレイブカウンターを発動するため、このやり取りが発生した時点でBPは2失っている。また演出面でも変更があり、レイジングストライクによるガードクラッシュに対して発動するブレイブカウンターは、本来のモーションではなくこちらもレイジングストライクのモーションが発生するようになっている。


勝敗のカギを握る「BP」システムの新仕様

レイジングストライクまわりの攻防で大きく増減するようになったBPだが、大きな仕様変更が入っており、残BPに応じて被ダメージに補正が加わるようになっている。この補正はBP2までは通常と同じだが、BP1からは被ダメージが20%増、BP0では被ダメージ50%増となり、非常に強烈なペナルティとなっている。弱体化されども貴重な崩し手段であるレイジングストライクや、切り返し手段であるブレイブカウンターを、どのくらいまでBP減少のリスクを許容して使うべきなのか。BPは毎ラウンド回復することも踏まえ、こういったリソース管理やリスク管理が『GBVSR』の新たな目玉となる駆け引きになりそうだ。

また、このBPの変更に合わせて奥義の仕様もすこし変わっている。まず、奥義は発動時に自分のBPを1回復させる効果が追加されている。ただしこの効果は相手にダメージを与えるスタンダードな奥義のみとなっており、自己強化系の奥義などには適用されない。奥義の近距離ヒット(演出発生)時には相手のBPを減少させる効果が追加され、通常奥義は1、解放奥義は2減少させる。

なおロック時にはすでに相手のBPを減少させているため、以降の奥義ダメージにもBPによる被ダメージ増加は乗る仕様となっている。特殊な奥義については個別に挙動が設定されており、たとえばローアインのKBSNはフィニッシュアタックである「勝負所」がヒットした時にBPが減少するなど、一部固有の仕様が存在する。第一回ベータテストではひたすらレイジングストライクにゲージを吸われるせいでほぼ出番のなかった奥義だが、今回の調整でBPまわりのメリットが大幅に追加。奥義ゲージの使い道として強力な選択肢のひとつとなっただろう。

 


また、奥義ゲージは全体的に見て溜まりやすくなっており、前歩きでもかなり増加するようになっている。前作では1ラウンドに1回、よくて2回奥義を打つためのゲージという印象であったが、今作では使える量も使い道も大きく増えて、戦略性が増していることは間違いないだろう。

ダッシュ攻撃や投げも新しく

BPやゲージまわりではない基本システムにも変更は及んでいる。中でも一番大きなものは、やはり第一回ベータテストのフィードバックでも言及が多かった投げだろう。今回のバージョンでは投げ抜けの猶予は大幅に減少。前作での投げ抜けとほぼ同程度となっている。また、投げ抜けが投げボタンだけではなく攻撃ボタンのいずれかひとつでも成立するようになった。ただし攻撃ボタンで抜けた場合は「遅抜け」となり、投げ抜け後に不利フレームを背負うことになる。

今まで通り投げ入力での投げ抜けが成立した場合は「早抜け」となり、五分状況からとなる。前作では投げ抜け入力のタイミングによって投げ抜け後のフレーム状況が変化していたため、今回の変更でも同様に「早抜け」「遅抜け」というような表現が使われているが、実際は攻撃ボタンで抜けた場合はどのタイミングであっても「遅抜け」であり、投げ入力で抜けた場合は同様に必ず「早抜け」となる。フレーム状況は投げ抜けのタイミングではなく、投げ抜けに使われたボタンによって決まる仕様だ。


追加システムでありながらやや地味な印象があった「ダッシュ攻撃」もその使い心地が大幅に変化している。特にダッシュL(弱)は大幅に強化されており、(キャラによって性能は違えど)基本的には前進距離が伸びた上でガードさせて有利と、攻めの足掛かりとして非常に優秀な性能となっている。また、ダッシュH(強)はヒット時に容易にコンボが繋がるようになってリターンが増しており、カウンターヒット時には特殊演出も追加されている。


最後に、特に海外を中心に大きく話題となったテクニカル入力についても、あらためて仕様の変更が行われている。第一回ベータテストではテクニカル入力で発動するアビリティや奥義の性能は完全にクイック入力のそれと同等であったが、今回からはテクニカル入力によるアビリティ/奥義はダメージが10%増加となる。しかしこれはあくまで生当て時のみとなっており、キャンセルで使った場合はこの10%増加は発生しない。あくまで立ち回りでテクニカル入力を使う時のみのメリットとなっている。
なお、これはクイック入力と比較してテクニカル入力で技を出すこと自体、事実として発生が遅くなるということから、その差を埋めるものとして追加したとのこと。


総じて、今回の調整ではダッシュ攻撃の強化により攻めの起点を作りやすくなっており、ほぼデメリットのないクイック入力やコンボパーツとしても優秀になったアルティメットアビリティ、共通の崩しシステムであるレイジングストライクなど初心者にも直感的に使いやすいシステムが揃っている。しかしそれだけではなく、BPと奥義ゲージのリソース管理による上級者向けの深みもさらに加わっていると言えるだろう。


『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』は11月30日発売予定。対応プラットフォームはPS5/PS4/PC(Steam)で、現在予約も受付中。また、注目の第二回ベータテストは来月開催予定となっているので、興味のある方は忘れずに参加しよう。出演者と同作クリエイティブディレクターである福原哲也氏に対して実施した収録後インタビューはこちらから確認してほしい。

Mizuki Kashiwagi
Mizuki Kashiwagi

PCとPS4をメインで遊んでいます。自分で遊んでも、観戦していても面白いような対戦ゲームが好きで、最近は格闘ゲームとMOBAをよく遊んでいます。

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