サイバーパンク・ライフシム『Nivalis』での「1日」を試遊版で過ごしてきた。雑然できらびやかで、どこか寂しげなスラム街

本稿では、『Nivalis』の試遊版をプレイした感想とゲーム内容の一部をお伝えしていく。『Nivalis』での「1日」をお届け。

パブリッシャー505 Games Japanは9月20日、メディア向け新作試遊イベント「FUTURE PLAY 2023」を開催した。弊誌は同イベントに招待いただき、国内初公開となる『Nivalis』の試遊版をプレイしてきた。今回お披露目となった『Nivalis』は、サイバーパンクタクシーアドベンチャー『Cloudpunk』の開発を手がけたデベロッパーION LANDSの新作タイトルである。ゲームジャンルとしては、サイバーパンク・ライフシミュレーター。プレイヤーはサイバーパンクな未来都市「Nivalis」の住人となり、飲食店を経営しながら生活を営んでいく。


『Nivalis』は、前作『Cloudpunk』とその世界観や設定を共有している。アドベンチャーゲームであった前作において、Nivalisという都市はプレイヤーがその合間を走り回る舞台であった。一方本作は、その都市の内部で暮らし、住人たちの生活などが垣間見える、よりクローズアップされたサイバーパンク世界が体験できる作品となっているようだ。本稿では、そんな『Nivalis』の試遊版をプレイした感想とゲーム内容の一部をお伝えしていく。

周囲一帯ボクセルアートのサイバーパンク・シティ


試遊版のプレイは、自宅となるアパートの一室から始まった。「アヴァ」と呼ばれるオートマタの案内によれば、とある人物がラーメン屋を引退するとのこと。タクシーに乗ってその店舗へと向かうよう指示を受ける。また、プレイヤーが住む街には現在連続殺人犯が潜伏しており、ある種のロックダウン状態にあるという。ひとまずはタクシー乗り場を目指して屋外へ向かう。

外に出て最初に目にした光景は非常に印象的だった。ギラギラと輝くネオンサインの群れや、薄汚れた路地裏で乱雑に散らばったゴミなど、あらゆるものがサイバーパンクの世界観を演出していた。周辺に高密度で立ち並ぶ建造物も、一瞬ボクセルで表現されていることを忘れてしまうほど緻密に描かれていた。依頼された店舗訪問を忘れて、街の隅々まで見て回りたい衝動に駆られるほどだった。

 


指示されたタクシー乗り場に到着して、空を飛ぶタクシー「HOVA」に乗車すると、区画間の移動としてムービーシーンに切り替わった。空を飛んでいくHOVAの背後には、Nivalisの景観が写し出される。空中には超高層ビルの合間を縫うように車が飛び交い、巨大なホログラム広告が浮かんでいたりと、想像力をかき立てられる光景だった。

プレイヤーはラーメン屋の駆け出し店主


タクシー移動を経てラーメン屋に到着し、店主の話を聞いてみると今日かぎりで仕事を引退するとのこと。プレイヤーは、店舗をそのまま譲ってもらえることに。この店舗で生計を立てていくことが、Nivalis生活の柱となりそうだ。

手始めに、オートマタの案内に従って、店先へテーブルと椅子を配置する。続けて、店主交代後も勤続してくれるという従業員には、店で提供するメニューを指定して店番を頼む。メニューのラインナップは、知っているレシピ一覧から選択する。試遊版で確認できたメニューは「フィッシュバーガー」、「ホタテの握り」、「牛肉ラーメン」の三種。メニューによって、必要な食材は異なる。提供メニューに応じた食材の調達も、店長の仕事の一つとなるようだ。

 


従業員に促されるかたちで、次はボートに乗ることが出来る区画へと移動。到着した区画は海に面しており、どこか下町感のある街並みが広がっていた。船着き場にいた人物に話しかけると、係留されたボートを無料で貸し出してもらえることに。沿岸まで出てから適当な場所で船を止め、ボートのデッキでインベントリ内の釣竿を選択すると、簡単な海釣りをすることが出来た。ここで釣り上げた魚は、店舗で提供する料理の食材として持ち帰ることができるようだ。


一方、魚以外の食材は、グリーンハウスを利用して調達することとなる。無料だったボートに対し、グリーンハウスの利用時は、レンタル料金を請求される模様。レンタルせずに、丸ごと買い取る選択肢も表示されていたが、そちらには莫大な金額が提示されていた。レンタルしたグリーンハウスでは、栽培プラントに種を植え、成長を待ってから収穫するものと思われる。ちなみに、このグリーンハウスでは怪しげな機器で「肉」の製造も可能だった。製造工程で一体どのような技術が用いられているのか、試遊プレイ中にその実態を確かめることはできなかった。

「Nivalis」に暮らす人々との触れ合い

試遊プレイでは店舗経営シミュレーション要素のほか、街で生活する人々との「会話」を楽しむことができた。これは、フィールド内にいるNPCと接触することで発生するイベントだ。会話の内容は、ゲームの案内や誘導といったものではなく、その人物の生い立ち、性格や思想が見え隠れするような「世間話」がメインとなっていた。

会話場面においては、プレイヤーには聞いた話に対する受け答えの選択肢が提示される。そこでの選択次第で、会話した人物との関係性が徐々に変化していくようだ。関係性は、人物ごとにパラメータとして明示され、ロマンスかビジネスか、敵か友達か、といった評価基準で図式化されていた。特定NPCとの接触を繰り返すことで、特別なイベントが発生することもあるのかもしれない。

 


こうした会話は、すべてのNPCと可能なわけではなかったが、接触可能なNPCはフィールド上のいたる所に存在した。話を進めていると、次第にそのNPCがどういった気質の人物か、あるいはどういった過去をもってNivalisで暮らしているかなどが、それぞれから奥行の感じられる内容が語られた。こうした場面の日本語ローカライズは完成度が高く、プレイ中特に違和感を感じることなく、NPCとの会話に没入していくことできた。ちなみに、初回プレイ時の筆者は道中で目についた人々へ手当たり次第に話しかけていった結果、前述した店舗引き継ぎシーンへ到着する頃には、試遊版1回のプレイ制限時間(ゲーム内時間でおよそ半日程度と思われる)が経過してしまった。

実際のゲームプレイにおいては、こうして街行く人々とのコミュニケーションにばかりかまけていると、店舗の経営が成り立たなくなってしまうのだろう。従業員への指示出しや食材の調達など、店長としての仕事をこなしながら、時間を見つけて街への散策、人々と交流を深めていくこととなりそうだ。


以上が、試遊版を通して確認できた本作のゲームプレイ内容だ。今回プレイできたのはゲーム内時間において、Nivalis生活初日の半分終えたところまでかと思われる。その後店舗の売れ行きはどうなっていくのか、バーで出会った物憂げな人物はどうしているか、グリーンハウスに植えてきた野菜たちの収穫はいつになるのかなど、続きを確かめたい要素が次々と思い起こされる試遊体験となった。

Nivalis』はPC(Steam/Epic Games ストア)向けに、2024年に配信開始予定。現在開発中だ。

Toru Ishikawa
Toru Ishikawa

雑食ゲーマー、好きな言葉は「Random loot」と「Permadeath」です。

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