『Fate/Grand Order』フェスが見せた本気の「夏祭り」。ド派手な展示の裏に満ちあふれた気配り

 

Fate/Grand Order』(以下、FGO)のリアルイベント「Fate/Grand Order Fes. 2023 夏祭り ~8th Anniversary~」が、7月29日と7月30日に幕張メッセ国際展示場の9番・10番・11番ホールで開催された。『FGO』8周年を記念したイベントとなる。本稿では会場の写真を交えながら、その模様をレポートしていく。

巨大なウェルカムロードや“英霊ねぶた”に圧倒される

今回のイベントのコンセプトは“FGO×Fes×夏祭り”。世界の祭事をイメージしたアトラクションが展開されたほか、44騎の描き下ろしサーヴァントのスタンディも展示されていた。また来場者を迎える全長34mのウェルカムロードを越えると、今回の目玉とも言える全長6mの“英霊ねぶた”がお出迎え。さらに大型モニターが設置されたシアターでは『FGO』第2部第7章の物語を振り返る「FGO THE EXPERIENCE ~ナウイ・ミクトラン~」が放映されていた。どれもインパクトがあり、『FGO』というコンテンツの盛り上がりを改めて気付かされることとなった。

国際展示場の9番から11番まで3つのホールを使用した大掛かりなイベントということで、それだけでもファンの気分は盛り上がるだろう。さらにじっくりと現地の会場を回遊して気付いたのは、こまかいところまで「ユーザーを楽しませたい」という、メーカーやクリエイター、役者たちの魂が込められていることだ。たとえば、“BAR 蜘蛛の巣”は、Live2Dとバイノーラルのフルボイス映像が楽しめるアトラクション。各サーヴァントの髪や服装の揺れ、多彩な表情が表現されており、リアルさや臨場感を感じる出来だ。ほかにも、サーヴァントのスタンディが設置されている場所ではそのサーヴァントの撮り下ろしボイスが流れることが多く、彼らと一緒にいる雰囲気が楽しめるようになっていた。

https://www.youtube.com/watch?v=blZSjlNdSGQ

「執事眼鏡eyemirror」のブースでは、これまで製作されてきた「Fate」関連の眼鏡に加えて新作モデルの眼鏡が展示されていた。さらに次回以降の眼鏡製作アンケートも実施されていたほか、漫画家磨伸映一郎氏の音頭により、『FGO』にゆかりのあるイラストレーター陣が各キャラクターの眼鏡姿のイラストを色紙に描くというサプライズも。次々に増えていく豪華なイラストにワクワクさせられた。こういったライブ感もリアルイベントならではの楽しみだろう。

本イベントでは、来場した瞬間は巨大な“英霊ねぶた”や「FGO THE EXPERIENCE ~ナウイ・ミクトラン~」に目を奪われた。一方で注視しなければ気づかないような細部にもこだわられているところが、『FGO』が長くユーザーから愛されている理由とそのまま繋がっているのだと感じられた。ゲームもリアルイベントも根幹となる制作陣の想いは変わらないのだろう。なお、会場では『FGO』第2部開発ディレクターを務めるカノウヨシキ氏やマーケティングディレクターのバスター石倉氏の姿も見られた。両名がユーザーと交流する姿も見受けられ、ここからもユーザーを大事にする姿勢が伝わってきた。ふたりに関しては前回のイベントレポートでも触れられていたが、今年も同じような姿を見ることができ微笑ましかったし、ファンも安心できただろう(関連記事)。




ファンはもちろん、家族連れの同行者なども楽しめる仕掛け

今回のフェスは「夏祭り」がテーマになっており、イメージが統一されていたのが印象深い。“英霊ねぶた”の近くには縁日エリアが設けられており、お面やラムネ、バルーンが販売されていたため、日本の縁日に来たようなノスタルジーな気分を味わえた。また実際に販売はされていないものの、焼きそばの屋台もあり、“屋台といえば焼きそば”というこだわりも感じられた。


そして会場には実際に遊ぶことができるアトラクションも充実。「わくわくカラフルエリセランド」ではスーパーボールすくいや画面に向かってボールを投げるミニゲームが設置されており、親子連れでも楽しめるようになっていた。長年展開されてきた人気コンテンツだけに、それほど『FGO』の内容に詳しくない家族やパートナーと一緒にイベントに遊びに来るユーザーもいるだろう。そのためか幅広い客層が楽しめるイベントとして展開されていた点は印象的であった。このイベントをきっかけに『FGO』に興味をもち、新たにゲームをはじめるマスター(=プレイヤー)もいるかもしれない。

会場にはゲームのダメージ数を競う「チャレンジクエスト~女王の試練~」やサーヴァントと写真が撮れるフォトスタジオなども用意されており、『FGO』ファンであれば特に楽しめる濃いコンテンツも満載。どれも人気ゆえに待機列が出来ていたが、会場は先述の描き下ろしサーヴァントのスタンディのほか、高さ2.6mのU-オルガマリーなどのフォトスポットも多数用意。見て回るだけでも楽しめるように工夫されていた。コスプレイヤーや着ぐるみによるステージイベントや回遊も頻繁に実施され、同志のファンたちの集うこの空間に留まり続けていたいと思わせてくれる魅力をもっていた。なお会場のステージイベントでは、今年の水着サーヴァントや8周年アニメPV「Memorial Movie 2023」の完成版が公開されるなど、多くの発表で盛り上がっていた。

「FGO Fes. 2023」はこれまでの展開を振り返りつつ、『FGO』の今後にも期待が高まるイベントだった。会場だから気づける細やかな気配りの数々、幅広い客層が楽しめる「夏祭り」コンセプトの展示など、今年もリアルイベントだからこそ味わえる魅力を備えていた。これからもファンとしてゲームとイベント双方の展開を追っていきたい。