『Ib』の「ゲルテナ展」に行ってきた。『Ib』の世界にどっぷり浸かれる、ファンのための展覧会型エンターテインメント(大阪と名古屋でも実施予定)

Nintendo Switch版『Ib』の発売を記念し、2023年3月2日~3月12日にかけて、「渋谷PARCO B1F GALLERY X BY PARCO」にて、展覧会「ゲルテナ展」が開催された。その内容をお伝えする。

Nintendo Switch版『Ib』の発売を記念し、2023年3月2日~3月12日にかけて、「渋谷PARCO B1F GALLERY X BY PARCO」にて、展覧会「ゲルテナ展」が開催された。

『Ib』は、架空の展覧会「ゲルテナ展」を舞台にしたホラーアドベンチャーゲーム。2012年にフリーゲームとして配信され、巧妙な物語と謎解き、そして魅力的なキャラクターにより、多くのファンを獲得した作品だ。配信から10年以上経ったいまでも多くのゲーマーの支持を集める、フリーゲーム史における人気作である。なお、リメイク版は弊社アクティブゲーミングメディアのパブリッシングブランドPLAYISMよりリリースされている。


本展覧会では、『Ib』作者であるkouri氏監修のもと、ゲーム中に登場する「ワイズ・ゲルテナ」の絵画が、39点も再現・展示されている。ゲームの主人公であるイヴの追体験ができるとあって、ファンにはたまらないイベントだろう。

あまりの人気に開催前にチケットが完売してしまうほどだったが、ファンの熱い希望を受け、愛知の名古屋および大阪の心斎橋にて、下記の日程で巡回展を行うことが決定した。そのほか詳細については公式サイトを確認されたい。

・「ゲルテナ展」名古屋巡回(公式サイト
開催日程:2023年4月22日~5月7日
観覧チケット事前抽選販売期間:2023年3月29日18:00~4月9日23:59

・「ゲルテナ展」心斎橋巡回(公式サイト
開催日程:2023年5月12日~5月29日
観覧チケット事前抽選販売期間:2023年4月12日15:00~4月30日23:59


今回、「ゲルテナ展」を観覧できたため、いちプレイヤーとして、私が面白いと感じたところを紹介したい。本記事を通じて、「ゲルテナ展」の「あやしくも美しい」絵画作品たちの素晴らしさを、少しでもお伝えできれば幸いである。

ゲーム内から飛び出してきたかのような絵画たち

展示されている「ワイズ・ゲルテナ」の作品たちは、かわいらしいもの、不気味なもの、シュールなものなどざまざまで、雰囲気そのままに再現されている。ゲーム内のいたるところから選ばれているため、「これは最初のほうにみた」「謎解きで使ったやつだ」「これは襲ってきたやつだな……」など、思い出しながらだとより楽しむことができるだろう。記憶にないものは、あらためてゲームをプレイする際に探してみるのも面白そうだ。


そして、本展覧会を語るうえで外せないのが、「動く絵画」の存在だ。『Ib』をプレイ中、突然絵画が動き、驚かされた経験はないだろうか。なんと、あの驚きをリアルで体験することができるのだ。

とはいっても、常に動いているわけではなく、むしろほとんど動かない。実はこの「ほとんど動かない」というのがポイントで、筆者もはじめは気づかずに観覧していたのだが、ふと「いま、動いたんじゃない?」といった言葉が、噂話のようにどこからともなく聞こえてくる。やがて自然と気になった人々が集い、動く瞬間をじっと待つという不思議な状況になった。謎の一体感と、動いた瞬間のちょっとした感動は、深く記憶に残っている。他の展覧会では味わえないような、なんとも粋な仕掛けである。


プレイヤーなら思わずニヤリとしてしまうような演出の数々

筆者が「ゲルテナ展」を観覧するにあたって、ひそかに楽しみにしていたのが「深海の世」という作品だ。不気味な深海魚を描いた巨大な絵画で、大きさゆえかゲーム内では床に配置され、禍々しい存在感を放っていた。「ゲルテナ展」の顔とも言える作品だけに、印象に残っている方は多いのではないだろうか。同作品がどのようにして再現されているのか気になっていたのだが、なんとゲーム内さながらに会場の真ん中にでかでかと置かれており、ポールとロープで囲われているところまで完全に再現。

さらに不思議なことに、まるで異世界への入り口であるかのようにゆらゆらと揺れて見えるではないか。近づいてよく見てみると水面にプロジェクションマッピングされているようで、よくこのような演出を思いついたものだと感心してしまった。


再現されているのは絵画だけではない。会場に入るとすぐに目に入る「ようこそ、ゲルテナの世界へ」から始まる案内文や、ゲーム中ライフ回復に用いるバラの花、そしてセーブポイントである羽ペンとノート。どれもプレイヤーにとっては見覚えがあるだろう。いたるところにゲーム内の演出が巧みに取り入れられており、『Ib』の世界観を見事に再現しているのだ。そのほか、場内BGMもゲーム内のものが使用されているなど、愛を感じずにはいられないこだわりぶりで、来場者は『Ib』の世界にどっぷり浸かることができるようになっている。


思わず欲しくなる、展覧会オリジナルグッズ

もうひとつ、やはり気になるのはグッズではないだろうか。「ゲルテナ展」の開催を記念し、2023年3月2日より、展覧会オリジナルグッズの販売が開始されている。「ゲルテナ展」会場にもグッズコーナーが存在したが、思わず欲しくなってしまうようなものばかりだった。オンラインショップでの購入も可能なので、会場に出向けない方も安心していただきたい。

ラインナップとしては、「ゲルテナ展」限定特典である「ゲルテナ展オリジナル作品一覧ポスター」が付属した、Nintendo Switch版『Ib』をはじめ、ほかでは手に入らないものばかり。たとえば、ゲーム中の絵をモデルにした、角度によって絵柄が変化する「トレーディングレンチキュラーカード」は、Ibの動く絵と相性抜群のグッズ。特に青い髪の女性の顔は必見だ。「トレーディングアクリルスタンド」は、イヴVerとギャリーVerが用意されたアクリルジオラマに展示することができる。コンプリートはもちろん、自分のオリジナル展覧会を作ってみるのも面白いだろう。

ほかにも、「深海の世」の描かれたスケッチブック、絵画をモチーフにしたポストカード、ゲーム画面をモチーフにした普段遣いもできそうなトートバッグなど、『Ib』ファンには嬉しいグッズが目白押しだ。ぜひこちらもチェックしてみてはいかがだろうか。

さらに、展示作品の抽選販売が行われることが決定している。一点ものであるため残念ながら抽選方式にはなってしまうが、いずれも魅力的な作品ばかりだ。6月以降に実施される予定となっているので、興味のある方は続報をお待ちいただきたい。


『Ib』は、PC(Steam)/Nintendo Switch向けに発売中だ。



※ The English version of this article is available here

Sou Matsubara
Sou Matsubara

机上で対戦ゲームについてあれこれ考えている時が一番幸せです。
得意なジャンルは2D格闘ゲームです。

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