エヌシージャパンは9月21日、同社が運営するMMORPG『ブレイドアンドソウル』にて大型アップデートを配信開始する。今回のアップデートで追加されるのは、琴のような楽器を武器に戦う新職業「楽士」。そして封魔録が採用された7番目の古代ダンジョン「混沌の黒神木」だ。本記事ではサービスチームから直接伺った話と、テスト段階の実機に触れてみた感想をもとに、アップデートの詳細について触れていく。
楽士はゲーム内で15番目となる新たな職業。弦を武器にして音色を奏でることで、仙界の力を具現化して戦う優美な職業だ。ジン族・リン族・クン族の女性だけが選択可能で、女性しか選択できない職業は本作初となる。楽器の弦を奏でて攻撃する以外にも、音色を奏でることで味方を支援できるのが特徴だ。
楽士は「戦慄」と「旋律」という、同じ読みの異なる性質をもった系列を切り替えることが可能。従来の職業における系列は、たとえば「性能」や「使い勝手が良い方」で選択をしており、系列による大きな役割の変化は無かった。しかし楽士は系列を切り替えることで、職業そのものの役割が大きく変わる。これも今までの職業にはない、本作でも初めての試みとなっている。
複数のバフを駆使し、高い火力を発揮できる「戦慄」
では具体的な系列の内容について解説していきたい。まず第1系列である戦慄は、楽士自身の攻撃に特化した系列だ。楽士の得物は楽器でありながら、その攻撃力は既存の職業と比較しても、非常に高いポテンシャルをもっている。ソロプレイにおいて活躍する系列といえるだろう。戦慄において軸となるのは、仙女降臨・高揚・進軍歌という3種類の火力バフだ。
仙女降臨はもっとも基本となる武功で、発動するとプレイヤーが羽衣をまとい、一定時間自身の火力を強化するバフが発生する。また、仙女降臨は発動後すぐにはクールタイムが発生せず、同様の効果をもつ仙力解放という武功に変化。連続して2回まで使用できる仕様となっている。高揚は時間経過とともに、徐々に効果が増加していくタイプの火力バフだ。進軍歌は選択した特性に応じて効果が変化し、さらに自身を強化できる火力バフと、攻撃を一定量防げる保護膜(バリア)の効果を選ぶことができる。戦慄ではこれらの火力バフを併用することで、攻撃の威力を高めることができるようになっている。
攻撃の軸となるのは、音を飛ばして対象を攻撃する切弦という武功だ。仙女降臨を使うことで、内力でつくった弦をストックできる。切弦はこの内力弦を消費して放つ攻撃となっている。また、仙女降臨を使うと切弦が幻想へと変化し、さらに強力な攻撃になる。2回使える仙女降臨で弦を補充しつつ、幻想を多く放つのが基本的な手順となるだろう。ほかには共振乱舞という一定範囲を攻撃できる武功もあり、こちらも高い威力をもっている。
もうひとつ、特徴的なのは弦弓勢という武功だ。弦弓勢を使用すると、一定時間その場に楽器を地面に設置する。その間は移動不可状態となるが、代わりに強力な攻撃を放つことができる。使いどころを見極める必要があるものの、仙女降臨のクールタイムを待っている間などに使うことで、高い火力を維持できるようになっている。複数の自己バフで自身の火力を引き上げながら、強力な攻撃を次々と放っていくのが戦慄の戦い方になる。
さまざま音色で、パーティーを支える「旋律」
自身を強化して戦うのが戦慄ならば、パーティーを強化して戦うのが第2系列の旋律だ。こちらは必要最低限の攻撃手段こそ持ち合わせているものの、戦慄で使用できた自己バフは存在せず、楽士自身の火力は大きく落ちる。代わりに演奏によって音色を奏でることで、強力なパーティー支援効果を発揮できるのが特徴だ。
旋律では仙女降臨の代わりに演奏という武功が存在。演奏を発動すると演奏モードへと移行し、一部の武功が切り替わる。演奏モード中は移動速度が低下してしまうだけでなく、演奏中は完全に動きを止めなければならない。その弱点を補うために使えるのが速奏という武功で、通常ならば5秒かかる演奏時間を2.5秒まで短縮することが可能だ。そうして演奏することで発動できるのが、旋律最大の見どころである饗宴だ。
饗宴を発動すると、演奏した楽士を中心にして特殊領域が生成される。この領域内にいるパーティーメンバーには、非常に強力な支援効果が発生するのだ。基本効果として攻撃力、クリティカルダメージ、功力が増加。この時点で強力な効果をもつ饗宴だが、さらなる追加効果を付与することが可能。演奏時に成長の前奏・豊穣の前奏・極寒の前奏のいずれかを発動させることで、それぞれに応じた追加効果を上乗せすることができる。
成長の前奏を発動させることで変化した成長の饗宴では、パーティーの体力を回復させる複数の効果が追加。豊穣の前奏を発動させることで変化した豊穣の饗宴では、武功のクールタイムを短縮させる効果が追加。そして極寒の前奏を発動させることで変化した極寒の饗宴では、貫通ステータスを上昇させる効果が追加される。饗宴のクールタイムが30秒なのに対して、前奏各種はクールタイムが60秒ある。そのため、特定の前奏を連続して使用することはできない。状況に応じて、複数の前奏を使い分けて饗宴を発動させる形になる。
さらに饗宴は特性を変更することもできる。基本となる饗宴:花園では、発動するバフの効果量は固定値となっている。これが饗宴:巨木に切り替えることで、演奏した楽士自身の攻撃力に比例して、バフの効果量が上昇するようになる。そして饗宴:湖では、効果を受けるパーティーメンバーの攻撃力に比例して、バフの効果量が上昇するようになるのだ。饗宴:巨木は、自身よりもレベルの低いプレイヤーと組む場合に、無駄なく恩恵を受けられる。饗宴:湖ならば、自身よりもレベルの高いプレイヤーと組んだ場合でも、パーティーに貢献できるようになっている。
また、饗宴の特性に応じて発生する特殊領域の見た目が変化するのも、楽士の見逃せないポイントのひとつだ。饗宴:花園の場合、周囲に綺麗な花畑が生成される。一方、饗宴:巨木の場合は巨大な樹木が生成され、まるで木の根元に腰掛けているかのような光景に。そして饗宴:湖の場合は周囲に水面が生まれ、水の中には魚が泳ぐ姿も確認できる。いずれも非常に派手でおしゃれなエフェクトとなっており、映える景色を撮影する際にも一役買ってくれること間違いなしだ。
もちろん旋律には専用の攻撃手段も存在している。音響という基本の攻撃をおこなうことで、専用ゲージに音響がストックされていく。さらに音響を一定値ためることで、特定の武功を発動するために必要な和音がストックされる。和音を3つ消費することで増幅という攻撃を発動できるようになる。調律を使用することで、音響の攻撃速度を加速させることも可能。ほかにも戦慄の共振乱舞に近い範囲攻撃も存在している。また、旋律でも高揚を使えるが、こちらは効果量が控えめな代わりに、対象がパーティー全体へと変化している。状況に応じた饗宴でパーティーを強化しつつ、演奏の合間に音響を中心に攻撃していくのが旋律の戦い方になる。
初心者でも触りやすく、遊び心もある
楽士についてもう一点、簡易モードとの相性の良さにも触れておきたい。本作には複雑なボタン操作をせずとも、戦闘をおこなえる簡易モードが存在する。簡易モードはある程度のアクションを自動でおこなってくれる反面、既存の職業によってはポテンシャルを最大限発揮することは難しい。しかし楽士は基本となる動作を効率的におこなえるよう設計されており、簡易モードにおいてもそのスペックを十分引き出すことができるとのこと。筆者が実際に簡易モードで使ってみた感想としては、もっとも高い頻度で押すアクションが自動化されているおかげで、操作に慣れなくとも安定して戦うことができた。
さらに戦闘とは直接関係ないが、楽士は楽器を実際に奏でることができる楽器演奏モードがある。どちらの系列でも切り替えることが可能で、基本となるドレミファソラシドがスキルのボタンに割り振られている。左クリックと右クリックでそれぞれオクターブを1段階上げ下げすることも可能で、ゲーム内で楽器演奏できるようになっているのだ。これも本作では初めての試みであり、これまでにない遊び方を実現している。アップデートイベントの一環として、楽士の演奏機能を用いた演奏コンテストも本日より開催される。
以上が楽士の概要となる。火力役としてパーティーの中核を担うことはもちろん、支援に特化してパーティーを支える側に立つこともできる。バフを駆使することで、装備が揃う前からパーティーに貢献できるのも、既存の職にはない魅力だろう。さらには初心者でも安心して触れる手軽さもある。楽士という職業は初心者から上級者まで、あらゆるニーズに応えられるポテンシャルを秘めた職となっているのだ。
プレイヤーを待ち受ける、新たなダンジョン
混沌の黒神木は、新たに追加される古代ダンジョンだ。今回のダンジョンでは、魔皇復活を目論む組織、黒龍教が現世と魔界をつなぐ扉を開くため、千年日食の儀式をおこなっている場所が舞台となる。儀式を妨害して魔皇の復活を阻止するため、プレイヤーは最深部へと進んでいくことになる。
今回のダンジョンは、マップそのものは非常にシンプルなつくりになっている。特徴的なのは、途中でルートが分岐するという点だ。儀式の中心部に到達すると、そこから先は進行ルートがランダムで出現。中には中ボスへ直通できるルートもあれば、回り道して雑魚と戦わなければならないルートもある。運が良ければ大幅に戦闘の手間を省けるようになっている。
最深部には儀式を取りしきる黒龍教「千面術師アソラック」が待ち受けている。アソラックは黄色・赤・青の3種類の仮面を有しており、戦闘中に仮面が切り替わると、それに応じて攻撃パターンも変化する。仮面はランダムに切り替わっていくため、それぞれの特徴をしっかりと把握して戦う必要がありそうだ。
混沌の黒神木では天狼シリーズと天流シリーズに続く、新たな天木シリーズと呼ばれるアクセサリーが報酬として登場。5段階目から「天木指輪」と「天木耳飾り」が獲得できるようになる。従来よりも挑戦しやすい難易度に調整されており、周回しやすくなっている。さらにこれまでの古代ダンジョンでは、14職の中からランダムでアクセサリーがドロップしていた。しかし今回の天木シリーズでは、必ず自身の職業のアクセサリーが獲得できるようになっている。プレイヤーにとっては非常に嬉しい仕様変更だ。
さまざまな可能性を秘めた新職業の登場は、本作の新たな魅力となるはずだ。もちろん、その魅力を体験できるのは既存のプレイヤーに限った話ではない。これから本作に触るプレイヤーであれば、より素晴らしい体験になることだろう。新職業に少しでも興味をもった方は、ぜひこの機会に本作に触れてみるのはいかがだろうか。
『ブレイドアンドソウル』はPC向けに基本プレイ無料で配信中。新職業「楽士」と、新規古代ダンジョン「混沌の黒神木」が追加される大型アップデートは、9月21日より配信される