新作オープンワールド『セインツロウ』は、思った以上にストーリーと気配りが効いていた。リブート版先行プレイ感想

『セインツロウ』『セインツロウ』。本作のメディア向け先行体験会が先日開催され、発売に先んじてゲームの序盤部分を実際にプレイする機会をいただくことができた。新生した『セインツロウ』の魅力を紹介していく。

来月8月23日に発売を控える、新作クライムアクションゲーム『セインツロウ』。本作のメディア向け先行体験会が先日開催され、発売に先んじてゲームの序盤部分を実際にプレイする機会をいただくことができた。以下に筆者の先行プレイのレポートを元に、新生した『セインツロウ』の魅力を紹介していきたいと思う。


まずはほとんどのプレイヤーがゲームで最初に触れる部分であり、ゲームにとっての「看板」と言える部分から観ていきたい。すなわち、オプション画面である。あらゆるゲームはまずオプション画面を弄り倒すところから始まると言っても過言ではない。

『セインツロウ』のオプションはおおむね必要な要素はカバーされておりオーソドックスなオプション画面と言えるが、個人的に注目した部分がいくつかある。1つ目は難易度設定である。


『セインツロウ』には5つの難易度が用意されている。だがこれはあくまでプリセットでしかなく、ユーザーが要素ごとに細かく調整して「カスタム難易度」でプレイすることが可能となっている。グラフィック設定がこの仕様になっているゲームは多いので、そちらをイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれない。筆者はゲームの難易度設定は苦行にならない程度に上げたがるタイプのプレイヤーなのだが、敵の強さが難易度設定でスケールした結果体力がやたらと高くなり、戦闘が全体的に冗長になるのはあまり好みではない。

そこで難易度はあげつつも、敵の耐久力の上昇は少し抑えるということがこのオプションでは可能となっている。逆に「難易度は下げてサクサクプレイしたいが、敵が柔らかすぎてスキルや武器を試すまでもなく倒してしまうのはちょっと残念」という場合には耐久力だけ上げるといった設定もでき、自分が一番楽しめる絶妙な難易度設定を柔軟に探れるという点ではこの仕様は非常にありがたいと感じた。


もうひとつはモーションブラーやキャラクターの移動にともなうカメラの揺れ演出などといったオプションが「3D酔い」という項目の下にあったことだ。3D酔いしやすい人であれば、どういった設定で酔いを軽減できるかは経験上覚えていることが多いかもしれない。とはいえオプション画面でこのようにまとめられているのはあまり見た覚えがなく、配慮が行き届いた仕様だと感じられた。ちなみに3D酔いの項目下にはないが、もちろん解像度やFOVを弄ることも可能だ。

ついでにちょっと気になった点としては、マウス感度の設定が操作設定ではなくカメラ設定以下にあるということだ。プレイを始めた直後はマウス・キーボードのキーバインド設定に感度設定が見当たらず、仕方なくマウス側のDPIを調整して誤魔化していた。なんとなく感度設定はキーバインドのところにあるはずという先入観があったわけだが、後ほど設定項目を洗い直した時にカメラ設定のところに感度設定をようやく見つけたので、同じような感覚の人は注意が必要だ。ちなみに感度設定自体はしっかりしたものが用意されており、通常時とADS時で別々に感度が設定できるほか、コントローラープレイ時のスティック感度もここで調整することが可能だ。


ここからは実際のゲームの内容について触れていく。先行体験会は主にゲーム序盤のメインミッションが中心となっており、プレイヤーの分身たる「ボス」と3人の仲間たちがセインツ立ち上げにいたるまでのストーリーラインをプレイすることが出来た。ネタバレとなるためストーリーの内容に詳しく踏み込むことは避けるが、ストーリーは最近のゲームらしくキャラクターの魅力を重視した作りとなっており、4人の個性と絆が序盤からしっかりと描かれている。

『セインツロウ』シリーズ特有のバカげたノリももちろんあるのだが、体験会のプレイ範囲では比較的控えめ。しっかりとキャラクターに愛着を持たせるためのヒューマンドラマが展開されており、没入感は高い。まっさらの状態から新たな犯罪帝国を巨大なサント・イレソの街に築き上げていく、というプレイヤーにとっても単純明快な目標が最初に提示されているというも良い。キャラクターとプレイヤーの動機がリンクしているし、組織の成長が楽しみという点でプレイのモチベーションも保ちやすい。まさに「いつかビッグになってやる」といった風情である。

もちろんメインミッションのストーリーライン以外にも「サイド・ハッスル」と呼ばれるドル稼ぎ用のサブミッションなどが大量に用意されている。先行体験会では時間の都合であまり触れることは出来なかったが、こちらは特にいつもの『セインツロウ』らしい荒唐無稽なクライムアクションが中心となっているようだ。サント・イレソは非常に広大な街で、こういったサブミッションを通じて街を駆け巡るのも本作の醍醐味のひとつと言えるだろう。


ゲームプレイについては、まず何よりも印象的なのは本作のカスタマイズ性の高さだ。特にプレイヤーたる「ボス」の見た目、武器、そして車のカスタマイズに関しては思わず目を回してしまうほどの豊富なオプションが用意されている。ボスの見た目はスタイルアプリからいつでも変更可能で、会話中に突然ボスの性別を変更してもしっかりその瞬間からボイスも差し替わるという徹底ぶりだ。ほかにも街中で使えるエモートや、拠点である教会に設置できる家具やオブジェなどもふんだんに用意されていて、見た目にこだわる人にとってはたまらない自由度の高さとなっている。


戦闘はオーソドックスなTPSスタイルでの銃撃戦がメインとなっている。街中での戦闘のほとんどは敵の集団を銃で薙ぎ倒していくもので、たまにエリートエネミーが混じるものの基本的に相手は数で攻めてくる。最序盤に覚える「パイナップルエクスプレス」は敵のズボンにグレネードを放り込んで投げつけるというスキルなのだが、これが広範囲を爆発で巻き込めるため非常に使いやすい。

序盤から所持しているピストルとライフルでは範囲攻撃乏しいため、このスキルでいかにマルチキルを狙えるかはかなり重要だ。ほかにも煙幕を張るスキルなども用意されていて、銃撃一辺倒ではなくこういったユーティリティスキルを巧みに活用することで戦闘が楽になる設計となっている。もちろん難易度設定にもよるが、戦闘もしっかりと歯応えのあるゲームプレイが用意されていると言えるだろう。パーク(パッシブ)も用意されていて、ミッションや敵の種類に応じて付け替えるのも重要そうだ。また、各種車両に乗りながらの戦闘シーンも豊富に用意されていて、序盤のミッションでは砂嵐の中、敵性車両の屋根に次々と乗り移りながらタレットを破壊する場面もあった。


もうひとつ、本作におけるコアゲームメカニクスのひとつとされている「ウォーテーブル」に関しては、残念ながら先行体験会の範囲ではたどり着くことが出来なかった。このウォーテーブルはサント・イレソ各地に「クリミナルベンチャー」と呼ばれる犯罪活動の隠れ蓑となるベンチャー企業を設立していくシステム。このウォーテーブルを通じてサント・イレソの14の地域の制圧が進んでいき、また各地域の企業の特色に応じて新たなゲームプレイが解禁されていく仕様となっている。このシステムによって「結局走り回って敵を撃ち殺すだけ」ではなく、ゲームを通じて新鮮で幅広いゲームプレイが用意されているということで、かなり期待しても良さそうだ。

以上を踏まえて3時間ほどプレイした筆者の個人的な感想をひとつ述べるとしたら、「思った以上にストーリーに惹き込まれた」という点に尽きる。名作映画や海外ドラマ特有の「フックの強さ」があり、もっと全面的にコメディ色強めなのを予想していたら序盤からぐいっと興味を掴みに来るストーリーテリングに驚かされてしまった。メインキャラクターたちとセインツがこれからどのような道を進んでいき、どこに辿り着くのか。先をプレイしたいという意欲をそそるという点で、序盤のメインミッションは見事な仕事を果たしていると感じた。


『セインツロウ』はPC(Epic Gamesストア)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに8月23日発売予定。店舗特典にはピンバッチやキーホルダーが用意されているほか、PS4/PS5版限定のノートリアスエディションはDLCとエクスパンションパスのほかにアートブックやポスターなどの特典が豊富についてくる特別版となっている。

Mizuki Kashiwagi
Mizuki Kashiwagi

PCとPS4をメインで遊んでいます。自分で遊んでも、観戦していても面白いような対戦ゲームが好きで、最近は格闘ゲームとMOBAをよく遊んでいます。

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