MMORPG『ブレイドアンドソウル』胎動アップデートをプレイしてきた。UE4移行によるグラフィックの大幅向上と、新職業「双剣術士」が実装
エヌ・シー・ジャパンは9月15日、同社が運営するMMORPG『ブレイドアンドソウル』にて、「胎動アップデート」を実装した。“新しく生まれ変わる鼓動”と銘打った 今回のアップデートで目玉となるのは、ゲームエンジンの移行と新職業である「双剣術士」の実装だろう。本記事ではその二点を中心として、運営・開発陣から直接うかがった話とテスト段階の実機に触れてみた感想を元に、アップデートの詳細について触れていく。
Unreal Engine 4で生まれ変わるゲーム体験
今回のアップデートで真っ先に触れておきたいのは『ブレイドアンドソウル』のゲームエンジンがUnreal Engine 4へと移行する点だろう。日本で2014年からサービスを開始している本作はUnreal Engine 3を採用しており、サービス開始当時はグラフィック面を非常に評価されていた。しかし現在ではUnreal Engine 4を採用するゲームが増え、ユーザーからは本作においてもUnreal Engine 4への移行を望む声が多かったのだという。
今回行われるゲームエンジンの変更は、これまでプレイしてきたユーザーにとって待望のアップデートとなるわけだ。ではUnreal Engine 4へと移行したことによって『ブレイドアンドソウル』の世界がどれだけ変わったのか、実機のスクリーンショットを踏まえて解説していこう。
こちらは新しくなったキャラクタークリエイト画面だ。衣装や肌の質感、光沢表現といった要素がこれまでよりもグレードアップしている。一度でもゲームを遊んだことのある方ならば、順当な進化を遂げたグラフィックを理解してもらえるだろう。開発チーム曰く、これまでのキャラクターデザインを違和感なくUnreal Engine 4で再現することに苦労したそうだ。質感はUnreal Engine 4特有のものへと変わっているものの、単純にUnreal Engine 4へと移行したのではなく全体的に調整をおこない、極力これまでのグラフィック表現を維持できるよう尽力したとのことである。
ゲームエンジンの変更に合わせてキャラクター選択画面のユーザーインターフェースもUnreal Engine 3から一新された。特にキャラクタークリエイトの種族や職業を選択する画面は、非常にスタイリッシュで派手なものへと変化している。サービス開始当時から現在まで変わらない『ブレイドアンドソウル』の魅力の一つであるキャラクタークリエイトを、これまで以上に楽しむことができるようになっている。
フィールドのグラフィック進化を感じてもらえる場所として、まずは狼の丘陵というマップを紹介する。長い草や水場があるこちらのマップでは、ディティールがどのように変化してどれだけ美しくなったのか体感してもらいやすいだろう。最高画質では今まで以上に鮮明に描写された草花が鬱蒼と生い茂っているのが見て取れる。
こちらは夜の風の平野というマップ。非常に幻想的な場所で、スクリーンショットを撮るユーザーも多いというこちらのマップは、従来の雰囲気を保ちつつより神秘的な雰囲気が出ている。グラフィックが進化したことでエネミーも非常に迫力のある存在になっているのが見て取れるだろう。
水面の表現や光の反射具合も見事に描かれており、亀月島の魚路海岸というマップではその変化を存分に堪能することができる。ここではすべてのマップを紹介することはできないが、これまで『ブレイドアンドソウル』を遊んできたユーザーも、刷新されたフィールドを新鮮な気持ちで走り回ることができるだろう。
ゲームエンジンが変わったことにより進化したのはグラフィックだけではない。ユーザーインターフェースも大きな変化を遂げている。システムメニューはこれまで並んでいたアイコンがすべてメニュー画面内に格納され、非常にスッキリとした見た目になった。
グラフィック設定画面では、これまで複数あった高級効果という項目が一つに集約されたほか、Unreal Engine 4の機能としてボリュメトリック フォグ効果という項目が新たに追加された。ほかにもグラフィックパフォーマンスモードという設定が新しく追加されている。こちらは解像度が高いモニターを使用しているユーザーが、処理の重たいダンジョンなどでもフレームレートを維持できるように解像度品質が状況に合わせて変化するというものだ。
戦闘面に関わる変化として注目したいのは、装備アイテムの特殊効果を画面にアイコンとして表示できる支援効果グレード表示という項目。これまでは霊珠と武器と守護石の3種類しか表示されていなかったものが、任意の項目を最大5種類まで選んで表示可能になっている。表示するアイコンの大きさも変更可能で、プレイスタイルに合わせて調整することができる。
さらには処理が最適化されたことで、キャラクター選択時やマップの切り替え時に発生するロードも従来より高速化しているとのこと。Unreal Engine 4へと移行したことにより美麗なビジュアルへと変化しただけでなく、ゲームそのものをより快適に遊べるようになっているのだ。
なお、グラフィックが綺麗になったことで現在遊んでいるPCのスペックではプレイできなくなってしまうのではないかという懸念があるかもしれない。その点について確認してみたところ、最高画質で遊ぶために要求されるスペックは上がっているものの、環境設定から画質を落とすことも可能であり、現行版が動くスペックであれば問題なくプレイできるとのこと。アップデート後の必要環境と推奨環境はこちらから確認することができるので、不安な方はチェックしてみるといいだろう。
注意点としてはすでに公式でアナウンスされているとおり、環境設定やユーザーインターフェースの変更に伴い、アップデート以前に保存されていた個別の設定がすべて初期化されてしまうとのこと。既存のユーザーはくれぐれも再設定を忘れないようにしたい。一通りシステム面について紹介したところで、ゲーム内容の進化についてもお伝えしよう。
防御を捨てて攻撃に特化したテクニカルな新職業、「双剣術士」
新たに追加される職業の「双剣術士」は、二振りの剣を持ち「攻撃こそ最大の防御」がコンセプトの攻めに特化した職業だ。モーションも非常に派手で、操作していて爽快感があるものに仕上がっている。武功には「無極」と「花舞」という2つの系列があり、それぞれ異なる特性をもっている。
まずは「無極」について解説したい。こちらは自らを窮地に追い込むことでより高い能力を発揮する系列の武功で、HPが30%以下になると超感覚というバフが発動する。このバフは一定時間、火力と移動速度が向上し解除時に最大HPの20%を回復するという効果をもっている。さらには特定の武功を使うことで別の武功のクールタイムをリセットし、強力な攻撃を連続して繰り出せるようになるのだ。「回想」という武功を使用することで、強制的にHPを30%以下に減らして「超感覚」を発動させることも可能。「無極」ではこの「超感覚」によるバフを上手く活用していくことになる。
「無極」にはもうひとつの特徴があり、剣を両方とも順手に持つ、両方とも逆手に持つ、片方だけ逆手に持つ、といった3種類の態勢が存在する。ターゲットしていない状態で左クリックを押すことで順番に剣の構え方が変わり、態勢に応じて武功の性質が変化するのだ。中には完全に別の武功へと変化するものもある。ちなみに敵をターゲットしている状態で左クリックを押すと、攻撃しつつ構えを変えるという動きに切り替わるので、敵の前で棒立ちしたまま態勢だけ変更してしまうといったことにはならない仕様だ。
両方とも順手の構えがもっともスタンダードな「受け流し」という武功をもち、癖なくさまざまな局面に対応できる。両方とも逆手の構えは「遮断」という武功をもち、状態異常を付与したり力強い攻撃で敵を圧倒する武功をもっている。片方だけ逆手の構えは「弾き返し」という武功をもち、他の構えよりも連携がしやすいという特性をもつ。態勢によって同じ武功でもモーションも異なるので、性能面だけでなくビジュアル面も非常に多彩となっている。
態勢に関わらず累積できるバフ「滅」を通じて強い攻撃を引き出すという共通の能力ももっており、「滅輪斬」という武功を使用することで「滅」が最大4累積し、累積した数に応じて「絶滅」という武功が強化される。累積させるための鍵となる「滅輪斬」は発動モーションが遅いが、特定の順番でコンボを組むことで神速効果により加速。素早く攻撃を繰り出すことができる。高い火力を出すためには「滅」をうまく使うことが重要になってくるというわけだ。
「無極」は態勢を状況に応じて使い分けつつ、超感覚を発動させることで高い火力を発揮する非常にピーキーな系列となっている。HPの管理と態勢変更の相乗効果で操作が煩雑になりやすく、使いこなすには慣れが必要だろう。その分、後述する「花舞」よりも高い火力を追求できる仕様になっているので、腕に自信のある方はぜひ触れてみて欲しい。
一方、「花舞」には態勢を変えるといった概念は存在せず、安定した火力が出せる遊びやすい系列だ。特徴としては「天」と「地」のゲージ、そして「花びら」という概念が挙げられる。いずれも鍵を握っているのは武功の連携であり、連携していくことでバフを発動したり強化された武功を出せるようになったりする。
「花舞」では、特定の武功を連携させることで「天」、あるいは「地」のゲージが溜まりバフが発動する。「天」は移動速度の上昇と特定の武功の攻撃回数が増加し、「地」は状態異常への抵抗と内力の回復効果をもつ。「天」と「地」は同時に発動することができず、状況に応じてどちらかを選ぶ形式になっている。
「花びら」は特定の武功を使用することで溜められるようになっており、「花びら」を消費することで使用できる武功がある。さらには「花びら」が3つ以上ある状態で「開花」という武功を使用すると、「剣香の境地」というバフが発動する。こちらは一定時間、火力が上昇するだけでなく「花風連斬」と「花旋風」という武功を内功消耗なしで使用することができるというものだ。
剣香の境地が発動しているときには「花月」という武功が使用可能になる。こちらは非常に強力な攻撃で、エフェクトも派手でかっこいい武功となっている。「花月」に限らないが、「花舞」は全体的に華やかなエフェクトをもっているのも見逃せないポイントだろう。装備などでクールタイムを短縮させた上で「天」と「地」、そして「剣香の境地」といった各種バフを維持しながら戦っていくのが「花舞」の基本的な戦闘スタイルになる。
どちらの系列にも共通しているのは、抵抗が控えめで他の職業と比較して打たれ弱い部類であるという点。「花舞」は地のバフで防御性能をやや上げることができるので、「無極」よりはスタンダードで万人向けといえる。まずは「花舞」で「双剣術士」という職に慣れてみるのもいいだろう。余談だが「無極」と「花舞」はそれぞれ待機モーションのエフェクトも異なるので、ビジュアル面で系列を選んでみるのも遊び方の一つかもしれない。
これから始める新規と、復帰するユーザーにお得な快進撃キャンペーン
もう一つ注目しておきたいのは「胎動アップデート」と同時に開催されるキャンペーンだ。こちらは新規ユーザー、あるいは復帰ユーザー向けに、上位のコンテンツをすぐに遊ぶことが可能な強い装備を配布するというもの。数年前に遊んでいたユーザーのものよりも強い装備とのことだが、注意点としてこちらの装備は使用できる期限があり、成長させることもできない。
配布された装備は11月頃まで使える予定で、10月には使用期限なしで成長可能なより強い装備を獲得できるミッションが実装される。装備を使用できる期間にミッションをクリアしていくことで、今後使える装備を入手できるお得なキャンペーンとなっているのだ。
さらに10月13日には新しいストーリー(エピッククエスト)の更新や、「封魔録」という4人用古代ダンジョンランキングを追加するアップデートも予定されている。特にストーリーの追加は昨年の6月以来、およそ1年4か月ぶりの更新となる。心待ちにしていたユーザーにとっては待望のアップデートだろう。「封魔録」はクリア状況のランキングによって報酬が変化し、新しい古代等級アイテムや装備を入手することができる新たなエンドコンテンツとなっている。
新規ユーザーも今回のキャンペーンを活用することで装備を整えて、今後追加されるコンテンツを遊ぶことが可能。新しく興味をもった方だけでなく過去にプレイしていた方も、新しく生まれ変わる『ブレイドアンドソウル』をこの機会に触れてみてはいかがだろうか。「胎動アップデート」は9月15日より実装済みだ。