DMM GAMESから7月18日に発売を予定しているオープンワールドRPG『キングダムカム・デリバランス』。5月下旬、同作の日本語版完成発表イベントがチェコ大使館にて開催された。メディア関係者だけでなく、Twitterより抽選で20名ほどの一般参加者も招かれたこのイベントでは、本場チェコの料理とピルスナー・ビールが立食パーティー形式で振る舞われたほか、日本語版をいちはやくプレイできる試遊台も設置されていた。開発陣によるトークショーや西洋剣術スクール「キャッスル・ティンタジェル」による甲冑模擬戦といった催しもあり、非常に密度の濃い3時間となっていた。
『キングダムカム・デリバランス』は中世ヨーロッパ、ボヘミア王国を舞台にしたオープンワールドRPGだ。徹底的にリアリティを追求して作り込まれているのが何よりの特徴であり、ファンタジー的な要素は一切存在しない。Kickstarterによるクラウドファンディングで資金を調達しつつ4年近くの開発を経て発売された意欲作であり、すでに海外では高い評価を得ている作品である。今回のイベントではプラハに拠点を置く開発元Warhorse StudiosよりPRマネージャーとして来日しているTobias Stolz-Zwilling氏が、実際のゲームプレイ映像を交えてゲーム内容の解説を行なった。
『キングダムカム・デリバランス』のマップは非常に精巧に15世紀当時のボヘミアを再現しており、建築物等も史実に基づいたものとなっている。街に存在するNPC住人も、その一人ひとりに生活と行動ルーチンがきちんとあり、ただそこに佇んで話しかけられるのを待つだけの存在ではない。主人公であるヘンリーの行動、会話の内容、そのひとつひとつがNPC達に影響を与え、結果の変化をもたらすのである。ストーリーも史実に基づいたゲームとはいえ自由度は高く、ヘンリーをどのような人物にするか、どのような行動指針に基づいて進めていくかは完全にプレイヤーの手にかかっている。
ゲーム内に登場する装備品等も、リアリティにこだわって作られている。防具は頭に4スロット、上半身に6スロット、下半身に4スロット存在し、実際に現実で服や甲冑を着込む時のように、重ね着の順番にも気をつけなければならない。防具の種類によって特定の武器種への得手不得手があり、また外見によってNPCの反応も変化するので、装備は慎重に選ばなければならない。オープンワールドRPGでは定番のスキルレベリング要素もある。メインパラメータとなるのは「筋力」「体力」「敏捷」「スピーチ」の4つであり、他には武器種ごとのスキルや、狩猟やメンテナンスなどといったサブスキルが存在する。ヘンリーの行動や選択がこういったスキルやパラメータを変化させ、またヘンリーの行動結果自体もこれらの数値に影響される。プレイヤーごとの、ヘンリーの物語があるのだ。
『キングダムカム・デリバランス』はオープンワールドRPGとしての基本は抑えつつも、リアリティとチェコの再現という点に何よりもこだわっているゲームだ。プロデューサーの松本卓也氏は、このゲームを是非ゆっくりプレイしてほしいと語った。ゲームの遊び方を限定するつもりはなく、自由に遊んでほしいが、たっぷりと時間をとれば15世紀ボヘミアの世界観に浸るようにしてプレイすることができる作品だという。
作中には現在のチェコにも存在する建物や街が多く登場するため、今回発売を記念してチェコ観光局とのコラボも実現している。PS4版のパッケージには、チェコ観光局と『キングダムカム・デリバランス』のコラボプロジェクトのフライヤーが封入されている。ゲームの舞台としても登場する実在するロケーションを、実際にチェコを訪れて見てみようというテーマだ。サーザヴァ、ラッタイ、プラハ、プルゼニュなどの都市がピックアップされ、クエスト感覚で巡れるようになっている。『Marvel’s Spider-Man』をやりこんだ後に訪れるニューヨークや、『ペルソナ5』をプレイした後の渋谷など、ゲームで何度も見た光景を実際に見た時の得も知れぬ感覚というのは中々味わえないものだ。徹底して再現性にこだわっている『キングダムカム・デリバランス』だからこそ、ゲームをプレイした後はいわゆる「聖地巡礼」を検討してみる価値はあるだろう。
日本語版『キングダムカム・デリバランス』はPS4/PC(DMM GAME PLAYER)にて7月18日に発売予定だ(当初は6月27日発売予定であったが延期となった)。日本語に完全対応しており、ゲーム内の膨大な量なテキスト、ボイス、全てが日本語となっている。新しく興味を持った方や言語が理由で手を出せなかった方だけではなく、英語版をプレイしたことがある方も新鮮な気持ちでプレイすることができるだろう。精巧に再現された15世紀ボヘミアの世界で、あなただけのヘンリーの物語を紡いでみてはいかがだろうか。