「水の国」を行く郵便屋さんの物語、国産2Dドット絵アドベンチャー『From_.』。5月14日なら水音を感じながら暗闇でプレイ可能

 

本日5月14日(日)の「東京サンドボックス」にて、国産アドベンチャーゲーム『From_.』のプレイアブルデモがプレイ可能だ。本作は1年ほどの開発期間を経て開発されているタイトルで、水色と黒色で構成された2Dドット絵が特徴の作品となっている。もし意味深な世界観を徐々に伝えていく作品が好きで、なおかつ関東圏に住んでいるのなら、5月14日は東京・秋葉原UDXに出展されるプレイアブルデモに触れてみてほしい。

本作のゲームの舞台となるのは「水の国」と呼ばれる世界だ。この世界では家が複数の孤島のように別れており、住民たちは手紙でやり取りをしているらしい。プレイヤーは主人公である「郵便屋さん」となり、“とんでもないもの”だという連れ添いを連れながら、手紙を配送したり住民と話たりすることになる。

ゲームプレイ自体は単純なポイント&クリックゲームで、特に難しいパズルなどとは登場しない。ただし物語はとにかく謎だらけの作品で、ゲームを開始しても世界観についての説明はなく、プレイヤーは「この世界はいったいなんなんだろう」と考えながらiOSの画面上をタップすることになる(本作はPCおよびiPhone/Android向けにリリース予定)。そのなかで、別々の孤島に住む男女や、廃墟と化した屋敷に出没する人物などに出会い、彼らの話を聞き、時には手紙を送り届けする。プレイアブルデモ版で聞こえてくるピアノと水の音、どこか意味深に聞こえてくる物語は、プレイヤーに物悲しく空虚な感覚を与えるだろう。

人間(?)らしき主人公と、その後ろを黙ってついてくる『千と千尋』の「カオナシ」のような存在。開発者に聞いてみたところ、多くは語られない登場人物の素性や物語の背景が、本作の鍵を握っているとのこと。
ちなみに青色と黒色のドット絵を描いていたところから本作の開発が始まったそうで、「水の国」という設定などもそこから広げていったという

開発を担当するのは仲島瀬里奈氏。『From』は「いつか自分の作ったゲームを実況プレイしてもらえるとうれしい」という思いから始まったという、なんともユニークな開発動機となっている。『From_.』のリリース時期はまだ正式には発表されていないが、静かに心に染み入る素敵なアドベンチャーゲームとして、今後注目していきたい。

なお会場では黒い垂れ幕のなか、流れる水の音やピアノを聞きながらプレイすることができる。雰囲気バツグン

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。