『バイオハザード』ファンならマストバイ? 20周年記念モデルがスペシャルである理由を徹底解説

「東京マルイフェスティバルinベルサール秋葉原 3rd」が12月26日27日に開催され、『バイオハザード』とのコラボレーションモデルのエアガンが展示されていた。東京マルイ 企画室制作課 鈴木紀誉明氏・髙島拓生氏にお話をうかがった。20周年記念モデルがスペシャルである理由とは。

11月26日(土)、27日(日)の2日間、ベルサール秋葉原にて東京マルイによる大型イベント「東京マルイフェスティバルinベルサール秋葉原 3rd」が開催された。本イベントでは、東京マルイの新作エアガンを手に取ることができるだけでなく、ステージイベントや物販なども同時に開催され、ファンにとって見どころの多いイベントとなっている。

その中でも特に注目したいのが、その第一作目のゲームが発売されてから、今年で20周年を向かえているゲーム『バイオハザード』とのコラボレーションモデルのエアガンの展示だ。今年8月末に、正式発表された本製品。過去に数々のコラボを行ってきた東京マルイと「バイオハザード」だけに、今回の記念モデルに対しても、どのようなこだわりがあるのか、注目が集まっていた。

そんな今週発売を控える「バイオハザード20周年アニバーサリー限定モデル サムライエッジ スペシャルカラーバリエーション」に掛ける思いを、本商品の制作に携わった東京マルイ 企画室制作課 鈴木紀誉明氏・髙島拓生氏に語っていただいた。

 

東京マルイ 企画室制作課 鈴木紀誉明氏(左)・髙島拓生氏(右)
東京マルイ 企画室制作課 鈴木紀誉明氏(左)・髙島拓生氏(右)

――『バイオハザード』20周年企画として、新たなコラボレーションモデルが発表され、大きな反響があったこととお思います。数日後には販売を迎えますが、今の心境をお聞かせください。

髙島拓生氏(以下、髙島):
バイオハザードとのコラボレーションモデルの開発に携わった身として大変嬉しいです!『バイオハザード』とのコラボレーションとしては、今回の20周年記念モデルで合計15回目と、コラボレーションとしても非常に長い歴史になります。

鈴木紀誉明氏(以下、鈴木):
コラボレーションさせていただいた回数も多いため、商品の点数も多く、今回の東京マルイフェスティバルでもすべてが展示できているというわけではないんです。

 
――これだけたくさんのモデルが展示されているにもかかわらず、すべてではない、というのは驚きです!それだけバイオハザードチームの方とも信頼関係が厚い、ということだと思いますが、今回の20周年モデルも自然に企画が立ち上がったのでしょうか。

髙島:
そうですね。15周年企画の際に、サムライエッジのクリスモデルとバリーモデルを復刻させていただきました。弊社は基本的に限定モデルは復刻をすることはないのですが、15周年ということで特別パッケージにして販売し、こちらの企画も大変ご好評いただきました。今回も20周年ということで、何か面白い企画ができないかと、カプコンさんからお声掛けをいただき、「待っていました!」という形で実現したのが今回の20周年記念モデルです。

復刻が行われた限定品「サムライエッジ バリー・バートンモデル」および「サムライエッジ改 クリス・レッドフィールドモデル」
復刻が行われた限定品「サムライエッジ バリー・バートンモデル」および「サムライエッジ改 クリス・レッドフィールドモデル」

――そもそもの話になるのですが、『バイオハザード』と東京マルイとのコラボレーションはどういった経緯ではじまったのでしょうか。

髙島:
もともとは、『バイオハザード』チームの中に弊社のファンの方がいらっしゃって、同時に弊社にも『バイオハザード』ファンがおり、担当同士が飲みに行くうちにコラボレーションの話が立ち上がり、タイミングとして『バイオハザード2』で、はじめてのコラボモデルの制作が決まりました。ゲームに登場する銃をエアガン化するということで、弊社サイドも前のめりで取り組ませていただきました。その銃がこの「デザートイーグル.50AE バイオハザード2モデル」です。

デザートイーグル.50AE バイオハザード2モデル
デザートイーグル.50AE バイオハザード2モデル

――最初のコラボモデルということで、いろいろとエピソードがありそうですね。

髙島:
はい、随所にこだわりが詰まっています!語るとキリがないのですが、特に注目していただきたいのはグリップ周りです。ゲームの中に登場する銃をただ作ればいいというわけではなく、実際にファンの方々に手に取ってもらうにあたり、より説得力のあるモデルにしたいということで、当時流行だったエルゴノミクスデザインを取り入れて制作しました。結果、ゲームのファンの方はもちろん、ミリタリーファンの方々からもご好評いただき、その後も同様の方針でコラボモデルを制作しています。

 
――まさに「バイオ」コラボモデルの原点といえる銃ということですね。

髙島:
そうなんです。ゲームにおけるファンタジーとしての部分と、現実的な銃としての説得力を持たせる部分を共存させる、という点はその後の人気シリーズ・サムライエッジにも引き継がれています。「各コラボレーションモデルが登場するバイオハザード作品の時代設定を考慮し、その時代ごとの最新カスタムを取り入れて、ファンの方たちに驚きと喜びを感じていただけるように」という設計思想を念頭に起きながら、毎回制作にあたっています。

 
――基本的な方針としては、ゲームだからと架空のデザインにせず本物の銃を意識して設定を考えるという方向性ということでしょうか。

鈴木:
そうですね。原則、弊社が販売しているエアガンは本物の銃がベースですから、それをゲーム中の使用方法に近づけていく、という考えです。ゲームの中のデザインをそっくりそのまま実現する、というよりは、現実的な銃としてのデザインとも両立できるように設計しています。例えばサムライエッジシリーズでは、ベースとなった銃(M92F)のスライドのロッキングラグが弱いと言われているので、例えば通常よりもパワーのある強装弾という弾を使うと割れかねません。その点を強化したカスタマイズをスライドに施していたりします。

髙島:
特殊部隊が使用する銃ということで、使用されるシチュエーションもさまざまですし、特殊弾の発砲にも耐えられる必要がある、など設定をいろいろと想定して設計しています。

 
――『バイオハザード』というビッグタイトルとのコラボということもあり、ファンの方からも反響も大きいのではないでしょうか。

髙島:
お陰様で毎回多くの反響をいただいています!その中でも特に反響が大きかったのが、最初のコラボモデル「デザートイーグル.50AE バイオハザード2モデル」です。

鈴木:
そうですね、一番すごかったと思います。購入するために店舗前に行列ができた記憶があります。ちなみに私が最初に購入したガスブローバック銃も、このモデルなんです。

 
――それは思い出深いですね!

鈴木:
はい!この銃を購入したことが、僕が弊社に入社するきっかけですので、個人的な思いい入れがたくさんあるモデルです。それまではそこまでエアガンに興味がなかったのですが、このコラボモデルは絶対に買いたいと思ったんです。それくらい「バイオハザード」が魅力がある作品だったとも言えます。

髙島:
バイオハザードにおけるデザートイーグルの頼もしさは、ゲームをプレイしたことがある人なら誰しも感じるものじゃないかなと思います。ファンからすると憧れに近いものがあったはずです。それが自分の手に入る、ということもあり、「デザートイーグル.50AE バイオハザード2モデル」は大きな反響をいただいたのだと思います。

鈴木:
その後販売させていただいた、「デザートイーグル.50AE バイオハザード2モデル 10インチカスタム」も、バレルを交換してより強力な銃に出来るという「バイオバザード」の設定があればこそ実現したモデルです。モデルのためだけにアウターバレルを新規に設計したという点からも、弊社が「バイオ」モデルにかける強い思いを感じていただけたるのではないかなと思います。

デザートイーグル.50AE バイオハザード2モデル 10インチカスタム
デザートイーグル.50AE バイオハザード2モデル 10インチカスタム

髙島:
ゲーム内に登場するアイテムが現実に販売される、という企画は今でこそ一般的かもしれませんが、当時はまだ珍しく、ゲームと現実をつなぐアイテムという点でもファンの方たちには喜んでいただけました。実際に手に持つと、ずしりとした重さが手に伝わり、その重たい銃をゲーム内のキャラクターたちは軽々と扱っていたのかと思うと、今までとは違った角度から、キャラクターのたくましさが伝わってきますよね。

 
――今までのコラボモデルの中で、特に印象深いモデルがあれば教えてください。

鈴木:
僕はやはり「デザートイーグル.50AE バイオハザード2モデル」です!もうひとつ上げるとするなら「サムライエッジ バリー・バートンモデル Ver.II」ですね。僕自身がはじめてデザイン監修に携わらせてもらったモデルです。

サムライエッジ バリー・バートンモデル Ver.II
サムライエッジ バリー・バートンモデル Ver.II

髙島:
この銃は2001年の限定品「サムライエッジ バリー・バートンモデル」のバージョン違いです。最初のモデルは、バリーがまだ若かった頃に使っていた銃で、威力の高い弾を撃てるようにカスタマイズされています。

鈴木:
一方でVer.IIのほうでは、ゲームの設定上、歳を経たバリーが取り回しやすいようにマイルドなカスタマイズが施されています。そういったゲーム内の設定を、どういった形でエアガンの設計に落としていくのか、という点に非常にやりがいを感じました。最初は銃にフォアグリップをつけよう、といった案もあったのですが、最終的には今の案に落ち着きました。何度もカプコンさんとやりとりをして、互いに納得のいくクオリティの商品をつくれたことがとても印象深いです。

 
――そういった意味では「監修」という言葉の意味も通常のキャラクター商品の「監修」とは違ったイメージを受けますね。

髙島:
そうですね。正解が明確に“これ”と決まっているわけではなく、キャラクターの設定や世界観から考えて、ゲーム中で使用されるとしたらどうなるか、も考えますし、実際に製品化できるのかといった観点も必要になります。

鈴木:
商品を最初に設計する際は、本当に自由に発想させてもらっています。こうだったらいいな、を膨らませていき、最終的に現実的な設計に落とし込んでいく、という流れです。一番重要なのは、格好良いかどうか、キャラクターに似合うかどうか、でその点をクリアしていて、かつ実現可能なアイディアはどんどん商品に取り込んでいきます。

髙島:
「アシュフォード・ゴールドルガー」も非常に印象深い銃です。『バイオハザードコードベロニカ完全版』に登場するスティーブが持つ銃で、ゲーム中に登場する、この銃を収めるためのレリーフごと商品化してしまったという、気合たっぷりの逸品です!

「アシュフォード・ゴールドルガー」および「アシュフォード・ゴールドレリーフ」
「アシュフォード・ゴールドルガー」および「アシュフォード・ゴールドレリーフ」

鈴木:
レリーフの素材は発泡樹脂なのですが、職人さんがひとつずつ丹精を込めて塗装してくださり、非常に完成度の高い出来栄えとなっており、これもまたファンの方たちから大変なご好評をいただきました。

 
――そういった過去のこだわりを踏襲した形で発表された20周年モデルですが、こちらの制作にあたってのエピソードをおしえていただけますか。

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髙島:
今まで販売されてきたコラボモデルの多くが特殊部隊S.T.A.R.Sが使用していたモデルです。いうならば、都市部での任務を主とした、警察の中の特殊部隊が使用する銃という位置付けで、塗装もその設定にならっています。一方で今回販売される20周年モデルはタンカラー、いわゆるミリタリーカラーで、砂漠などでのミッションを想定した銃です。つまり、ゲーム内では絶対に登場しない架空の銃なんです。20周年記念という特別企画だからこそ実現した銃といえます。ベースとなったのはU.S.M9ピストルですが、M9A3という後継モデルのカラーリングを反映し、その特別バージョンを20周年企画用にカスタマイズモデルとして出させていただきました。ゲームには登場していませんが、カプコンさんは今回もバイオハザード世界におけるこの銃の設定を考えてくれています。

鈴木:
そのほかにも、今回の特別仕様として、今まではS.T.A.R.Sのものだったのですが、本モデルのみ20周年のピンズが付属いたします。またグリップのメダリオンも、今回のみの特別仕様として金属製で制作して、高級感を出していますので、ぜひ手にとって確かめていただけたらと思っています。

20周年特別仕様のピンズおよびメダリオン
20周年特別仕様のピンズおよびメダリオン

髙島:
こうした思い切った試みだからこそ、ともいえるのだと思いますが、今までのバイオハザードファンの方はもちろん、ミリタリーファンの方からも良い反応をいただいています。今までのモデルは、ミリタリーファンの方からすると、実在する部隊の装備でサバイバルゲームに参加する方などにはとっつきにくい部分もあったのだと思いますが、今回のカラーリングには食指が動いたと、よくコメントをいただきます。そういった点からも、客層が今までのコラボモデルと比較して、少し変わったかなという印象です。特に女性から「かわいい!」と言われたのは驚きでした。

 
――バイオハザードの20周年コラボモデルという点はもちろん、カラーリング自体もグッとくる要素だということですね。

髙島:
はい。バイオハザードのファンの方からも、今までなかったカラーリングということで「今までと違った路線で、これも格好いいね!」という言葉をいただき、手応えを感じています。その一方で、「サムライエッジのバレルは銀色じゃないとなぁ」という声もいただいたりもしています。

鈴木:
今までサムライエッジシリーズは常に銀色のバレルで統一してきたので、サムライエッジのファンの方からすると、その点が気になるようです。ただよくよく聞くと……。

髙島:
「でも買うけどね」と。そういった暖かいファンの方に受け入れてもらえることが何よりの喜びですね。

銃というのは命を預けるアイテムということもあり、現実世界でもカスタマイズに結構な予算が割かれます。特に特殊部隊の隊員にとっては、支給された銃を自分にとって使いやすくするのは当然の権利とも言えるわけです。そういう点を考えると、ゲーム中は描かれなかったですが、劇中のキャラクターたちも任務によっては今回のようなカスタマイズを施すことも、十分ありえるのではないかなと思います。現に、元S.T.A.R.S.隊員のクリスが、バイオハザード5にて砂漠でサムライエッジを撃っていますしね。

 
――そういう「もしかしたら……」という可能性を考えることも、この20周年記念モデルを持つ人の特権といえるのでしょうね!気が早いかもしれませんが、次回作である「バイオハザード7」とのコラボについてはいかがでしょうか。

鈴木:
こればかりは相手があってのコラボですからね。ただ、VRにも対応ということで、ひとりのファンとして『バイオハザード7』にはすごく期待しています。ホラーゲームとVRの相性は最高ですよね!「VRであれば、銃を手に持った感覚もよりリアルに感じるのではないかな」「ゲーム中で銃のカスタマイズもよりリアルに楽しめたらいいな」と今からプレイするのが待ち遠しいです。『バイオハザード7』に限らず、USJのアトラクションやイベントなどで、弊社とカプコンさんでより一層面白い取り組みができたらと思っていますので、次回以降のコラボにもご期待下さい!

 
――ありがとうございました!

 
11月30日から販売を開始する「バイオハザード20周年アニバーサリー限定モデル サムライエッジ スペシャルカラーバリエーション」。髙島氏・鈴木氏両名が語るとおり、20周年を記念し、こだわりが随所に盛り込まれた逸品となっている。もし、本記事を読んで興味が湧いたとしたら、ぜひとも商品詳細を確認してみてほしい。

Hideki Nakayama
Hideki Nakayama

仕事柄、イベントレポート記事を書かせていただくことが多いです。ゲームに限らず、エンタメ系イベント全般に顔を出させていただいております。

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