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押井守の『Fallout 4』通信

押井守監督が『Fallout 4』をプレイ。

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“戦闘なし”終末世界冒険ゲーム『Caravan SandWitch』は、当初「ド派手ロボットバトルゲーム」だった。なぜ「戦闘なしゲーム」になったのか、日本語対応理由やウィッシュリスト集め方などいろいろ開発者に訊いた

パブリッシャーのDear Villagersは9月12日、『Caravan SandWitch』を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア)/Nintendo Switch/PS5で、ゲーム内は日本語表示に対応している。 『Caravan SandWitch』はバンに乗って惑星を探検するSFアドベンチャーゲームだ。主人公のソージュは故郷の星を出て都会で暮らしていたが、6年前に失踪した姉の宇宙船より、ある日遭難信号を受信する。突然の受信に驚いたソージュは、信号の発信元である故郷の星、シガロに向かう。そうして久しぶりの地元の友人との再会を楽しみつつ、行方不明の姉を捜して冒険を繰り広げる。 https://www.youtube.com/watch?v=JTNpqsqBoWI 本作には戦闘要素やゲームオーバーが存在せず、平和的に探索を楽しむことができる。舞台となる星シガロは、フランス・プロヴァンス地方がモデルになっており、緑豊かなエリアがある一方で、過剰開発により砂漠化してしまった地域なども存在。現在は開発も放棄され、かつての残骸が放棄されている。プレイヤーはこうした土地を、相棒となるバンに乗りつつ探検。スクラップを集めて、アンテナやグラップリングフックなどバンの機能を強化し、ストーリーを追っていくことになる。 このたび弊誌は、本作の開発を手がけたStudio Plane Toastにメールインタビューを実施。当初は“激しいボス戦”が存在していたという本作から戦闘要素がなくなったわけや、プロヴァンスで育ったという開発陣が同地について抱く思いなどを伺うことができた。以下にその内容を紹介する。 ──自己紹介と、スタジオの紹介をお願いします。 開発チーム:Studio Plane Toastです。『Caravan SandWitch』の開発を手がけています。当スタジオはフランス南部のプロヴァンスに拠点を置いており、地中海沿岸に存在する同地の空気が感じられるような、リラックスして遊べるゲームの開発に取り組んでいます。 スタジオの共同設立者であるAdrien LucasとÉmi Lefèvreは、高校からの友人同士です。当時からふたりで、小さなゲームをいっしょに制作していました。本作『Caravan SandWitch』は、そんなふたりが高校時代からアイデアを温めていた作品です。高校卒業から5年の時を経て、AdrienとÉmiは当スタジオを立ち上げました。パブリッシャーと契約を結び、スタッフを雇って15人ほどのチームを結成し、学生時代のアイデアを現実のものにすることにしたのです。 日本語対応は、日本人気を見て決めた ──Steamでウィッシュリスト登録数が10万件を超えるなど、本作は発売前から大きな注目を集めています。開発チームでは、本作のどこがユーザーを惹きつけていると考えていますか。作品の認知度を高めるうえで、どのような活動をおこなわれたのでしょうか。 開発チーム:本作『Caravan SandWitch』は初めて発表したときから、とても好意的な反応を得ることができていました。本作のアートスタイルとゲームプレイが相乗効果を発揮し、ユーザーに鮮烈な印象を与えることができたようです。またさまざまなゲームイベントに積極的に参加したことにより、より幅広い層のプレイヤーに本作を知ってもらうことができました。 本作の認知度を高めるうえでもっとも効果を実感した活動は、今年6月のSteam Next フェスに参加したことですね。2000人以上のプレイヤーにデモ版を遊んでいただき、イベントのプレイヤー数ランキングで25位にランクインすることができました。プレイヤー数だけでなく評判もよかったので、とても誇らしい気持ちになりましたね。またそのほかにも、Wholesome DirectやAG French Direct、Future Game Showといったゲームイベントに参加したことは、本作の周知に極めて効果的だったと感じています。 ──日本のユーザーからの反応はいかがでしょうか。 開発チーム:日本のプレイヤーからは大きな反響が得られています。ウィッシュリスト登録数も多く、日本からの注目は各国でもトップクラスですね。発表当初から日本のプレイヤーは本作に興味を示し、X(旧Twitter)などSNSでたくさん語ってくれました。またAUTOMATONを含む日本の複数のゲームニュースサイトが、本作の紹介記事を書いてくれました。日本からこれほど反応を得られるとは予想していなかったので、嬉しいサプライズでした。こうした日本からの大きな注目により、パブリッシャーのDear Villagersは本作を日本語へローカライズすることを決めました。 日本からの反応でとりわけ印象に残ったのが、とあるストリーマーによるデモ版の実況動画です。当時デモ版は日本語に対応しておらず、そのストリーマーはストーリーを理解するのに苦労していたようでした。しかし彼はそれでもデモ版を楽しんで遊んでくれて、またアートスタイルについて称賛してくれました。製品版は日本語に対応していますので、彼が改めて本作をプレイし、ストーリーも含めて『Caravan SandWitch』のすべての要素を楽しんでくれたらと思っています。 ──そのデモ版についてですが、全体としてプレイヤーの反応はいかがだったでしょうか。デモ版のフィードバックを受けて、製品版で取り入れた要素などはありますか。 開発チーム:デモ版の反響は素晴らしいもので、我々の想像をはるかに超えるものでした。合計でおよそ4万人ものプレイヤーがデモ版を遊び、フィードバックを寄せてくれたのです。残念ながらデモ版の公開から本作の発売まで2か月ほどしかなかったため、要望を受けて実際に導入できた機能は一部だけでしたが、それでもいくつかの機能を実装できました。一例をあげると、マップの好きな位置にマーカーを設置できるのは、プレイヤーの要望を受けて取り入れた機能です。またバンに乗ったとき画面が暗転するのが奇妙だといった声があったため、修正をおこないました。そのほかフィードバックのおかげで、多くのバグを修正することもできました。 戦闘要素がない理由 ──本作には戦闘要素がありませんが、なぜ平和な冒険ゲームを作ろうと思われたのでしょうか。本作の開発経緯について教えてください。 開発チーム:実は開発の初期段階では、本作には戦闘要素が存在していました。ロボットのボスと激しい戦いを繰り広げるような、アクションバトルを試験的に実装したのです。しかし開発を続けていくと、そうしたバトル要素は本作の目指す方向性に合っていないと感じるようになりました。 本作の中心となるコンセプトは、穏やかでストレスがなく、自分のペースでのんびり探索できるゲームというものでした。激しいボス戦というのは明らかに、そうしたコンセプトに反しています。結局、戦闘要素はすべてカットすることにしました。本作本来の魅力である探検とストーリーという要素に集中することで、戦闘なしでもゲームを面白くできると考えたためです。 ──戦闘要素がないことに加え、本作では高いところから落ちてもダメージなどはありません。ゲームオーバーになることがないシステムと言えると思いますが、狙いはなんでしょうか。 開発チーム:戦闘要素をカットすると決めた時点で、プレイヤーがゲームオーバーを経験する可能性はほぼなくなったのですが、まだ落下という危険は存在していました。開発初期のバージョンではやはり高い所から落下することでダメージを受けていたのですが、ゲームの面白さに貢献している要素だと思えなかったので、思い切って体力ゲージごと削除しました。バトルをカットしたのと同様に、本作のコンセプトを突き詰めた結果です。 どんなに高いところから落ちてもなんともない、というのは奇妙にも見えますが、プレイヤーはきっとすぐに慣れると考えました。ゲームオーバーを排除したことで、本作はより気軽に楽しめ、幅広いプレイヤーに楽しんでいただける作品になったと思います。 ──本作では、バンを運転して惑星を冒険することになります。車の挙動についてこだわったところなど教えてください。 開発チーム:車の挙動に対するゲーマーの好みは人それぞれ差が大きいと感じており、快適さとリアルさのあいだで意見が分かれるところだと思います。本作『Caravan...