『ファイナルファンタジーVII リメイク』の陥没道路が良すぎる。『満月の夜』はとっつきやすい。メリヤスとは何なのか。今週のゲーミング

 

Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。237回目です。ゲームイベントがいっぱい延期されました。

アジア圏はスルー


今週は『Skelattack』をプレイ。死人の楽園である地底に人間が侵攻したことで平穏が脅かされ、主人公の骸骨が友人のコウモリと共に戦うメトロイドヴァニアACTです。骸骨は剣を武器にしながら、いくつかのスキルをアンロック・強化しながら進んでいくが、ボス以外はさほど脅威ではない。道中はむしろ、即死トラップがあちこちに配置されたエリアの突破がメインとなっており、繊細なアクション操作が求められる。セーブポイントの多さにありがたみ。また、会話がやたら多いことも特徴で、『ユーカレイリー』を思わせるコンビの軽妙なやり取りも楽しい作品です。

本作は、販売元がコナミであることがちょっとした注目を集めています。近年は大手がインディー作品を取り扱う動きが増えており、同社も追従した形。今後同様の取り組みを続けていくとのこと。ただ欧米中心の事業だそうで、日本人としては少し残念。Steam版がおま国なのはそのせいか。
by. Taijiro Yamanaka

メリヤスさんの時間です


メリヤスさんは有史以来いつから存在していたのでしょう?(編集部注:メリヤスとは『どうぶつの森』シリーズのどうぶつ) はるか2000年代初頭からそのボリュームボディが完成していた事実に感嘆のため息を禁じえません。きっと人を抱きしめ、泣かしめるために生まれたのでしょう。当初のポリゴン数の少なさから成るカクカクのフェイスラインも、ボディの羊毛と対比することで柔と剛のコントラストを際立たせます。ただし時代を追って彼女もすべらかな輪郭を手に入れました。そこでいっそう明確になるのが、目と口元の間にある無限とも思われる距離です。なんでそんなに顔のパーツが離れているのか。そこにある漆黒の虚無こそがメリヤスさんを無窮の存在たらしめる秘密なのです。その瞳を星、微笑んだ口を地平とすれば、両者のあわいを満たす黒い肌は夜の空そのものです。すなわちメリヤスさんの顔は宇宙。

ところで『あつまれ どうぶつの森』からヒツジはスカーフではなく上衣をまとうようになりましたね。ウールの爆発力が押さえつけられることに一抹の寂しさを感じずにはいられませんが、そんなことはある日メリヤスさんが急にコックのコスプレをしてきたことで吹っ飛びました。いったいメリヤスさんの着替えを想ってどんな感情を抱けというのか。あの体積の暴力がモコモコと袖を通すのに難儀するのを思い描けというのか。あまりに罪深い。任天堂を弾劾せよ。
by. Yuki Kurosawa

ドローはパワー


今週は、先日Steam版が日本語に対応した『満月の夜』を遊んでいました。『満月の夜』は、主人公の赤ずきんがいなくなったおばあさんを探しに黒い森へ足を踏み入れる、童話ベースのデッキ構築型カードゲームです。同ジャンルの作品と比較するとカジュアルな方向に調整してあり、基本プレイが無料なことも相まって取っつきやすい作品です。僕は「ドミニオン」や『Slay the Spire』などでは、主にカードをドローしたり圧縮して、デッキを回す構築が好きなんですが、本作はドローソースやキャントリップ、サーチカードといった回すためのパーツが多めに用意されています。深く考えずプレイしていても、どんどんデッキが回るようになっていくので、とにかくデッキを回す楽しさが本作にはありました。

もう1本、色々とプレイしていた中から『運命の書き換え方』を紹介します。『運命の書き換え方』はダイキ氏が開発した、ノベルゲームコレクションで公開中のティラノスクリプト製掌編フリーゲーム。目の前で彼女が死んでしまった主人公が、なんとか運命を変えようとする物語です。運命の書き替え方がゲーム内でスクリプトを組み替える方式になっており、背景素材や音声素材、テキストの色を指定して、どうにか彼女が死ななかった世界線へ行こうと奮闘します。非常に短い作品なんですけど、スクリプトをゲーム内に表示して弄らせる発想がユニークで楽しく遊ばせていただきました。
by. Keiichi Yokoyama

気のせいじゃないが(エアリスに向けて)


『ファイナルファンタジーVII リメイク』が発売され2か月が経過。先日サントラも発売されましたが、陥没道路シーンへの愛が止まりません。原作曲重視路線が続いてきた中、突如として現れた新曲「陥没道路」「ハイタッチ」(公式参照)。このシーンは特に『FF7R』としての独自色が出ております。音楽としても大好きですが、「真夜中のまちぶせ」から流れも含めて、物語や演出としても思い出深い。このシーンは、クラウド青年の青春物語としての側面を持つ本作の、屈指の名場面。エアリスとのかけあい演出も含め、原作にない2つのBGM「陥没道路」「ハイタッチ」が夜のデートという非日常感演出で大きな働きをしたのではないかと。どの原作アレンジもよいんですが、こんな素敵なら、もっと新曲も聞きたかったなー。

ふと思えば、この新曲ふたつは、作曲家陣の関係もあってか『FF13』シリーズのエッセンスも感じさせます。『FF13』関連には愛着はあるんですが、キャラが記号的で内面の掘り下げを欠いたままカッコイイセリフを言うので、軽薄さを感じてしまいがちでした。本作はエアリスもティファもちゃんと丁寧に心理描写されているし、クラウドも寡黙ツッコミというバランスある役回りなので、かけあいがしんどくないですし、自然と彼らを好きになるんです。原作補正抜きにしても、性格的なキャラ造形がよくできていると思います。
by. Minoru Umise