「リンクルを今後の『ゼルダ』に登場させることも考慮」プロデューサー青沼氏の発言が様々な議論呼ぶ
国内では1月21日に発売される『ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ』。本作は2014年にWiiUで発売された『ゼルダ無双』をベースにさまざまな新要素を加えた新作だ。ゼルダの伝説の世界観で爽快な剣戟アクションが楽しめるというコンセプトはそのままに、『ムジュラの仮面』から「スタルキッド」、『風のタクト』から「トゥーンリンク」や「テトラ」「ハイラル王」が参戦するなど、歴代タイトルから数々のキャラクターが参戦する。
リンクルの誕生
その追加キャラクター中で最も注目を集めているのが「リンクル」だ。リンクルは緑色の衣装を着た金髪の少女で、その容姿から主人公リンクを思わせるデザインとなっている。このリンクルはもともと『ゼルダ無双』に追加される予定だったボツキャラクターのようで、同作の限定版に同梱されている設定資料集にボツイラストとして描かれている。
このリンクルの存在は6月時点にGameXplainによって発見され、長らく噂されてきた。そして11月、正式に『ゼルダ無双ハイラルオールスターズ』に参戦することが告知されるやいなや、美しい顔立ち、クロスボウを華麗に扱う優雅さ、キュートな雰囲気から海外ではたちまち人気が沸騰。注目のキャラクターとなった。
その人気を察したIGNは、『ゼルダの伝説』シリーズのプロデューサー青沼英二氏にリンクルについて質問を投げかけた。その中で青沼氏は、リンクルは当初WiiU版『ゼルダ無双』に出そうという提案がコーエーテクモ側からあったこと、そしてその時は『風のタクト』でリンクの妹として登場する「アリル」の設定と矛盾することを懸念し実現させなかったことを明かしている。また、設定資料集のリンクルの姿を見た国外のファンから大きな反響が届き、『ゼルダ無双ハイラルオールスターズ』に多様性をもたらす意味でも『ゼルダ無双』の次回作に“妹ではないキャラクター”として導入することを決めていたとも述べている。最後に青沼氏はリンクルが今後の『ゼルダの伝説』シリーズに登場する可能性を示唆している。
“リンクルを作り上げる途中で開発スタッフにはさまざまな助言を与えたが、『リンクのボウガントレーニング』でも登場したクロスボウを使うことなどは、コーエーテクモ側の提案だ。別のフランチャイズゲームのキャラクターのように思えるかもしれないが、『ゼルダの伝説』の世界観と関係ないとは到底思えないキャラクターになった。もちろん僕らは、彼女を今後のタイトルでも登場させることも考慮しているよ。”
様々な議論呼ぶ
青沼氏はおそらくリンクルの海外人気に対してある種のリップサービスを行ったようにも見える。しかし、この発言が思わぬ波紋を呼んでいるようだ。この青沼氏の発言前までは、リンクルはリンクの妹であると考えられていた。しかし公式でリンクルが妹ではないと発言されたことで、リンクルはたちまち“何者でもないキャラクター”として認知されてしまった。それゆえに今後どのような形で登場するかファンは不安を感じ始めたようだ。海外フォーラムNeoGAFでは「『ゼルダの伝説』の主人公が女になるのはありか?」というスレッドが立ち、ゼルダの主人公はリンクひとりしかいない!という意見が生まれるなど議論が勃発。現在でも白熱した討論が繰り広げられている。
また同NeoGAFの、「リンクルが今後のタイトルで登場するかもしれない」というスレッドでは、格式あるシリーズでメインヒロインのゼルダ姫などを差し置いていきなりリンクルが活躍する可能性に嫌悪するユーザーが続出。もちろんリンクルの登場に賛成するユーザーも多数存在し、賛否両論を呼んでいるようだ。そして意外にも多かったのがリンクルの名前を変えてほしいという意見だ。というのも、『ゼルダの伝説』シリーズでは似た名前のキャラクター「チンクル」が存在している。このチンクルは全身緑のタイツを着た中年のなんとも不思議な妖精だ。国内ではその不思議さ故に人気を博しているが、チンクルは海外では人気がないことで知られている。「気持ち悪い」「世界観に合わない」という理由から不人気キャラクターリストにいつも掲載されているチンクルと似た名前を持つというだけで拒否反応を示すユーザーも少なくないようだ。
青沼氏の発言から、ファンはさまざまな可能性を憂慮し始め、海外のゼルダコミュニティは混乱に陥っているようだ。青沼氏は「keep in mind(心にとどめておく)」という言葉を使っており、リンクルの海外の人気に応えるようなニュアンスの返答に読み取れる。少し前にも、ゼルダの世界観にネットスラングを入れるなという反発が生まれたことを弊誌でもお伝えした。『ゼルダの伝説』は任天堂の持つブランドでも有数の人気シリーズであり、ファンは非常に熱心であるがゆえに、ちょっとした発言が大きな波紋を呼ぶこともあるということだろう。