家庭用ゲームにおいては、店頭やショップなどで販売されているディスク版と比較して、デジタルゲームの価格は下落しにくい傾向がある。UbisoftのCEOであるYves Guillemot氏が、2015会計年度Q1の収支報告会にてこの構造に触れ、なぜデジタルゲームの価格が下落しにくいのか、その理由を語った。海外メディアVenture Beatが伝えている。
ディスクとデジタルで2000円から3000円の価格差
例えばBethesda Softworksが販売している『サイコブレイク』を見てみると、記事を執筆している2015年7月10日現在、ディスク版は中古品を除けばおよそ4000円から5000円前後で販売されている。一方でPSN/Xbox LIVE上で販売されている『サイコブレイク』の価格は、どちらも7884円だ。ワーナーがリリースした『シャドウ・オブ・モルドール』においても、PSN/Xbox LIVEではデジタル版が7000円以上で販売されているのに対し、ディスク版はおよそ4000円から5000円の価格で推移している。海外だけでなく国内でも、発売から数か月が経過すると、ディスクとデジタルで2000円から3000円ほどの価格差が開くことが多く見られるようになる。
もちろんストア側がディスク版の価格を調整していることは理解できるが、それではなぜパブリッシャーはその価格帯にあわせてデジタル版の価格をより柔軟に変動させないのだろうか。Guillemot氏は、家庭用ハードのデジタルゲームがPCゲームほど価格を素早く反映していないと説明し、その理由を以下のように解説している。
一方でGuillemot氏は、このような価格構造は一時的なものだと語っており、ディスク版がもっとも購入される時代はPS4/Xbox Oneが最後だろうとの見方も示している。とはいえ、Ubiosoftのゲームソフトにおいては、ディスク版とデジタル版を同時に発売すると、売り上げは全体のうちディスク版が80パーセントから85パーセントを占めるという。現時点でビジネスモデルをディスク版からデジタル版へとシフトするのは難しいだろう。
Ubisoftは2013年に発売された『Far Cry 3: Blood Dragon』以降、デジタルダウンロードゲームに注力しているパブリッシャーでもある。近年ではインディーゲーム的な開発手法を取り入れ、『Child of Light』や『Valiant Hearth: The Great War』といったタイトルも手がけている。そういったデジタルダウンロードゲームへ積極的に参入しているUbisoftのCEOが語るだけに、ディスク版とデジタル版の価格差はもうしばらく続くことになりそうだ。とはいえ、F2Pなどを中心に現在のデジタルゲーム市場は顕著な成長を続けており、いつかこの手のフルプライスタイトルにおいてもディスクとデジタルの売り上げが50:50になる時代がくるのかもしれない。
なお2015会計年度Q1において、Ubisoftは6000万ドル以上の収益を挙げている。