『Eve Online』などを手がけたCCP Gamesは、今月21日から開催されているFanFest 2016にてVR対応タイトル『Project Arena』を発表し、それにあわせてプロトタイプ版を公開した。HTC Viveをベースとして開発されているが、のちにOculus Riftでもリリースされる予定だ。まだまだ開発は初期段階のようだが、円盤を使ったバーチャルスポーツゲームとなるようだ。
プロトタイプ版ではふたつのモードが搭載されており、ひとつは打ち合うテニスのようなモード、もうひとつはドッジボールに近いBrawlと呼ばれるモードだ。“テニスモード”は、片腕についた盾を使い、飛んできた円盤を強くヒットさせて相手のもとへ飛ばす競技。当たるタイミングや振り方で軌道が変わるなど、かなりリアルなテニスに近いもので、仮想世界で体験することで新たな感覚が得られるという。
もうひとつのBrawlモードでは、より戦術的に“熱い”モードとなっているのだという。プレイヤーは片腕に大きな盾、もう一方の腕に小さな盾を装備。チャージされた盾を投げつけることで相手を攻撃し、ヒットするとスコアポイントを稼ぐことができるが、戻ってくる間は無防備となる。この間、プレイヤーは相手の円盤に対して身体を動かして避けなければならない。先ほどのモードは自分が円盤を叩かなければならないのに対し、こちらは相手にぶつけることが目的となる。
どちらのモードでも、カギを握るのが円盤の動きだ。この円盤の宙を切る軌道は独特なものとなっている。仮想世界の中でも遠近を感じ取る空間把握能力が求められ、また肉体的にも腕だけでなく身体全身を使う必要があるような印象を受ける。トロンを思い起こさせるそのデザインも相まって、高い没入感を体験できるゲームとなっているようだ。
『Project Arena』は2015年にすでに一度アナウンスされており、その際はKinnectを想定したコントロールとなっていたが、今回グラフィックやシステムなど装い新たに再登場し、加えてHTC Vive ControllerとOculus Touchコントローラーに対応しており、それらのデバイスとの相性も抜群のようだ。円盤を投げる動作は振りかぶった時にボタンを押しっぱなし、投げる時にボタンを離すというのが基本動作となっており、実際にボールを投げているような感覚が得られ、VR体験にぴったりフィットしているのだという。
発表にあたって、CCP GamesのCEOであるHilmar Veigar Pétursson氏はFanFest 2016の壇上で喜びの声をあげている。
“これほどゲームを正確に肌身に感じられるのはすごいね。私達はこのゲームが新たなeSportsになれば、という願いのようなものを持っているんだ。しかし、eSportsというよりも実際のスポーツに近いかもしれないね。”
『Eve Online』などを開発しプレイヤーに深い没入体験を提供してきたCCP Gamesのタイトルとあって実際に本作をプレイしたPC GamerとiDigitalTimesはともに「これまでプレイしたVRゲームの中で一番現実感があり素晴らしかったゲーム」と絶賛している。まだまだ謎に包まれており、発売予定日なども全く発表されていない『Project Arena』だが、VRゲームとして新たな可能性を持つタイトルとして期待が高まる一方だ。